暗号資産:イーサリアムを使うときに必要なガス代(燃料)って何?仕組から計算方法まで
イーサリアムやイーサリアムのブロックチェーンを使った取引を実行(認証)するのに必要となるのがマイナーに払うガス代(燃料)なのですが、今日はガス代が必要になる理由や計算方法について見ていきましょう!
暗号資産特有の言葉もあるので、それぞれ簡単に解説していきます。もし、「そんなのもう知ってるよー」という方は、ここから本題へ!の箇所からお読みください♪
そもそもブロックチェーンって?
イーサリアムや他の暗号資産は全てブロックに取引内容やスマートコントラクトの内容が記載されています。また、各ブロックはどれくらい取引内容が格納できるか容量が決まっていて、1ブロックがいっぱいになれば、次の新しいブロックにデータが記載されます。また、新しいブロックは前のブロックのデータの最後の部分が記載されることによって、連鎖(チェーン)を作り、ブロックチェーンという名になっています。
マイナーとは?
マイナー(miner)は直訳すると採掘者で、マイニングとは取引データをブロックに記録する作業を示します。マイナーがいることで、取引データが適切に記載されるだけでなく、不正な取引データがブロックに記載されることを防ぎ、重要な役割を果たします。
マイニングは多大な労力が必要で、マイニングの報酬計算サイトによるとパソコンのハッシュレート(計算容量)が1秒に750MHだとすると1ブロックをマイニングするのに176日かかり、1ETHを獲得するのに88日かかるということです。(1ブロックあたり2ETH獲得できます)
ちなみに、計算容量が1秒に750MH処理するためのパソコンを買おうとすると、大体200万円くらいするそうです!苦笑 現在のETH価格が約40万円なので、1年3ヶ月くらいで元が取れることとなります(電気代等を除き)これを考えると手数料を払うことの妥当性は理解できますよね。
ETHのアップグレード
ガス代の仕組みに入る前に、少しお話ししたいが今年の8月に行われたイーサリアムのロンドン・アップグレードです。
イーサリアムだけの話ではないですが、暗号資産はまだまだ最適化されている訳でなく、実世界でどう使われてどういう問題が発生するかを見てどんどん改善・進化していっています。
このロンドン・アップグレードは5つのEIP(Ethereum Improvement Proposal、改善プロポーザル)があったのですが、特に注目を浴びたのがEIP-1559『Fee market change for ETH 1.0 chain』で、ガス代の仕組みを大きく変える内容でした。
ここから本題へ!
では、分かりやすくするために、実際に私が支払ったガス代(EIP-1559を使っています)を例に見ていきましょう。先日出した記事の『暗号資産:OlympusDAO、驚異の年利8,000%??』でお話ししたOHMの通貨が最近v2をローンチしたので、私が保有しているOHMをV2へ移行することにしました。
余談ですが、現在OHM価格は他の暗号資産同様急落中です!笑 APYは4000%と半分になったものの、悪くはないです。この激しさが暗号資産の面白さでもありますよね。なので、暗号資産は無くなっても良いお金だけにしましょう♪
さて、下記の写真から分かるように、オリンパスのサイトに行くと、V2への移行("migrate to v2")のテロップが出ていますね。
"Get Started"を押すと私のウォレット(メタマスクを使っています)につながるのですが、緑で囲った箇所を見て分かるように取引手数料(transaction fee)が示されています。ここではドルとETHの数量のみで金額が表示されていますね。
取引手数料の箇所をクリックすると、手数料の詳細内容(ガス代の内訳)と金額の変更ができます。下記のスクショの内容を上から順に見ていきましょう。(上の値段と異なるのは、数秒ごとにガス代が変動するからです)
①Low/Medium/Highと選択肢がありますが、これはLowはガス代を下げるがその代わり、取引の認証にかかる時間が増える結果となります。他の2つは逆の動き。
②Gas Limitとは、私が最大どれくらいのガス代を払っても良いと思っているか(最低21,000でないといけない)
③Max priority feeはマイナーに払いたい最大のチップ金額で、これはGWEI(グウェイ)というETHを細分化した単位で表示(GWEIについては後ほど)
④Max feeとは③と基本手数料(base feeこちらについても後ほど)を合計した、私が支払わなければならない最大の手数料費用
手数料の計算式 = Gas Limit x(base fee + priority fee)
となるのですが、私の例で数字を入れてみましょう
GWEI 5,394,296 = Gas Limit 46,140 x(base fee 111.4 + priority fee 1.5)
GWEI 5,394,29 = ETH 0.0053943
このETHの金額はスクショの一番上の数字と同じになりますね。
総じて非常にややこしいですよね!!苦笑 元々ガス代という位置付けをしたのは、ETHの本体から切り離して手数料を考えたかった意図からきています。
手数料の計算式の概要がわかったところで、GWEI単位で示されているbase fee と priority feeを見ていきましょう。
GWEI(グウェイ)って?
ガス代を支払うときに出てくるETHの単位なので、正確には違いますが1万円がETHで1円がGWEIだとイメージしていただければと思います。正確には『1ETH = 0.000000001GWEI 』です。GWEI以外にもいくつか単位が存在するのですが、下記がそれの全てです。ネーミングがユニークなのは暗号資産に貢献した人々の名前を使っているとのことです。
ガス代の仕組み:変更前
EIP-1559の仕組みに入る前に、これ以前のガス代の問題点を見て、何故変更が必要となったのか見ていきましょう。
(ここから特に、イーサリアムのサイトの『GAS AND FEES』ページを参考にしているので、オリジナルを読みたい方はどうぞ!)
計算モデルはfirst-price auction と言い、オークション式で高い手数料を払えば払うほど取引の認証がされる仕組みでした。各ブロックは1250万Gasが最大容量となっています。先ほどでたGas limitですが、もし承認待ちの取引全てが21,000 gasを使用しているとすると、約595取引が1ブロックに記録されることとなります。
この問題は、ユーザーとしてはお金がない人には非常に不利は仕組みでしで、頻繁に過大な取引手数料を払う結果となっていました。その上、ガス代のボラティリティも非常に高く、取引が承認されるために最低どれくらいのガス代を払えば良いのかも不明瞭でした。
ガス代の仕組み(EIP-1559)
これらの問題を解消するために、新しいEIP1559が使われることになりました。
新しいモデルの変更点:
Base feeの新設
・Base feeは基本手数料のことで、その前のブロックの使用容量により規則的に変動する。これにより、手数料の増減の安定と予測が可能となる
・基本手数料はマイナーに支払われず焼却される
ブロック容量の変更
・変更前は12.5mと固定していた容量に15m-30mの幅を設ける(上の図には12.5mから25mとありますが、実際には15mと30m)
・ネットワークの混雑に応じて柔軟性を持たせ、手数料を変動させる
マイナーへのチップ
・基本手数料は焼却されるため、マイナーが作業するインセンティブとしてチップ制となる
下記は例ですが、一つ目のブロックは理想容量の15mのみを使ったので、二つ目のブロックの料金も同じ。その後、二つ目のブロックは最大容量30mを使ったので、三つ目のブロックは基本料金が12.5%上昇した。
この仕組みを利用することにより、ガス代のボラティリティの一部をブロック容量へと移行させました。
また、他の利点として、ガス代を焼却することにより、世の中にあるETHの供給が(数量)少なくなるので、長期的にはETHの価格上昇にも貢献されます。
継続する問題
EIP-1559移行でも、未だ継続する問題はなんと言ってもガス代の高さです!計算式から分かるように、基本手数料は自分の取引の金額によらないので、自分が記録したい取引の金額が小さいと、本当痛いです。
例えば、NFTを登録するためのガス代を見てみましょう。最近じっちゃまこと広瀬隆雄さんのピクセル画像を作ったのですが(笑)、こちらをブロックチェーンに登録するための費用は2万円ほどします!
ちなみに現時点のガス代を見れるサイトもあるので、取引を実行する前に参考にしても良いですね。また、このサイトから一番ガス代を消費しているサイトのランキングがあるのですが、一位がOpenSeaです!OpenSeaはNFT等の取引所でして、NFTの人気から納得のトップですね。笑 (NFTのことをより詳しく知りたい方は、こちらの記事へ)
以上、本日はガス代についてでした!当初は「今回はなんだか短い記事になりそうだから、もう一つお題でも書こうかな」と思っていたのですが、大きな間違えでした!笑 ガス代、結構奥が深く複雑な内容でしたね。
引き続き、暗号資産の面白いかつためになるトピックについて書いていきたいと思います♪
素敵な日曜を🌟