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ココイチカレー短歌

かんかんと匙を響かせ追いつめる 赤茶の線上 米の一つぶ


恥ずかしげもなくにわか短歌を続けていく気配の、たかこです。ごきげんよう。


引っ越しをしてからカレー屋さんのCoCo壱番屋(以下、ココイチ)に夢中である。
たまたまお役所のそばにお店があり、それまで名前は知っていたけど入る機会がなかったので、せっかくだからと立ち寄ってみたらころりと参った次第。

といっても、まだ三回しか行っていない。
もっと言うと二回目と三回目のあいだに別の店舗をたまたま見つけ、今や近隣のココイチを股にかける女と化しつつある。

その三回目がまさに三度目の正直と言おうか、とてもとてもおいしかったので、ミスチルの「youthful days」短歌はさっそくお休みをしてココイチ短歌である。


*


三回目のカレーのメニューは、
「スタミナポークレバーカレー
二辛、トッピングに旨辛ニンニク」


それまで一辛しか食べていなかったが、ここに来て二辛。
というのは、トッピングの旨辛ニンニクは恐らく辛いだろうから、カレー本体が一辛だと味がまぎれてしまうのでは?と懸念したため。
よく考えればカレーにとってはカレーそのものが辛いことがカレーの本分なわけで、サブ的存在のトッピングに軸を置くのはいかがなものかと己の感覚に違和を持ちたいところだが、これが結果としては大当たりだったので良しとする。いずれ同じメニューで三辛にしてみたい。

ともかく相当おいしかったようで(おいしかったです。レジで店員さんに伝えたくらいにはすごくおいしかった)、浮かれて食後、数分のちにツイートまでしている。


旨辛のニンニクの幸(さち)代償はマスクの下なら本望よ


ニンニクなだけにそれなりの口臭に陥るのだけれど、このご時世、当然マスクをつけているからガードできるし、しかもマスクの中でニンニクの残り香を味わえるならカロリーゼロ状態でおかわりしたも同然。
みたいなことを言いたかったのだろう。

でもこれだとカレーを食べたことはわからない。
短歌の書き初めのときも思ったが、私の背景を知っているひとにしか伝わらないのは私がしたいことではない。ちょっとそこを意識しておきたい。

短歌に興味を持ってから、いくつか短歌にふれる機会があった。関心があるとあっちから寄ってくるのだから、不思議なものである。
どれも「ああ、このひとは死にたいんだなあ」「恋愛がうまくいってないってそれはそれで何かうらやましい」「受験生さん、影ながら応援してます」と、すっと入ってくるし反応も自然に浮かんでくるというか、とにかくわかりやすい。
何かよくわからなくてもこころに残るものは、たぶん傑作の類だろう。音が良いとか。見た目が綺麗とか。

くだんのサラダ記念日だって「サラダのことだ」とぱっとわかるところこそ、理屈じゃなくここちよい。
これが「ミモザ記念日」だと想像の幅は広がるけど「七月六日」との間に齟齬が生じる。
日付を変えると印象も変わる。書き手(詠い手?)の伝えたいことでなくなる可能性も。

せいぜいココイチの民にしか通じなさそうな短歌は、ココイチに依頼されてからでも遅くはない。

まずはカレーからだよな。
というわけで、


かつんかつん スプーンの響きに肩すくめつつ辛みの米の一つぶ追えば皿に残るは赤茶の軌跡


まだカレーの味はしてこないが、ややましになったのでは、と自分を評価しておきたい。

三回目のココイチカレーを食べたときの衝撃は尋常ではなかったらしく、私にしては珍しいことに撮影までしている。食べおわったお皿を。

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カレーを食べているときの、さいごのほうって、スプーンの音が独特な気がする。
(これがナンだとどうナンだろうというのはさておき)
私はお米を残すのが苦手なので、ちょっと神経質なくらいきちんとすくって頂く癖があるのだが、それが意地きたなくならず、周囲に不快を与えないようにするには、スプーンの使い方にコツが要る。
でもどうしても音は鳴るから緊張してしまう。
そうこうしているうちにお皿には、ほかの料理ではあまりないような線が残る。

ということを、説明なしに、短歌を読んだだけで伝われば及第点なのでは。
まだまだ赤点です。

これでも、


かつんかつん スプーンの響きに肩すくめても 軌跡を描こう白皿に 辛みのついた米つぶ追って


ここから試行錯誤していったので、推敲というか、修正する楽しみは身につきつつある。と思う。

なぜ「茶色(カレー色)」でなく「赤茶」なのかというと、旨辛ニンニクが赤みのたれの中に沈んでいて、それをかけたら赤茶色カレーになったから。
と、情報を書かないとならないぐらいだし、まだぜんぜん表現できていないなあ。

そしてこのへんまで書いて気づいた。
そもそも字数オーバーしているじゃないか。盛大に。
ノリだけで書いて原則を忘れるとは何事だ。これじゃ短歌じゃなくてキャッチコピーだよ。

慌てて指折り考えなおしたのが、これである。


かんかんと匙を響かせ追いつめる 赤茶の線上 米の一つぶ


描写が簡素になりすぎている気がするけれど、もう今はここが限界。
「かつんかつん」を「かんかん」にしたことで「追ってゆく」を「追いつめる」に変え緊迫感を言外のものにして、あえて書いてしまうがそれにより「線上」は「戦場」を想起させないかな、と工夫したぐらいで、今の私にしては上出来かもしれない。


*


ところで、お店を出た時点でもうひとつ思いついていたのでメモをとったはず、と読み返してみたら、ぜんぜん違うお題の歌だった。
ポカリスエットのCMをお題にしている。何か好きだから。
よって、次回の短歌もミスチルをさしおいてお題はポカリになる予定。
(ゲームのスケジュールからするとそれ以後は「ニーア・レプリカント」短歌になりそうな予感)


*


カレーパン 手軽にチンしてかぶりつく かかとを上げて猫の手かわして


そんな日常。
カレー、そんなに大好きというわけでもなかったのに、今やカレーパンを常備するありさま。 なんか元気になれる気がするからかなあ。

で、ふっと書いてみた「カレーパン 手軽に」は最初「猫の手かわしかかとを上げて」だったけど、逆のほうがオチがつくなと思って入れかえ。
これだけだと字あまりになってしまうから何とかしたいけど、ぼんやりと入れかえ方というかより良い語順がわかってきたところで、今日はここまで。





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