社内の委員会活動でスクラムやってみた理由&ポイント
弊社は部会という部門ごとに定期的に集まって開かれる情報共有会があり、私はその運営をする委員会に所属しています。もともと別の委員会に居たのですが、部会そのものをアレコレして参加者みんなにとって意味ある良い時間にしたいな~という思いで2019年末ぐらいに手を挙げて2020年度からの任命になりました。進めるにあたって私は上司と相談してこの委員会の活動をスクラムで進めることにしました。目的は以下の3つ。
1. スクラムをソフトウェア開発以外でも使えることを体感する
2. スクラムがメイン業務の傍らのサブ業務でも使えるか検証する
3. 上記のケースでスクラムを使うときのノウハウを貯める
そんな目標を抱えながら委員会で1年活動をしたのでそこでの学びを書き記します。
ソフトウェア開発以外でも、スクラムはいいぞ
結果的にはプロダクトである「部会」は前年度に比べ大幅な刷新を果たし、飛躍的な参加率の向上を果たしました!8888888!他のメトリクスは前年度から引き継げなかったので定量的な評価は難しいですが、参加者のポジティブなフィードバックや他部門から来た方からの「いい意味でぜんぜん違う!」というリアクションがとっても嬉しかったです(社内向け連絡:具体的に部会の内容をどう変えたかなど興味ある方はぜひご連絡ください)。
部会運営をスクラムで始めると決めた2019年度はまだスクラムガイド2017年版で「複雑なプロダクトを開発・提供・保守するためのフレームワーク」としか書いていませんでした。私たちが実践を通していく途中で、スクラムガイド2020年版では「ソフトウェアプロダクト開発の領域をを超えて、本質的に複雑な作業を必要とするさまざまなドメインでスクラムが採用されている」と定義し直されたのも、自信の追い風になりました。
サブ業務スクラムでのポイント
学びの共有として「サブ業務でスクラムを使うとき」のポイントをあげていきます。ここでのサブ業務とは、プロジェクトなどのメイン業務があり、そのスキマ時間(コミットできる時間が不定)に行うものを「サブ業務」と定義しています。
いちばん大切なポイントは「活動はサブ業務であり、メイン業務優先であること」、そして「メイン業務が忙しい時はサブ業務で何もできなくても、お互い気にしない」ことを明示的に繰り返しながら浸透させることです。この認識が行き渡っていないと仕事が忙しくなった途端に「なにもできずすみません……」という気持ちばかり湧いてしまってチーム活動に参加するのが楽しくなくなってしまいます。私も積極的に「何もできてません」って言います。それを気軽に言える雰囲気作りが大事かも。
そういう意味では一応スクラムマスターは決めているものの、あまり役割の縛りは無いほうが良い気もします。誰もがスクラムマスターであり、プロダクトオーナーであり、開発者である、ぐらいの方が活動が止まりません。意識的にこういう話をしたことは無いですが、今のチームメンバーのマインドは割とそれに近い状態な気がします。そのおかげか、メンバーが常に全員揃うわけではない活動でもストップすることはありません。スクラムのイベントも同じで、定例は週1時間しかないので普通にやっていたら時間が足りません。定例の目的を共有してその1時間内はかなり自由に話を進めています。
もうひとつ大事なポイントとしては、メンバーが揃わない状態で話が進むこともあるため、コミュニケーションに工夫がいる点です。スクラムは各種イベントや直接話すことで同期を図ります。メンバーのメイン業務ももともとバラバラなので直接会話することはイベントの時間以外なかなか難しいという点が制約として存在しています。そこで自分たち専用のチャットチャンネルを確保してスレッドごとに話題を管理したり、カンバンとして利用しているTrelloにも話し合いで決まっていった内容をカードのコメントに記載したりするようにしています。
後はチームの中でも繰り返し出ているワードとして、「メンバーを頼る」と「心理的安全性」があります。これらはサブ業務としての特性ではないので詳しくは触れませんが、このチームの良い共通項としてあげておきます。ここまでをまとめると以下の5つになりました。
1. サブ業務であり、時間的コミットができない時を受け入れること
2. スクラムのロールやイベントに縛られて考えすぎないこと
3. 同期・非同期のコミュニケーションを使い分けること
4. チームメンバーを頼る
5. 心理的安全性を土台としてチーム全員で認識する
アジャイルの1つの広げ方
サブ業務ではスクラムに忠実にやることはそもそも難しいので、やりながら自分たちでより良いやり方を見つけていこうというマインドに成りやすいのが良い点からもしれません。この点ではスクラム原理主義やスクラムおばけで凝り固まってしまった頭をほぐすのにもサブ業務でのスクラムがオススメできるかもしれません。
今はこの部会委員のやり方を徐々に他の委員会や別の活動に広げていくことを目下画策中です。そうすることでプロジェクト以外の場所でも「アジャイルとはなにか」を実践し、その考えを自然に浸透させていけるのではないかと期待しながら2021年度は活動していきます。