オトナの読書感想文 〜第3回〜
世の中と足並みがそろわない
ふかわりょう 著
満足度 ★★★★☆ (3.8)
ふかわ氏って、私は芸人の面ではまあそれなりって感じなんだけど、いわゆる文化人(音楽活動や執筆などカルチャーを発信してる人と定義)の面では結構好きな芸能人だ。
どうして彼を好きなんだろうなと考えると、私は地頭が良い人や、育ちの良い人、何より自分を俯瞰し、無理をしないで生きてる人が好きで、憧れるところがあり、きっと彼のそのスタイルや立ち位置に共感してるところがあるんだろうなと思う。
逆説的にいうと、こう、野心家でギラギラしている人が苦手なんです。
(他人を平気で蹴落としNo. 1への執着が強すぎる人、前のめりで頑張ってるアピールが強い人などなど)
読んでわかったんだけど、ふかわ氏って、複雑な人種のようでシンプルなような人種で掴みきれないところはある。
だけど自分の中での、「物差し」っていうのか、価値基準はハッキリしていて、それは他人にはその物差しを強要しない。
私もそういう生き方に共感をしていて、大きなお山の大将になるよりかは、小さくても自分らしい山を作ったり、自分だけのお城を作ってみたいと思うタイプ。
人がどうこうってよりも、自分が自分らしくあればそれでいいやって、やつ。
世の中は急速に変化するものに、追いつけ追い越せ取り残されるなと必死かもしれないけど、立ち止まったっていいじゃん。
いくら高速のエンジンを積んでいても、それは終わりのないレースに参加してるだけで疲れちゃうんだ。
ただ、それは一度、いや長い間厳しい競争環境にいたから、今言えること。
きっと、ふかわ氏も厳しい芸能界での自分のポジションや、自分らしい芸能界の渡り方が長い年月かけ経験と共に熟成してきたんだと思う。
私ももうすぐ40歳。
私自身と照らし合わせた時、荒地を走った20代、ガムシャラ爆走してきた30代を経験し、そろそろ小さい城を作りたいと思うし、私独自の目線を大切に生きていきたいと改めて感じるようになった。
この本は、ふかわりょうの考えに共感する本というよりも、生き方・スタイルに共感する本だと私の中では結論づけた。
No.1より、Only.1。
それは、若い世代が軽々しくいうものではないと私は思う。
経験、円熟味を重ねた人間が語るから説得力があるし、気がついたらそうなっていた、というのがもしかしたら正しいのかもしれない。
(あくまで個人の感想なので、悪しからず…)