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【アーカイブ】判定検証 2012年7月12日「サヨナラインフィールドフライ」 File No. 005
この記事では遡ること2012年、高校野球神奈川県予選の1回戦武相対日大藤沢で起きた「サヨナラインフィールドフライ」として知られるプレイについて解説いたします。
今回このプレイを取り上げるきっかけとなったのは、先日からX(エックス)で議論させていただいている「ボールインプレイ中のタイムの宣告」。
元々は
「フォアボールの際に打者走者が一塁に到達する前にタイムをかけるべきか否かという質問から始まり、驚いたことに非常に多くの方が
「ボールインプレイ中はタイムをかけてはならない」
と認識していることを受け、今回このプレイを通して
”公平性”から考える、「タイム」をかけるという審判員の役割
を皆さんと考えていきたいと思います。
概要
当該プレイ
詳細は当時の日刊スポーツの記事を引用させていただきます。
<高校野球神奈川大会:日大藤沢3-2武相>◇12日◇1回戦◇保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム
えっ、インフィールドフライなのにサヨナラ勝ち?
武相-日大藤沢戦は、珍しい形で決着した。2-2で迎えた9回裏、日大藤沢は1死満塁と絶好のサヨナラ機。1番・伊藤修太外野手(3年)は遊撃へのインフィールドフライに倒れたが、武相ナインがひと呼吸置いたスキに、三塁走者の斎藤歩内野手(1年)がスルスルと走りだし、サヨナラのホームを踏んだ。ともに甲子園出場経験のある強豪同士の好カードは、意外な幕切れとなった。
[2012年7月13日7時55分 紙面から]
ちなみにインフィールドフライの打球の流れからサヨナラで試合終了になっていることから、この記事でも使っている「サヨナラインフィールドフライ」として知られていますが、↑で引用した日刊スポーツの記事にあるように、「サヨナラ本盗(ホームスチール)」が記録上は適切な表現となるそうです。
世間の反応
このプレイに対する評価として、世の中では野球のルールと結びつけて
「ルールブックの盲点」「ルールの穴」
とする傾向が見受けられます。具体的には
「インフィールドフライはボールインプレイの状態が続く」
ことを挙げ、このルールを知っていた走者の好走塁であり、同時にそれを知らなかった守備側のミスである、という文脈で語られています。
ルールの根拠
インフィールドフライが宣告されてもボールインプレイであるから、走者は離塁しても進塁してもよいが、その飛球が捕らえられれば、リタッチの義務が生じ、これを果たさなかった場合には、普通のフライの場合と同様、アウトにされるおそれがある。
現場の反応
思わぬ形でサヨナラ負けを喫した武相高校の選手が、その後ネットで大炎上した、試合後の整列で帽子を取らなかったことや客席から聞こえる怒号の嵐からも、このような試合の幕切れに現場でこれを目の当たりにした人たちは不満を募らせたことが想像できます。
また勝った日大藤沢高校の監督が試合後に取材に応じており、コメントで
「勝って何だけど…。うちが逆のことをやられたら逆上している」
とこちらの記事で打ち明けているように、その勝ち方には後ろめたさを感じていることがわかります。
審判団も、映像で確認できるように、三塁走者がホームインした際の自信なさげな球審の「セーフ」のジェスチャーをはじめとする約5分間に及ぶ抗議への対応からも、ゲームマネジメントにおける失態を自らが認識しつつも、無理やり試合を終わらせようとする姿勢が伺えます。
こちらの記事(↓)はこの試合から10年後に当時二塁塁審を務められていた方が、試合終了の一連の手続きは正当化しつつも、それより前に起きた”誤審”に触れながら、このような結果を招いたことに今でも罪悪感を感じ、審判活動を始め野球に関わることを辞めた、といったことを告白しています。
検証
「ルールブックの盲点」説
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