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【非地位財に振り分けたい】 感想:『幸せとお金の経済学』 ロバート・H・フランク

はじめに

私にとって、この本での重要な部分を簡単にまとめると

「地位財」が必ずしも悪いわけではなく、地位財を他者との比較でしか価値が生まれないことを認識したうえで、自分にとって価値があると感じる「非地位財」にお金を振り分けることが大切だ。

ということです。

感想

学生さんに講師として、キャリアの話をしたときに、最も儲かる診療科は?と聞かれました。
それ自体はとても大切な観点で、否定するつもりもありませんし、むしろ堂々とその質問ができることは素晴らしいと思います。
でも、お金って何なのでしょうね?
この本では、そんな お金 と 幸せ について書かれた本です。


この本の重要なポイントは地位財と非地位財です。
耳慣れない言葉かもしれませんが、定義が書かれていました。

地位財:他人との比較によってはじめて価値の生まれるもの
 例)所得、社会的地位、車、家など

幸せとお金の経済学

非地位財:他人が何をもっているかどうかに関係なく、それ自体に価値があり喜びを得ることができるもの
 例)休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属性、良質な環境など

幸せとお金の経済学

この例はひとつの目安です。
たとえば車という存在自体が大好きで、これが自分にとって非常に価値をもつ、と考えれば、その人にとって車は非地位財になり得ます。

ただ、一般的には、地位財は、それ自体が他の物や他の人などの 周囲の状況との関係によって評価される相対的な価値です。

私自身を含め、この世界を生きている以上、他と比較してしまうのは仕方がないことです。
本書の例でも挙げられていましたが、幼児でさえも、どっちの方が多いかを気にすると書かれていました。
確かに我が家の子どもは3歳と6歳ですが、お菓子をあげるときも、どっちが多いか気にしますし、差があろうものなら。。

なので相対的な価値自体は避けられないのでしょうね。

でも相対的な価値=地位財だけだと辛くなります。
特に最近はSNSなどによって、容易に自分の地位を公開できますし、他人の地位も目にしてしまいます。
必ず上には上がいるんですよね、当然ながら。
この競争のラスボスはイーロンマスクとかジェフベゾスとかになってくるわけです。
クラクラしますね笑


ですから、自分が価値を見出せる「非地位財」が大切になってくるのだと思います。
もう戦わない。私は私、他人は他人 ということかもしれません。

もういちど「非地位財」の例を見てみます。

例)休暇、愛情、健康、自由、自主性、社会への帰属性、良質な環境など

幸せとお金の経済学

なんというか、お金で買えないものが結構含まれている印象です。
そしてこれらは幸せにつながりそうです。

しかし同時に、お金があれば手に入れやすくなるものも含まれています。

となると、自分の手元に入ってくるお金を、自分の地位を誇示するような地位財に振り分けることを最優先にするよりも、非地位財にどれだけ振り分けるか、が幸せの鍵になりそうな気がします。


読了後の意識/行動の変化

人間は社会的な生き物で、どうしても他者との関連性がないと生きられません。
相対的評価は生存競争にも結びつくので ある程度は仕方がない。

しかし地位財に全振りしても幸せの近道には思えないので、いかに自分の価値基準に基づいて支出をコントロールできるか、が重要なんだと気付きました。

私は研修医になったとき「医者になったら外車に乗らなきゃ」とか思っていた人間ですからね。気をつけないと笑

限りあるお金を、自分や家族の幸せのために振り分けることを意識して 日々のお金の使い方を考えていきたいものです。


基本情報

リンク:幸せとお金の経済学
入手場所:図書館
読み始めた日:2024年4月26日
備考:読書ノート10冊目


おわりに

地位財と非地位財。
これは浪費かどうか、にも密接に関係していそうですね。
上手にお金が使えるようになりたいなと思います。


読んで頂き誠にありがとうございました。

髙草木



参加中。お金と幸せ



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