中小企業【アフターコロナ】の資金繰り!《使ってしまったコロナ資金》⑥基礎知識編
中小企業のアフターコロナの資金繰りについて様々な角度からお話をすすめています。今回は新型コロナウィルス対策の制度融資を利用された会社が、制度融資により確保した資金をどのように利用したかについての考察したいと思います。言うまでもありませんが、新型コロナ対策の制度融資は、通常よりも有利な条件で、平常時よりも多めの資金を、必要額ではなく見込額で、資金使途も問わず緊急事態への対応策とし確保することが可能となり、先行きの経済的な不安に対しての大きなアトバンテージを得ることが出来ました。
企業が現在おかれている状況や業種、事業規模によって若干事情は異なると思われますが、一般的には、新型コロナの制度融資を利用することによって、普段よりも安易に、思っていたよりも大きな金額を、通常よりも短い審査期間で、提出資料も最低限で、素早い口座着金を実感された経営者の方が多いと思います。
使ってしまったコロナ資金
中小企業のアフターコロナの資金繰りにおいて、最も気を付けなければならないのは、この普段通常だと確保が難しい使用使途を問われない事業資金=自由に流用可能な事業資金が、アフターコロナの現在、どのような道筋を辿って、現在まで会社に対してどういう影響を与えたか?という事です。
もちろん、資金の本来の趣旨に照らし合わせるなら、当然、新型コロナウィルスの直接間接問わず影響を受けての収益等の減少に対して大きな効果を与えて、中小企業のコロナ禍における資金繰りを底支えしたという事実が答えとして返ってくると思われます。
しかし現在は既にアフターコロナです。コロナ禍における中小企業の資金繰りを大いに手助けしてくれたコロナ資金は、その役目を終えたアフターコロナにおいては使ってしまったコロナ資金として、企業財務を激しく圧迫し企業の財務価値を著しく損ねてしまう存在となっています。
予測不可能な外的要因で、不可抗力でしかないコロナ禍の為の制度融資なので、企業の財務価値に対して影響を与えるのはおかしい、という意見は真っ当な意見であるとは思われますが、しかし、アフターコロナにおいて、コロナ対策の制度融資による事業資金の貸付けは、金融機関や信用保証協会からみると既に財務上の企業価値を著しく貶めてしまう最も大きな原因として今後扱われてしまいます。
使ってしまったコロナ資金への対応策
中業企業のアフターコロナの資金繰りにおいては、新型コロナの制度融資で受けた事業資金融資を、対外的アプローチで財務諸表にて判断される場合には、そのコロナ資金が使ってしまったコロナ資金(=失ってしまったコロナ資金)として認識されない事が一番のポイントとなります。
一般的な感覚で、コロナ禍における損失補填として利用しました、という説明では使ってしまったコロナ資金そのものですし、コロナ資金でなんとか資金繰りをギリギリ回す事ができました、というのも企業評価からすると落第点です。もっと悪い例でご説明すると、資金を流用して資産運用や社外における投資活動に利用しました、というのはいくら資金使途を厳密には問わない資金とはいえ、事業資金の流用と看做されますので決算時点における、会計処理の方法につき細心 の注意が必要となります。
今回のコロナ融資制度において一番評価される資金の使い道は、万が一の場合の安心の為に制度融資を利用して資金確保しましたが、結局、経営努力で資金にはほぼ手を付けることがなく、普通預金口座にそのまま残高として同額が残ったままです、というのが正解となります。
それでは、融資額がそれほど普通預金には残っていなくてコロナ資金を
1.コロナ禍の影響を大きくうけての減収分の穴埋めに利用した会社
2.調達資金を活かして自社の事業に設備投資等を行った会社
3.資金を増やす目的で、社外への事業投資や資産運用に流用した会社
それぞれのケースについて対応策をお話ししたいと思います。