ameの匂い

ああ雨だ

金曜日の夜は目覚ましをかけずに寝ている。

太陽の光を浴びながら起きたくて、カーテンはあるが使ったことはない。

ジョボジョボと雨が屋根を伝う音で目が覚めた。

ここカリフォルニアでは年に10回雨が降ればいい方と言われているが、今年だけでもう5回以上は降っている。

おはよう

ホームステイさせてもらっている家族にいつも通りの挨拶。

雨がすごいね と私

すごく嬉しいよ

カリフォルニアでは水不足が大きな問題になっている。

これだけ降れば2、3年は大丈夫かな

なぜ大きな火事が起きた後に、こんなに雨が続くのだろう。もう少し均等に、バランスよく降ってもらいたいものだ。

中庭の扉をあけて、雨の匂いを嗅ぐ。

なんだろう、このすごく新鮮な空気、湿っているけど呼吸がしやすい気がする。

今日は外で運動できないね 

ああ残念だよ 

本当はそんなこと思っていなかったが、少しアスリートのフリをする。

高校生の頃と今では、雨に対しての想いが違う。

高校生の頃、私はテニス部に所属していて毎日練習をしていた。

そのころは雨が降ると、よっしゃ!今日は室内で少しトレーニングをしたらオフだ、とみんなでお祭り騒ぎをしていた。

あの頃は雨だから外に出れない、などと思ったことは一度もなかった。

しかし部活を引退し、カリフォルニアに語学留学しに来ている私にとっては、もう雨はただ交通手段が限定されたり、楽しみである運動ができないというあまりメリットを感じられないものでしかなかった。

タカ! こっちで一緒にお茶を飲もう

はい

家族で雨の音を聴きながら、いろんな話をしながら美味しいお茶を飲む。

時間の流れが遅くなる。

ああ雨も悪くない

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