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満ち潮のような脅威への正常性バイアスを恐れて

正常性バイアス(Normclacy Bias)はWikipediaの同項目にもあるように、災害やテロに対する人間の反応として当たり前にあるものだ。詳細は次のnoteが分かりやすいのでぜひ見て欲しい。一言で表すなら、「異常事態においても自分は大丈夫、と信じ込んでしまうこと」が正常性バイアスだ。

最近では言葉自体がかなり浸透してきているので、知っている人も多いと思う。その理由の1つに当然、新型コロナウイルスの存在はあるだろう。「自分はかからない」、「東京でも1000万分の300だから確率的に大丈夫」なんてのが正常性バイアスだ。

今までの正常性バイアスとの違い

新型コロナウイルスに関わる正常性バイアスは、今まで正常性バイアスを説明するのに使われていたタイタニック号の沈没や大災害などの例と決定的な違いがある。それは、これまでの大災害などの例は危機が明確かつ回避しないと自分の生命が脅かされるレベルのものであったの対し、新型コロナウイルスはその影響範囲が広すぎて直接関わってない人にとっては不明瞭かつ致死率が低い(と捉えられる)点だ。

今回の論点は「自粛すべきか否か」ではないのでその是非は問わない(私もGotoしてるし)。この記事で考えたいのは、本当に怖いのはじわじわと押し寄せる満ち潮のような脅威に対する正常性バイアスなんじゃないか、という点。

新型コロナウイルスを自分ごとにできるか

新型コロナウイルスの経済的な影響は計り知れない。旅行業界や外食産業、その他数多の業界が受けた影響は凄まじい。凄まじいが、私個人としては仕事に影響はあまりない。ニュースを見て、憂いも同情もするが給与は減らない。株式投資とかも大してやってない。だから、何もしてこなかった。

新型コロナウイルスによる今年4月〜6月の国内の経済的な損失は13兆円と試算されている。年度でみれば、どんなに抑えても30兆円程の影響はでるだろう。となるとGDPの約5%が失われる計算になる。当然、影響を受けたり人を中心に消費は落ち込み、企業の利益は減るだろうし、それを見越してITへの投資は減る(逆に必要性が増すにも関わらず!)。

こうしてマクロに見て初めて自分への影響が見えてくる。経営層であれば当然考えている話だとは思う。なぜなら経営層は満ちてくる潮を見て会社の舵をきっているから。でもそれ以外の私たちは?どういう影響が出てくるのか本当に理解できている?ボーナスに影響あんのかな〜ぐらいに思ってていいのだろうか。ここまで書いていたら、感覚的にこのままじゃダメな気がする。何かしなくちゃ。

知らない間に上がってくる水位が他にないか見回そう

この満ち潮のような脅威とは何も新型コロナウイルスだけではない。例えばアジャイルでもUXでもそう。なんとなくカスタマージャーニー作ってスクラム開発やればいいんでしょ、ぐらいに思ってないだろうか。そもそもうちの会社はアジャイルとかUXやってる部署あるからそこに任せておけばなんとかなる、とか思ってないだろうか。それではダメで、自分がアジャイルになるためには自分から行動をしなくてはいけない。

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これは年齢・立場・役職も何もかも関係ない、人間の心理からくる正常性バイアスへの警鐘だ。このままだと何となく良くないと気付けたなら動き出すのはあなたで、他の人が動き出すのを待っていてはいけない。

さもないと、気付かないまま首まで海に浸かり、いざ気付き逃げ始めても間に合わずやがて息が出来なくなる。そんなリスクが自分の周りにないか、改めてバイアスを捨てて見つめ直してみてほしい。

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Takahiro Ito
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