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みんな、Gembaちゃんと見てる?

AWSによる「Amazon EC2 Mac instances for macOS」は今月頭に大きなサプライズとして登場しました。アプリ開発を事業としてやっているところにはかなり恩恵がありそうですね。

さて、このEC2 Macが作られた経緯がドラマ仕立ての動画になっていたのご覧になりましたでしょうか。AWSのVice PresidentであるBrown氏が人気アプリFilmicのCOO Buonagrio氏とテレビ会議を通して課題を把握しながらEC2 Macのサービスを作り上げていく様子が描かれています。

この動画はテレビ会議を通じてユーザーの作業場を見て、実際の作業の手順を確認しながらどこに課題があるか、どこをカイゼンできるかの観察を行っています。この流れは、リーンにおけるGemba Walkに通じるなと見ていて思いました。

Gemba Walk

Gembaは日本語の「現場」からきている言葉です。リーンの考え方で、椅子に座ってディスプレイ上でプロセス改善を試みるんじゃなくて実際に現場に行ってみんなが作業しているところを見ながら考えよう、というのがGemba Walkです。実際に困ってる人と会話し、行動をつぶさに観察することで、プロセスのどこに時間がかかっているかというものを直感的に知ることができます。このGemba Walkをうまく使うルールにSPPAがあります。

Gemba WalkのSPPA

1文字目はSchedule(スケジュール)のSです。一度行くだけでも良いとは思うのですが、可能であればGemba Walkを定期的なスケジュールにしましょう。毎日30分、週1で1時間、月に1回。スクラムをはじめとしたイテレーションを繰り返すアジャイル開発と組み合わせつつ進めるととても効果的です。定期的なスケジュールにすることで他の人も巻き込みやすくなります。

PはPurpose(目的)のPです。何のためにGemba Walkをやっているのか、自分の中に目的がまずあることが前提で、それが現場の人々に伝わっているかが大切です。それが伝わっていなければ、ただの邪魔者として見られてもしかたありません。あなたが熱意をもって現場をカイゼンしたいという思いを伝えましょう。

2文字目のPはPeople(人々)です。人々と会話することが大切です。ただ、一歩引いて観察しているだけでは駄目です。作業はどうか、何があったら助けになるか、何がつらいのか。淡々と進めているように見える作業でも、もしかしたら内心では何かしらの不満を抱えている可能性はあります。まず自分がオープンであることを伝えて、相手もオープンに慣れるような会話をしましょう。

最後のAはAction(アクション)です。Gemba Walkして終わりではなく、その場でとれるアクションを考え実施しましょう。アクションには現場の協力が必要です。現場を見方にしてアクションを取り、カイゼンの仮説を検証していくのです。仮説の検証を高速に回すことがリーンの一歩です。

COVID-19時代のGemba Walk

通常であれば実際にその現場に行って、作業のプロセスをつぶさに観察するのがGemba Walkですが、新型コロナウイルスの影響下にある中で気軽に現場に行くことが難しくなっています。そんな時はAWSの動画のようにビデオ会議などを通して実現していくことこそが今できることかなと思います。

こういった活動を机上で考えるのでなく、現場の空気感を肌で感じながら仕事をし、そこにいる人達を本当に理解することこそがその人達にとっての成功の一番の近道です。

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Takahiro Ito
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