起業するな。元起業家からの忠告
起業は名誉のためにするものじゃない。お金のためにするものじゃない。現代日本の社会保障制度においてはどんなに金銭的なリスクを背負っても死ぬことはない。必要最低限の生活は絶対に保障されてる。だから起業することを躊躇うなと一部の起業を勧めてくる人がいる。
私は出来るならば起業しない方がいいと思っている人間だ。
実は私も大学生時代に起業していた。
結論から言うと大失敗してサラリーマンをすることにした。
起業は世間でいう成功者はキラキラとしているし、かっこいい。その一方で過度なストレスからうつ病や社会との接触を絶ってしまう人がいるのも事実だ。
私は当時大学生だったので、起業をスッパリ諦めて就職活動をした。結果的には外資のコンサル会社で充実した日々を送っている。
巷には起業しろおじさんが沢山いて社会に出て間もない若い人に無責任にチャレンジを後押ししてくる。そんな無責任おじさんの言葉にウキウキしてしまった人に向けて起業して得られそうなことって実は起業しなくても得られるそんな事実を書いていこうと思う。
お金持ちになりたい?
ヘッジファンドや外資系のコンサルに就職するといい。
実力があれば年収1億円くらいにはなる。
上場企業社長の平均年収は3500万円程度。新興市場マザーズにおいては1000万円そこそこしか取らない役員のも存在する。
創業者として株を売り買いして得るキャピタルゲインはそこそこある。
しかし、キャピタルゲインを得られる起業家は全体の0.1%以下。
1000人に一人の確率ゲームにチャレンジしたい人でなければ、サラリーマンとして実力を磨いた方がよっぽど稼げる。
名声が欲しい。
むしろ最初は「怪しい」「胡散臭い」と揶揄されることが大半だ。表向きには応援の言葉をかけてくれる人もいるが、実際に重要なお願いをすると大抵お茶を濁してくる。つまり実際には全く応援されていない。
ならば、ある程度知名度のある会社でサラリーマンをしていた方がよっぽど人から頼りにされるし、尊敬される。
想像してみて欲しい。無名の会社の代表取締役の名刺と有名な大企業の課長くらいの名刺をもらうのと同じ人物でもどちらが感動するだろうか。大企業の名刺であれば、本人がすごくなくても会社がすごいので、勝手にすごいと錯覚してもらえる。
世界を変える大きなチャレンジがしたい。
0→1で小資本でスタートしないと行けないスタートアップ起業家が本当に大きなチャレンジができるだろうか?シード期はせいぜい数千万円程度の資金しか投入されない。
世界を変える大きなことの定義次第ではあるが、例えばモビリティー革命をしたいと意気込んでもTOYOTAの電気自動車事業やNTTのシェアサイクルと同じスケールでビジネスができるだろうか。
純粋に世界を変えるくらいの大きなチャレンジがしたいのであれば、大企業の新規事業の方がよっぽどリソースが余っている。
それでも起業した方いい人ってどんな人か?
上記3点の理由から現時点で起業を考えている人の大半は起業しないことを勧める。
しかし、それでも起業した方がいいと思う人物像はこう思っている。
・特定のコアな技術を持っている
・特定の業界に強いインサイトを持っている
どちらかに当てはまる人は起業することを勧める。
この条件は小資本のスタートアップで巨人に立ち向かえる唯一の武器になる。
初期段階では金銭的な苦労を強いられるが、コアな技術を完成させた後であれば、引く手数多に出資の誘いがある。大資本に対してスタートアップが資本力で買っていく為には誰もみたことない技術を保有することは大きな競争力になる。
ディープで参入障壁が高い業界は参入するプレイヤーが少ないから確率論的に投資家はリターンを出しやすいと考える。その結果、初期段階から資金を集めやすい。
何よりも大切なことは周囲の意見に流されず、自分の考えをどこまでも信じ切れる奴が起業すると良いと思ってる。私はそこまで自分を信じ切ることができなかった。だから起業家として生きることを諦めた。
自分の知り合い全てが反対しても、自分が描く未来の実現に向けて自分自身を信じ切れる人だけが成功を収めるのかもしれない。
だからこそ、生半可な気持ちで起業するのは全く賛同しない。
良い感じに収益率が高いフリーランス的な起業であれば、食いっぱぐれることもないから自由にすれば良いけど、VCや外部の投資家を巻き込んで起業することは勧められない。
以上の理由から私は起業を考えている人の大半が起業するべきでないと思っている。そもそも実行しない人が大半だから、あまり危惧していないことも事実だが、実際に地に足のついていない夢ばかりをみて安易な発想で起業してしまう人は数年後に地獄を見るので注意して欲しいと思う。
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