トーモロコシ

 私の家は約40年前ここに帰ってくるときに建てました。元は親戚の田んぼだったのですが、譲ってもらいました。宅地より少し広かったので残りは畑にしていました。最初は何かを作るとかの予定もありませんでしたが、草がすぐ生えてきてしまいます。周りの田畑に迷惑がかかるので、草刈りをしていましたが、草を抑える作物を植えれば良いとサツマイモを作り始めました。定時制に勤めていた頃や退職後の数年は生徒に収穫してもらい、その後バーベキューで楽しんだりしていましたが、最近は孫娘が収穫を楽しんでくれますので作るのが楽しみになっています。今年もジャガイモの収穫に来てもらいました。今はトウモロコシが収穫時期で先日娘にトトロ風に「トーモロコシの収穫ができるよ。いつ来てくれるんかな」とメールしました。あと数日できてくれるとのことで楽しみにしています。
 とうもろこしの栽培は久しぶりなのでうまくできているかなと先日実をもいでみました。よく見ると皮に黒い小さな穴が開いていました。皮を剥いでみると案の定中に虫がいました。殺虫剤を掛けていないので当然のことです。その部分だけをよけて生で食べました。おいしかったので安心しました。
 しかし、最近虫は絶対にだめという人が多いのにビックリしています。そして虫食った野菜は絶対に売れないということも聞きました。農家は少しでも高く売る・収穫を増やすためにビックリするほど農薬を使います。手間と費用がかかります。私は農薬を使いませんが、その最大の理由は面倒だからです。私が作った野菜は無農薬と主張しようとは思いません。その種や苗はビックリするほどの農薬を使って作られているからです。
 そして昔から長野県では「一番おいしいリンゴは虫が食べる。二番目は虫が食べたリンゴは売れないので農家の人が食べる。虫も食わないまずいリンゴを消費者が食べる」と言われています。孫がもいだとうもろこしに虫がいたら「一番おいしいトーモロコシは虫が食べる。二番目は虫が食べたおいしいトーモロコシを孫が食べる。虫も食わないまずいトーモロコシを皆が食べている」と言うつもりです。多分孫は食べると思っています。先日のジャガイモの収穫時にはミミズが一杯いましたが、娘夫婦がミミズがいるのはいい土の証拠だと孫に話していたからです。
 先日ラジオを聞いていたら、ある主婦が「夫の実家からいつも自家製の野菜を送ってくれるのでおいしく食べていたが、先日帰省して義父と一緒に畑に行ったところ、義父が畑の苗におしっこを掛けているのを見て以来、その野菜が食べられなくなった」と投稿していました。複雑な気持ちです。我々の先祖は人糞を肥料として生存できたことを知っているからです。そして私も中学生の頃、授業に「職業」という科目があり実質は学校の田畑を耕作することでしたが、肥料として学校のトイレの人糞(我々はこれをダルゴイと呼んでいました)を桶にくみ取って田畑に運んでいました。今こんなことをしたらPTAが大騒ぎをするだろうなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?