週刊審判ダイジェスト 第19号(2024年8月27日)
今週のプレイ
当該プレイ その1
判定
打球はノーキャッチの判定。
しかしながらこの飛球が捕球されたと思い込んだ一塁走者はハーフウェイから一塁方向に引き返したところ、一塁を回って二塁に向かう途中に戻ってくる一塁走者を見て止まっていた打者走者とすれ違う形になりました。
後位の(打者)走者がアウトとなっていない前位の(一塁)走者に先んじたため、追い越しにより打者走者はアウトになりました。
さらに、一塁走者も一・二塁間で止まってしまっていたところでランダウンが始まり、タッグアウトとなりダブルプレー。攻守交代となったのでした。
ルールの根拠
このケースは本文中の
「後位の走者がアウトとなっていない前位の走者に先んじた」
というよりは、【原注】の
「前位の走者の行動によって、後位の走者は前位の走者に先んじたとみなされる」
といった方がしっくりくるでしょう。本来からこのようなケースも想定はされていましたが、表現をより適切にするために2017年度の規則改正(アメリカでは2016年度)により、この【原注】が追加されました。
判定検証
実はこの”ノーキャッチ”の判定は誤りで、中堅手はインフライトの状態で捕球(キャッチ)をしていたのです。
普通なら「キャッチ=アウト」を「ノーキャッチ」とされた訳ですから、守備側が異議申し立てするところですが、たまたま捕球後に内野に返球し、ハーフウェイの一塁走者を一塁のリタッチ前の「アピールアウト」にしようとしていた守備行為が結果オーライ、ダブルプレーとなったため、キャッチであったことを認めてもらわなくてもよくなってしまったのです。
一方、いつもなら「キャッチ」を「ノーキャッチ」とされたらラッキーなはずの攻撃側がダブルプレーを取られてしまい、結果的に不利を被ってしまいました。攻撃側の監督がこの一連のプレイに対し、5分間にもわたる抗議を行いました。
抗議はするべきシチュエーションでしたが、残念ながらその内容が的外れ。なんと
「二塁塁審がジェスチャーしてくれなかったから、一塁走者はどうしていいかわからなかった」
と審判団に訴えたのでした。
四人制の1アウト、走者一塁で↑の映像のような中堅手がフェンス際でレフトの方向を向いて補給しようとするような打球は三塁塁審が判定をする決まりになっています。
一度走者が出塁すると、走者三塁(画像↓)や状況(内野前進守備)によっては二・三塁(画像↓)の場面を除いて、二塁塁審が外野への飛球の判定を担当することはありません。
フォーメーションはあくまで”審判の都合”ではありますが、回答としてはこのように答えるしかなく、二塁塁審に落ち度はありません。
5分も抗議が続いたので、おそらくこれ以外にも議論になった内容はあったとは思いますが、試合後の談話でこのように話したということは、おそらく「二塁累進のジェスチャーがなかった」ことが最も訴えたかったことなのでしょう。
残念ながらそれではこのプレイを自分のチームに有利になるようにすることはできません。審判員の判定が誤審であり、リプレイ検証というその誤審を正すシステムがあったのにもかかわらず、です。
それではこの攻撃側監督はどのように異議申し立てすべきだったのか。
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