【小説】川上未映子『夏物語』を紹介します!
今、川上未映子『夏物語』を読んでいます。まだ半分くらいですが、とてもおもしろいので、ネタバレしない程度に、読んだところまでの感想を書こうと思ってます。
『夏物語』は、芥川賞を受賞した川上未映子『乳と卵』の続編。
『夏物語』は2部構成になっていて、第1部では、『乳と卵』で語られた痛々しく切ない物語が再び語られます。
『乳と卵』を超簡単に要約すると、大阪に住む「巻子」という39歳のシングルマザーが、豊胸手術をするために、12歳の娘「緑子」を連れて、東京に住む妹の「夏子」のもとに滞在する話です。
『乳と卵』の解釈や感想は、女性読者と男性読者との間で大きく異なります。それは、この物語が、女性という性が抱える繊細で複雑な構造について触れられているからです。
女性という性について
日本社会における女性の存在についてどう思いますか?『夏物語』と『乳と卵』を読むと、日本社会においての女性には、未だにとんでもないバイアスがかかっていることに気づきます。
社会構造においても、人類の在り方においても、女性というのは、様々なバイアス(偏見)の中で生きています。
女性は常にバイアスの中で生きていかなくてはなりません。それは男女平等や多様化が進む現代においても、です。
おまえ、何言ってんだ?って思った男性諸君には、是非、『乳と卵』を100回読んでほしいです。
もしかしたら、100回読んでもこのバイアスの存在に気づくことができない男性もいるかもしれません。
子どもを産むことが出来るのは女性だけ(2020年6月25日現在)
子孫を残すことは、社会的にも、国家的にも重要視されてきました。そして、人類という視点で捉えると、それは最重要事項となります。
もし、地球上の女性が子どもを産むことを止めたら、おそらくあと100年くらいで人類の歴史は終わります。(2020年6月25日現在)
だから女性は子どもを産むのが普通であるという風潮が消えることはありません。
しかし、この風潮って、誰の都合で、誰が勝手に決めてるんですかね?
子どもを産むことは法律で定められているわけではない。
僕には可愛い娘とヤンチャな息子が一人ずつ居ます。
僕は可愛い娘について、将来は結婚して、子どもを産んで、という未来を想像します。しかし、これは親(僕)の勝手な都合です。
日本社会において、小さな女の子の未来についての、この勝手な想像を多くの人がしてしまっています。
これは本当に根深いです。
これを理解して『乳と卵』を読むと、男性であっても、女性が抱えるこの切実な問題について理解を深めながら、「巻子」「緑子」「夏子」という3人の主人公に感情移入できると思います。
僕は『乳と卵』のクライマックスで涙が止まらなくなりました。終盤の卵の場面です。今でも思い出すと泣けてきます。
この『乳と卵』を書き直したの物語が『夏物語』の第1部です。もちろん、『乳と卵』を読んでいない人でも、十二分に読むことが出来ます。
川上未映子という日本文学の巨匠について
僕は川上未映子さんが大好きで、今、この人こそが日本文学をお洒落なバッグの中に背負っていると感じています。数年前ですが、講演会にも2度行ったことがあります。
講演会を聴く中で、個人的に、川上未映子さん自身、日本文学への愛と共に、お洒落なバッグの中に入れた日本文学を背負っている自負をお持ちであると感じました。
川上未映子さんのことについては、今後も沢山紹介していきますので、気になった方、よければフォローよろしくお願いします。他の作品については、僕のnoteの中でも紹介しています。よければご覧になってください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!ところで『夏物語』の内容をほとんど紹介できてない。苦笑