リスキリングが生み出すウェルビーイング:「人への投資」計画の真髄とは
「人への投資」計画と、ウェルビーイングの関係
岸田文雄首相が推進する「人への投資」計画は、5年間で1兆円を投入し、働き手のリスキリング(新たな学習)の推進と、企業間や産業間における人材の流動性を高め、転職や副業を受け入れる企業への支援も行うというものです。
この「人への投資」計画を、四つ葉のクローバー理論から見てみると、「Labor(仕事)」と「Learning(学習)」の二つの要素と"PERMA"の融合により、個々の労働者だけでなく、組織や社会全体のウェルビーイングの向上が見込まれます。これは、従来の経済指標だけでなく、人間の心の満足感や幸福感を重視する新たな視点から、働く人々の生活を豊かにする可能性を秘めています。
この計画の「Labor」の側面は、産業間や企業間での人材の流動性を高め、それぞれが自分のスキルと能力を最大限に発揮できる職場を見つけられる環境を作り出すという視点を持っています。同時に、これは企業にとっても、自社のニーズに最も適した人材を見つけやすくするというメリットをもたらします。
一方、「Learning」の視点からは、デジタル化やAIの普及といった現代社会の変化に対応するためのリスキリングが強調されています。新たなスキルを身につけることを通じて、非正規雇用者の正規雇用への転換や、労働者自身のキャリアアップや賃金上昇とやりがいで生産性を高めたり、成長分野への投資を推進します。
PERMA理論により、ウェルビーイングを促進
こうした取り組みは、PERMA理論を用いることで、ウェルビーイングの促進に大きく寄与します。具体的にみてみると、新たなスキルを学ぶことで得られる喜び(Positive Emotion)、その学習に没頭する中で得られる幸福感(Engagement・Flow)、学んだことを生かせる喜び、社会貢献から見出す生きがい(Meaning・Purpose)、共に学び成長することで深まる人間関係(Relationships)、そして習得したスキルを活かすことによる達成感(Accomplishment)といった幸福を構成する全ての要素が絡み合うことで、労働者が自身のキャリアに自信持ち、喜びを感じられるようになるのです。
「人への投資」計画は、私たちひとりひとりが自己成長を通してウェルビーイング(幸福)を高め、社会全体の幸福度を向上させることにも繋がっていく――それこそが、この計画の真髄であり、その実現が新たな社会の未来を描く重要な一歩となると私は考えています。