日本で一番詳しいブロッキングベース(MLB版)解説
こちらの記事で解説させていただいたように、今年は打者走者が一塁に向かって走る際の「スリーフットレーン」が3フィートより長くなり、フェア地域に拡大したことが大きなルール変更点で、あとはペース・オブ・ゲームに関するルールの細かな”帳尻合わせ”が行われました。選手たちはこの1ヶ月で調整し、レギュラーシーズンに入っていきます。
実はそれらの変更に加え、MLBの審判員および各チームの監督にもう一つルールに関する”ガイダンス”が通達されました。それは昨年、日本でも異例のシーズン中での”運用変更”という形で発表され、施行された「ブロッキングベース」です。
背景
日本野球機構(NPB)での先行実施
日本では8月18日に横浜スタジアムで行われたDeNA対阪神の試合で、9回表に阪神の選手が盗塁を試みた際、二塁ベースに入ったDeNAの選手の足が完全にブロックする形となり、タイミングはセーフだったのにもかかわらずリプレイ検証の結果、アウトと判定されたプレイが発端となり、その後行われた理事会・実行委員会を経て、ルールの運用を変更することを発表しました。
MLBでも以前から懸案事項に
↓の記事によれば、MLBでも同様の事象が以前より見受けられていて、2021年から懸案事項として存在していたようです。昨年実施することも検討されたようですが、ピッチクロックの導入やそれに伴う大きなルール変更が優先されました。また3インチ大きくなるベースによって、もしかしたら傾向が変わるかもしれないという見立てもあり、実施は見送られたようです。
概要
実施までの経緯
ここでまず、走塁妨害の定義を確認しておきましょう。
よって、従来の運用方法だと「野手がボールを”持つ”ときか、あるいはボールを処理する行為をして”いる”ときに」なら基本的には何をしても走塁妨害となることはありませんでした。
そもそも守備妨害と違い、走塁妨害には基本的に故意か故意でないかという概念は存在しません。その証拠に、Official Baseball Rulesに出てくる「intentional(故意の)」という言葉は派生系や否定系(intentionally, unintentionalなど)も合わせて全部で(記録の章も含めて)36箇所ありますが、走塁妨害に関するものは一つもありません。
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