中学校 成績はどうやって決まるの? に答えます(国語科教員タカコの場合)
みなさま、こんにちは。地方の公立中学校教員15年目のタカコです。
今回は、同窓会でした話が好評だったので、それを記事にします。
公立中学校の成績(5段階評定)のつけ方です。
書面で出していても…懇談で細かくお話しているつもりでも…わかりにくいです。WEBで調べてみると、塾さんの記事が上位に出てきますが、わたしから見て「うーん?」ということも多かったです。
そもそも、評価の仕方は、学校(というより教員1人ひとり)によって異なります。文部科学省が学習指導要領という規準を示し、評価の指針を出し、各教育委員会・学校が研修等を行い、大まかなところは全国で統一されています。ですが、具体的数値にしていくところは授業を行う教員に委ねられ、最終校長が確認するという学校が多いのではないでしょうか。
5段階の前に
まず、すべての教科において「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3観点で〈観点別評価〉をします。主にABC方式と点数化方式がありますが、わが校では点数化方式で、学期初めに次のような表を全教科生徒に提示します。
具体的な内容は、国語科の場合
知識・技能(ももいろ)
テストでの基礎的な知識を問う問題(たとえば漢字・文法など)、書写や聞きとりテストではかる技能。
思考・判断・表現(きいろ)
テストでの読解問題や応用問題、知識や技能を活用して行うスピーチやプレゼンテーション・作文などではかる思考力・判断力・表現力。
主体的に学習に取り組む態度(みどり)
自ら学習状況を把握し、試行錯誤したり調整したりしながら学ぼうとしているかどうか。
この観点は、教員によってさまざまな評価方法が考えられます。
ここに漢字テストと単元テストが入るのを不思議に思われるかもしれません。わたしは希望者に同じ問題で再テストを実施しており、再テストを受検した生徒はよいほうの点数を成績に入れています。毎回満点を取るまで粘り強く挑戦する生徒もいます。この理由からこちらの観点に入れるようにしています。
また、昔は授業中の「挙手回数」「忘れ物」などを入れることもあったそうですが、挙手や発言をしなくても、しっかり思考する子はします。性格による部分が多いので、評価しません。
ワークや漢字ノートなどは、定期的に集めてチェックします。ここで注意したいのが、「出したか出していないか」のみで評価をしないということです。内容を確認し、生徒の学習に取り組む態度をみとります。
「ふり返り」は、教材が終わるたびに書いてもらっています。「できたかできていないか」ではなく、学習の過程を俯瞰し、よかった点や改善点をふり返ってもらい、学んだことを他の学習や日常生活に生かせるところまで考えられるかをみます。紙に書かせますが、書くことに課題がある生徒や提出する習慣がない生徒には、口頭で聞くこともあります。授業観察でみられた態度もここに入れています。
以上の3観点をそれぞれA「十分満足できる状況」(80%以上)、B「おおむね満足できる状況」(50%以上)、C「努力を要する状況」(50%未満)で評価します。
そして、3観点を総括した達成率で、5段階の評定をつけます。わが校では、
90%以上 → 5
80%以上 → 4
50%以上 → 3
20%以上 → 2
20%未満 → 1
となります。ですから、たとえば「観点別がオールAだけど4」もありうるということです。また、生徒1人ひとりがどれだけ目標に達成できたかをみる「絶対評価」ですので理論上は「全員5」も不可能ではありません。
親世代が中学生だった頃とちがう評価の仕方
十数年前、大阪で教員をしていた頃は周りと比べてどうかという「相対評価」でした。
5…7%
4…24%
3…38%
2…24%
1…7%
と、割合が決められていたので、合計点をExcelで並び変えて上から「5・4・3・2・1」と数字をふっていました。
いまは「絶対評価」ですので、わたしは毎学期「全員3以上」を目標に授業をしています。(実際達成できたことはないのですが、それでも!)3以上だと高校の選択肢が増えますし、近隣の私立高校では推薦入試を受けられたり、入試料が安くなったりとメリットがあるからです。1・2の生徒に対して、「生徒に力をつけられなかった、自分の力不足の結果」ととらえますし、「目標設定や評価の仕方に問題がなかったか、他に手立てはなかったか」と暗い気持ちでフィードバックします。
評価するとき、どうしてもどうやっても主観が入ってしまいますが、99%の教員は、生徒の成長を願い、生徒にとって次につながる評価をしていると思います。保護者のかたや生徒のみなさんにも伝わればいいなと思います。先生は、敵ではありません💦
今回の記事は、あくまでわたし個人の考え方ですので、ご意見等ありましたら、教えてくださればうれしいです。最後までお読みくださり、ありがとうございました!