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モダンアジャイルでチームを揃えるワークショップ

私はモダンアジャイルの考え方がシンプルで気に入っていて、よく説明に使わせてもらっています。モダンアジャイルとは以下の図であらわされるように4つの原則(Principles)を定義していて、それ以外のプロセスなどは何も決められていません。

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https://modernagile.org/ 

これら原則自体はシンプルで本質的な4要素を捉えていて素晴らしいのですが、この図だけを見ても具体的になにを目標にすべきかというイメージが沸かない方も多いと思います。

そこで、このモダンアジャイルの4原則を基本としながら、それぞれの原則を自分たちのチームでの話に置き換えるためのクエスチョンをいくつか用意しました。このクエスチョンをベースにチームとしてありたい姿を定義していくワークショップを開くのにぜひ活用いただければと思います。

人々を最高に輝かせる

あなたはどういう時に輝いていると思う?
あなたはどういう風に輝きたい?
どういうチームが輝いていると思う?
自分たちの周りにはどんな人々がいるだろう?
それぞれの人々が輝いているというのはどんな状態?
あなたを含めたそれぞれの人々を輝かせるためには何が必要?

最初の3つの質問で個人ごとの強みと、それをもってチームに対してどう貢献できるかをチームで意識したいという意図があります。その次にチームしてのありたい姿をみんなで考えることで、各個人の力を発揮しながら輝けるチームとはどういうチームなのかをイメージします。

あとは、すぐ思いつくような自分たちやエンドユーザーといった関係者だけでなく、どういうステークホルダーが居て、それぞれの目的やゴールを意識することでチームやプロダクトを中心とした全体像を把握するのも大切です。その中でどういったバランスを取りながら「人々が最高に輝く」組織づくり・プロダクト開発をどう作っていくかを考えていきます。

継続的に価値を届ける

具体的に誰に価値を届ける?
どんな価値をどういう形で届ける?(新しく作る必要ある?)
価値を受け取る側からみて本当に価値に感じる?
どうやって価値を届けられているかを検証する?
どんなフローが価値を届けるのに理想的?
継続的に価値を届ける仕組みはどんな形が良い?
価値を届ける時に早さや品質など何を重視する?

そもそもどういう価値をどのユーザーに届けるのかを考え、その自分たちが考えた「ユーザーにとっての価値」が本当に価値として感じてもらえるのかを検証していくことが重要です。絵に描いた餅にならないよう自分たちが継続的に価値を届け、価値が本物化を検証できる仕組みづくりや価値を届ける上での優先すべきことを事前に合意しておくと良いでしょう。

安全を必須条件にする

このチームにとっての安全とは何?(物理的・心理的)
チームの安全に関わるのは誰?
チームの安全に対するリスクはどういったものがある?
プロダクトの安全とは何だろう?
プロダクトの安全を保つには何ができる?
これらはすべてなんのための安全なんだっけ?

安全とは何かを考えます。メンバーの心身の安全やプロダクトや事業継続の安全など色々あるはずです。考え方として、「失敗を許容しないことで作る安全」ではなく、「失敗を許容できる安全」を目指すと良いと思います。もちろん許される失敗のOK/NGのラインも明確にするべきですし、その安全を目指すために何ができるか、どういったリスクが安全を阻むのかを検討します。この安全が明確になっていくことで、チームは自分たちで挑戦できる範囲を理解し、チャレンジできるチームへと成長していくことが出来ます。

高速に実験&学習する

実験とはどういうこと?
何ができたら学習できてるといえる?
実験&学習をするにはどういった物事や仕組みが必要?
高速ってどれぐらいのイメージ?
実験につきものの失敗に対してどう向き合う?

安全と密接に関わってくるのが実験と学習です。不確実性の中を探索型で価値探求していくアジャイルにおいて、失敗はつきものです。その失敗に対してチームとしてどう向き合うかはよく考えておかねばなりません。あとは実験そのものを高速に行いそこから得られる学習効果を最大化するには、どういったことが求められているかにも意識を向けましょう。組織の構造だったり、意思決定のプロセスだったり、技術的なサポートだったり、色々あるはずです。

最後に

これらクエスチョンを答えていくと、異なる原則でもオーバーラップするところが見えてくるはずです。そういったものを整理して、誰かに言われたアジャイルではなく自分たちが考えるアジャイルの理想像みたいなものをアウトプットとして出せるとチームとしての目標が見えてきます。

種明かしするとこのクエスチョンに答えていくことで、結果的にアジャイルマニフェストの原則に近いものをチームで再定義できるのではと期待しています。じゃぁ始めからそれを守れば良いと言ってしまうこともできますが、自分たちの言葉で自分たちの原則を見出して合意していくプロセスに私は価値を感じるのでこんな形で考えてみました。もしかしたらこれをワークショップで実際にやる時にファシリテーターはチートシートとしてアジャイルマニフェストの背後にある原則を携え、期待する観点が出てこない時はそっとサポートしてあげても良いかもしれません。

このクエスチョンはすべてを網羅的にできているとは思いませんが、考え方の一助になるようなものをあげているので是非自分たちの文脈に置き換えてどういうクエスチョンが追加できるかを考えてみてください。

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Takahiro Ito
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