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ふりかえりアンチパターン「スクラムチーム揃ってなくない?」

タイトルがすべてを物語っちゃっている。スクラムは「スクラムチーム」によって実践されるフレームワークだ。当然そのイベントのふりかえりでもチームの全員が揃っていたほうがいい(なぜには後で触れよう)。でもこれが私の過去の体験から言えばできていないケースもままあった。なので「今後はそれはよくないのでみんなで集まって頑張りましょう!」で終わってしまうのも何も学びが無いので、シンアジャイルコミュニティのキーワードでもある「文脈」を意識して書いてみる。ということで今回の記事はシンアジャイルコミュニティでの取組の一環です(だいぶ遅まきながら参加)。

どんな文脈だったのか

私は独立系SIerに勤めており、顧客とアジャイル開発をやる!となると弊社&顧客でメンバー混合のスクラムチームを組むことが多い。そうなった時に、よくある形としてはプロダクトオーナーは顧客から、スクラムマスターは弊社からか顧客からが半々ぐらい、開発者は弊社メンバー中心で学習のために顧客メンバーも交えることが少しある。

今回のアンチパターン「スクラムチーム揃ってなくない?」は、こういったチーム編成をした際にチームの定義が曖昧だったり、チームの認識が「弊社と御社」といった形でズレることで起きていた。例えば、スクラムチームをどう捉えるかの共通認識がないような状態だ。特に、スクラムチームがチームであることの重要性と、チームでスクラムの柱である経験主義を支えることの重要性、当時はこの2つの共通認識が足りていなかった。これはチーム全体におけるアジャイルとスクラムの理解の浅さ、それをリードする人間もいなかった。

これに関連して、物理的な距離が離れていてもこのパターンが現れやすい傾向があると思う。これまであったパターンでいえば、SM/DevとPOが別サイト、SM/DevとPOが同じ部屋の別の島などがあった。こういったことはスクラムガイドには定義されていないため、スクラムやアジャイルについての理解が浅かったり、それを教えてくれるコーチが居ないと問題視せずに進んでしまうことが多い。

「人が揃っていないふりかえり」はどうなるか

人が揃っていないふりかえりはどうなるのか。例えば私の経験ではPOが不在になることが多かった。そうすると、傾向的に開発チームの課題主体のふりかえりになってしまい、プロダクトの視点が弱くなる。開発環境、開発スキル、技術的負債などの話が中心になっていく。こういった内容がもちろん悪いわけではないが、偏るのはよくない。

例えばサッカーチームが試合のふりかえりをするとして、フォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダーそれぞれの視野や役割から意見を交換していくことがチームの勝利につながる。その場にフォワードが居なかったらどうか。試合の時にしかこないフォワードとチームを組めるのか。チームとはそういう状態を指さない。誰かが特別扱いを受けたりチーム活動から逸脱してしまうと、そのメンバーはチーム外の人間であるというメンタルモデルになってしまう。

結果どうなったのか

結果、チーム内で分断が自然とできてしまい、「プロダクトオーナー vs スクラムマスター&開発者」のような形になってしまっていた。そうなると、プロダクトオーナーに対する率直な意見を開発者は言えなくなるし、開発者の活動もプロダクトオーナーに見えにくくなり、パフォーマンスに疑問を持ったり、技術的な問題解決にも線引がされてしまう。

どうすべきなのか

何よりも、チームで仕事をすることの重要性や、それが損なわれた際のリスクをチーム内でしっかりと認識しておくことが重要だ。そのために私と同じようなSIerと顧客によるジョイントスクラムチームを組む場合は提案の段階からその点について丁寧に説明し、双方が納得行く形での合意を取ることが求められるだろう。

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