ほめること
自己肯定感っていう言葉に出会ってから、母親として、保育者として、「どうしたら子どもたちの自己肯定感を高められるのか」を、考えてきました。
そして、自己肯定感にかかわる本を読み、「ほめること」そして、「結果ではなく過程をほめること」が大切であると学びました。
子どもたちに対してのほめ方や注意の仕方が難しいと感じていて、保育者として日々の保育の中でも、「あの言葉かけで、○○ちゃんの心に響いただろうか」と、子どもたちにかける言葉かけを反省し、試行錯誤する毎日です。
よく、自己肯定感を育むために「子どもの自己肯定感を育む言葉かけをする」ってたくさん聞かれますよね。私もほめたり、ポジティブな言葉かけをしたりすることを意識して保育してました。
でも、それが正しかったのか?
今回は、自己肯定感についていろいろ調べていくうちにわかった3つのことをお話ししたいと思います。
1,自己肯定感の追求は学びと成長を阻害する
脇本 竜太郎 先生は、『存在脅威管理理論への誘い』の中で、「自己肯定感の追求は学びと成長を阻害する」と述べています。簡潔にすると、自己肯定感を高めようとすることは、自ら学ぼうとすることや成長を妨げることにつながる可能性があるということです。
〈引用文献〉脇本 竜太郎 (2012). 存在脅威管理理論への誘い サイエンス社
存在脅威管理理論への誘い - 株式会社サイエンス社株式会社新世社株式会社数理工学社
2,自己肯定感の定義
▪ 田中 道弘 先生のホームページに、自己肯定感の定義を「自己に対して前向きで好ましく思うような態度や感情(田中、2008)」としています(研究者によって定義は異なります。)Googleで検索すると「ありのままの自分を肯定する感覚、自分自身に対するポジティブな評価や自信のことです。能力や環境に左右されず自分自身を認め尊重することで生まれる感情で、物事を前にすすめる原動力となります」とあります。
ほめてばかり自己肯定を促すばかりの教育環境 は、自分の現状に疑問を抱き、時に現状を否定し今の自分を乗り越えていこうと、もがき苦しむ機会を奪っているのかもしれません。
皆さんは、どう思いますか?
3,自己肯定感を無理に高めようとしてはいけない
特に、私の保育観・教育観に影響を与えたのが、大学教授にすすめられて読んだ、榎本博明 先生の『自己肯定感という呪縛』です。今までの私は子どもたちのためにと、自己肯定感を高めようと「ほめる」保育をしていました。
しかし、榎本 博明 先生は、『自己肯定感という呪縛』の中で、「自己肯定感を無理に高めようとしてはいけない。 自己肯定感は人生を前向きにかつ精いっぱい生きることで結果として自然に高まっていく」と述べ、「ほめる保育」についても警鐘をならしています。
〈引用文献〉榎本 博明 (2021). 自己肯定感という呪縛 青春出版社
私はこの本を読んで、私のしてきた保育は何だったのかと、凄くショックを受けました。自己肯定感が高いことは、子どもたちの未来を拓く鍵であることは間違いありません。
しかし、自己肯定感を高めようとすることは、一歩間違えば、評価されなければ頑張れない。失敗を恐れ、難しいことにチャレンジしなくなるといった見せかけの自己肯定感を育てることになりかねません。
自己肯定感ってとっても深いですね。まだまだ知りたいことがいっぱいです。たくさん研究されていますが、自己肯定感の定義はまだ定まっていないのが現状です。
では、「自己肯定感を育むにはどうしたらよいのか」は、またの機会にお話ししたいと思います。
また、一緒に学びましょうね!
ありがとうございました。