デスクツアー Part 1 デスク本体編
唐突ですが,デスクツアーです.きっかけは特にないですが,3年前に自作したデスク,今見ても手前味噌ながら惚れ惚れするなと思い,せっかくなら記事に残しつつ自慢してしまおうという魂胆です.デスク本体とデスクの周りにあるものの2回に分けてお届けしようと思いますが,今回はその前半戦,デスク本体の紹介です.
自作デスクのきっかけ
元々は父のお下がりのデスクを使っていましたが,中途半端なL字が使いにくかったり,天板が経年劣化でうねっていて書き物をすると線がガタガタになったりして,不満がありました.3年前,コロナで自宅作業を余儀なくされたときにデスクの買い替えを決心しましたが,いざ探すといい感じのデスクは見つからず.思い描く理想のデスクは結構シンプルだから,どうせなら自作してしまおうと思ったのがきっかけです.
昇降式or固定式?
自作デスクの情報を求めてYouTubeやGoogleを散策すると必ずと言っていいほど目にするのが昇降式デスク.座って作業する高さから立って作業する高さにボタン一つで切り替えることで気分転換をしながら作業をし続けられるという触れ込みのデスクです.有名なのはFlexiSpotですね.
3年前の時点でもちろん情報はかなりあり,自分なりに結構真剣に検討しましたが,以下の3つの理由で断念しました.
理由1 脚の値段が高い
まずはこれです.後述の理由で天板にお金をある程度かけたかったので,脚にかけるお金にしては高すぎました.固定式だと安い脚で1万円以下,高級なものでも2万円前後だったので,その2-5倍ほどする昇降式にそれだけの価値を見出せなかったという印象でした.
理由2 剛性に不安を感じた
剛性というのは,机のがっしり感というか,揺れたりぐらぐらしたりしないということです.交換前の机の剛性感が低かったので,キーボードを打つだけでその振動でディスプレイが若干揺れ,地味にストレスでした.下調べした段階では昇降式デスクの剛性感に触れているレビューがあまり見つけられなかったのと,やはり固定式の剛性感には劣るという記述も見かけたので,今回の目的とは逸れるかな,と感じました.
理由3 自分自身の集中力がそんなに続かないんじゃないかという懸念
これは製品の問題でもなんでもなくて,自分自身の問題ですね. 昇降式推進派の最大のアピールとして,デスクの高さを変えて立ったり座ったりすることで何時間もぶっ続けで作業ができるとよく言われますが,自分にそんなに長時間集中して作業できる精神力があるとは思えなかったんですね.最近はApple Watchをつけていると1時間に一度立ちなさいと怒られるので,それで立てばいいんじゃないかと思って,この最大のメリットに魅力を感じなかったというのが3つ目の理由です.
というわけで,今回は脚の高さが固定式の机にすることに決めました.
机の仕様の検討
さて,脚が固定式になったことで具体的に検討した机の仕様です.
まず,天板については以下の項目をあらかじめ決めていました.
幅140cm以上,奥行き70cm以上
広葉樹の集成材
表面はオイル仕上げを自分で行う
1については,当時研究室で使用していた机が140cmで,研究室にあった他の120cmの机に比べて明確に広さを感じたので,この20cmは大きいという体感がありました.奥行きも同じような感覚ですが,奥行きが浅すぎると設置するモニターが目につかすぎて疲れるだろうな,という想定があったのでこのくらいは最低でも必要だろうと.2については,以前使っていた天板が合板で表面が派手に歪んでいたので却下,針葉樹については軽いけどその分耐久性に疑問を感じたので,せっかくなら硬い広葉樹にしようという感じです.一枚板よりも集成材の方が耐久性,特に反りに強いという記述を見かけたのでそれに期待して集成材としました.3については,いろいろな塗装方法がある中で,オイル仕上げのデスクがあまりにも格好いいので即決です.自分でやるというのは,ただの自己満足ですが,自分で塗装すれば多少剥げたり汚れたりも直しやすいかなという気持ちです.
脚についてはできるだけシンプルな構造でぐらつきがなさそうなもの,天板と分解が可能な構造にすること,その中でできるだけ格好いいものが条件でした.
最終的な仕様
以上のことを検討しながら情報収集を進め,最終的に以下の仕様にしました.
天板
タモ集成材 幅150cm 奥行き 72cm 厚さ3cm(重量20kg前後)
マルトクショップという木材のオンラインショップで購入
奥にケーブル通しの加工(結局あまり活用せず)
手前の肘が当たる角のみ丸みをつけて腕のあたりをよくする
表面はワトコオイルのエボニーカラーを使用
脚
脚はネットでサーチしている中で一目惚れしたかなでもののアイアンスクエアの脚に即決.すでに上の写真では仮ぐみでくっついています.
天板と脚の固定
今回の工夫の一つがこれ,何せかなり巨大な机なので,分解できないと引越しとか大変だろうなーという懸念があったので脚と天板を分解して再組立できるようにとネットで情報を漁っていたところ,鬼目ナットという部品を発見.これは一般的なボルトを使って木と他の部品を固定するために木に埋め込んで使うナットで,加工は若干大変だけど,まさに私の要求を満たすものでした.
大変だった点
やすりがけと塗装
とにかく大変だったのがこれ.何せ広いデスクを目指したので,処理が必要な面積も広いったらない.やすりは最初だけではなく,塗装した直後,乾燥した後にも行うし,塗装も数回にわたってするので,多分作業時間のほとんどはやすりがけの時間でした.まあその分すべすべで質感最高の天板に仕上がったので苦労した甲斐があったというものですが.
鬼目ナットの下穴
前述の鬼目ナットは,結構広めの下穴を開けた上で鬼目ナットを打ち込む必要がありますが,今回の木材であるタモがかなり硬いので,少しずつ穴を広げていかないと割れそうだなという心配がありました.また,下穴をきちんと垂直に開けないとナットも曲がり固定するボルトも曲がるので,そのシビアな感じもすごく緊張しました.
満足している点
まずはやっぱり天板です,サイズ感,表面の質感,手触り,木目が浮き出るような見た目,木の柔らかさとしっかり感,全てが満足です.ひたすらにやすった甲斐があります.オイル塗装は定期的なメンテナンスが必要と書いてありましたが,今の所,最初の塗装から1年後に重ね塗装を軽くしたくらいで問題なく使えていますし,表面の劣化などもないと思います.
全体の剛性感も文句なしです.脚ががたつくこともないし,天板が歪むような感触もない.何をしていても安心感が抜群です.
総評
いわゆる木工というのは今回のデスクが初めてでしたが,想像以上に楽しく作業できました.何より自分が理想としたデスクを自分で作って実際に使う満足感は半端ないです.もう3年以上経ちますが,全く飽きるどころか日に日に愛着が増すばかりです.また,元々自分で作っているということもあってか,穴を開けたりして追加のカスタムをすることも抵抗なく行うことができ,定期的にちょっとずつ進化しています.今現在の姿は後編の記事でお見せしようと思いますので,そちらもぜひ読んでいただけると嬉しいです.自宅での作業の効率を上げたい人,モチベーションを上げたい人は机への投資,非常におすすめです.