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【無料記事】MLB新ルール!令和版「ルールブックの盲点」
令和版「ルールブックの盲点」
どんなプレイか?
【令和版"ルールの盲点"】
— 松田 貴士(まつだ たかひと) (@T_Matsuda44) January 24, 2025
一昨年から話題になっていた"二塁駆け抜け"をMLBが取り締まりへ
2アウト走者一三塁の内野ゴロ
もし一塁走者の二塁到達が際どいタイミングなら、スライディングするよりも走り抜けた方がセーフになる確率が高くなるという理屈pic.twitter.com/ItVQ5TREt4…
ルールの根拠
(a) 3人アウトになってそのイニングが終了する前に、走者が正規に一塁、二塁、三塁、本塁に進み、かつこれに触れた場合には、その都度、1点が記録される。
【例外】 第3アウトが次のような場合には、そのアウトにいたるプレイ中に、走者(1、2にあたる場合は全走者、3にあたる場合は後位の走者)が本塁に進んでも、得点は記録されない。
(1) 打者走者が一塁に触れる前にアウトにされたとき。(5.09a、6.03a参照)
(2) 走者がフォースアウトされたとき。(5.09b6参照)
(3) 前位の走者が塁に触れ損ねてアウトにされたとき。(5.09c1・2、同d参照)
これは審判の専門用語で「タイムプレイ」と呼ばれ、↑に示したルール5.08(a)【例外】の(1)(2)に該当しない、つまり第三アウトが走者が押し出されたり、打者走者が一塁に到達する前にアウトになる「フォースアウト」ではなく「タッグアウト」や「アピールアウト」になった場合には、そのアウトと得点を試みた走者の本塁触塁のどちらか先かを比べ、本塁触塁が早ければ得点、アウトが早ければ無得点となるプレイのことを指します。
こちらの映像(↓)をご覧ください。
特に映像の最後の方にチラッと映り込む球審のジェスチャーにご注目ください(画像↓)。
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これは三塁で起きたタッグプレイでの第三アウトが走者の本塁触塁よりも先であったとの判断で、「得点を認めない」というジェスチャーになります。
その前の段階で球審がこの「タイムプレイ」を察知し、三塁と本塁でのプレイが見比べられる位置に移動している様子もうかがえます(画像↓)。
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逆にこちらの映像(↓)は、一瞬ですが球審がホームベースを指差している様子が映り込んでいます。これは「得点を認める」ジェスチャーになります。
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元祖「ルールブックの盲点」
【第三アウトの置き換え】
— 松田 貴士(まつだ たかひと) (@T_Matsuda44) November 15, 2024
ドカベン、いや野球漫画名シーンの一つ、「ルールブックの盲点の1点」
場面は1アウト、走者満塁
映像内のルールの解説は非常にわかりやすくなっていますpic.twitter.com/ljJUGJAMHV
↑の映像にある有名野球漫画『ドカベン』の名シーンは、前述の「タイムプレイ」が本塁触塁と「アピールアウト」の比較になっているケースです。
このプレイが”盲点”として語られるのは、
一塁でのアウトが「フォースアウト」のような形に見えるので、「タイムプレイ」ではないと勘違いしてしまう
第三アウトの置き換えができるケース
という2点が大きな理由だと考えられます。
MLB新ルール
概要
今週初めに行われたメジャーリーグ機構の競技委員会(competition committee)で2025年より運用されると決まったルールの一つに、上記の走塁を取り締まるものがあります。
この走塁の問題点の一つに、従来は↓の映像のような走塁をしてたとえその場で「アウト」になっても、リプレイ検証の結果「セーフ」に覆ると、三塁走者の得点を認めるのはもちろんですが、この駆け抜けるフォースの状態にある走者を「セーフ」にして駆け抜けたベースに戻さなければなりませんでした。
聞いただけでは当たり前のように感じますが、そもそもこの駆け抜けた走者の目的は「フォースアウト」になることを防いで三塁走者を得点させることにあり、自身はその後挟まれてアウトになることは重々承知のプレイであるため、そんなリスクを冒した走者を「セーフ」にしてその塁に戻すことにすると、利害関係で不都合が生じます。別の言葉で表現すれば、「ルールの精神に反する」のです。
そこで新ルールでは、↓の映像にあるようにフォースプレイに関わらずこのような走塁をすれば、その走者は「走塁放棄」としてアウトとなり、そのアウトとするタイミングはその走者の両足がその駆け抜けた塁を過ぎて地面に着いた瞬間。リプレイ検証にかけられれば、「アウト」か「セーフ」かに加え、この点も見極めることになります。
必ずスライディングしなければならないわけではない
ここでまず「走塁放棄」のルールを確認します。
(2) 一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、ベースパスから離れ、次の塁に進もうとする意志を明らかに放棄した場合。
【原注】 一塁に触れてすでに走者となったプレーヤーが、もはやプレイは続けられていないと思い込んで、ベースパスを離れてダッグアウトか守備位置の方へ向かったとき、審判員がその行為を走塁する意思を放棄したとみなすことができると判断した場合、その走者はアウトを宣告される。この際、たとえアウトが宣告されても、他の走者に関しては、ボールインプレイの状態が続けられる。この規則は、次のプレイなどに適用される。
例──0アウトまた1アウトで、同点の最終回、走者一塁のとき、打者が競技場の外へサヨナラ本塁打を打った。一塁走者は、二塁を過ぎてから、本塁打で自動的に勝利が決まったと思い込み、ダイヤモンドを横切って自分のベンチに向かった。この間、打者は、本塁に向かって進んでいたような場合、走者は、〝次塁に進もうとする意志を放棄した〟という理由で、アウトを宣告され、打者走者は各塁を踏んで行って本塁打を生かすことが許される。もし、2アウト後ならば、本塁打は認められない。(5.09d参照)。
これはアピールプレイではない。
例──走者が一塁または三塁で触球されアウトを宣告されたと思い込んでダッグアウトに向かいだし、依然としてアウトだと思い込んでいる様子が明らかだと審判員が認めるのに適当な距離まで進んでいるときには、走者は進塁を放棄したという理由でアウトを宣告される。
【注】 フォースの状態におかれている走者に対しては、本項を適用しない。
まず前述の通り、この「走塁放棄」という形で走者をアウトにはしますが、「走塁放棄」もまた「フォースアウト」には該当しないので、このアウトと得点は「タイムプレイ」の対象であることに変わりはありません。
なので審判サイドの運用としては、球審は従来より「タイムプレイ」に備えるケースが増えます。具体的には、これまで今回取り上げているようなプレイが起こる時は十中八九「フォースプレイ」でイニング終了だったので、↑の映像でご紹介したような「タイムプレイ」に備えるポジショニンは行ってきませんでしたが、この走塁の普及やルールの変更に伴い、たとえ第三アウトが「フォースアウト」の場合も、一塁以外でプレイが企てられる場合はそのアウトと本塁触塁を見比べられる位置にいなければならないことになります。
また、このことからこの走塁行為自体が禁止なのではなく、あくまでこの走塁行為を行うメリットよりデメリットの方が大きくなった、というのが正しい解釈です。これまではそのバランスが取れていなかったのを、MLBはあくまで均衡にして本来の”ルールの精神”が守られるように最小限の変更を加えた、ということになります。
なので、決して「必ずスライディングしなければならないルール」なのではなく、「スライディングしなくてもそんなに得ではなくなりましたよルール」であり、あくまでスライディングしない走者を直接罰するルールではないことを念頭に置いておきましょう。
また、日本独自の【注】に
「フォースの状態におかれている走者に対しては、本項を適用しない。」
とありますが、仮に日本でこの新ルールを適用したとしても、その走者が「走塁放棄」としてアウトになるのはフォースの状態が解除された後になるので、この一文は関係ないことになります。
守備妨害は適用されないの?
結論から言うと、たとえその塁上で野手が送球を受けようとしていてスライディングせずにその塁を駆け抜けようとしても守備妨害の適用はされません。
基本的に送球であったり、送球に対して守備をしている野手の守備行為を妨げたとしてインターフェアランスが宣告される場合というのは、あくまで故意である場合に限ります。そしてその走者がその塁に向かって走ったり、その次の塁に向かおうとする限りは、たとえ接触や接触の可能性があっても守備妨害としてしまうのは拡大解釈となってしまいます。
(13) 野手が、あるプレイをなし遂げるために、送球を捕らえようとしているか、または送球しようとしているのを前位の走者が故意に妨害したと審判員が認めた場合。
【原注】 この規則は攻撃側プレーヤーによる許しがたい非スポーツマン的な行為に対するペナルティとして定められたものであって、走者が塁を得ようとしないで、併殺プレイのピボットマン(併殺の際、ボールを継送するプレーヤー。すなわち遊撃手─二塁手─一塁手とわたる併殺ならば二塁手、二塁手─遊撃手─一塁手の併殺ならば遊撃手がピボットマンである)を妨害する目的で、明らかにベースラインからはずれて走るような場合に適用されるものである。
(3) 走者が、送球を故意に妨げた場合、または打球を処理しようとしている野手の妨げになった場合。
ペナルティ 走者はアウトとなり、ボールデッドとなる。〔6.01a妨害に対するペナルティ〕参照。
まだMLBから公式にルールの文章が発表されたわけではなく、おそらくいつものように出し抜くことができないように細部まで詰められていると思います。また新たな情報が入り次第、解説させていただきます。