TEAM SHACHIとMOSと勲章 【238/200】
2023年7月22日。
名古屋城で生まれたチームしゃちほこが、TEAM SHACHIへの改名を経て、名古屋城に帰ってきた。
シャチサマ2023、恒例の夏ライブは今年、名古屋城・二の丸広場に特設した野外ステージで行われた。
声出しを全面解禁した野外でのワンマンライブ。
オープニングムービーから、どよめきが起こった。
会場入りをする車から降りる“ブラス民”が、仮面を外し、その正体がMOSであることを明かしたのだ。
“ブラス民”とは、仮面を被り、声を発さず、踊るホーンセクションとしてTEAM SHACHIのライブを共に創り上げる大切な仲間たちのこと。
改名後、ブラス・ラウド・ポップの3つを音楽性の柱に据えたTEAM SHACHIにとって、なくてはならない存在として、活動を共にしてきた。
MOSについては、先週も含めて2回noteに書いている。
ブラスとダンスを融合した「ブラダン」パフォーマンスで、AGTでもオーディエンスを熱狂させたネオ吹奏楽グループだ。
TEAM SHACHIの改名公演から、MOSは“ブラス民”として、TEAM SHACHIの活動を支えてきてくれた。
ブラス民はTEAM SHACHIの一部でありつつ、TEAM SHACHIと MOSのシナジーを生み出すパートナーシップでもあった。
MOSはオリジナル作品を生み出し続け、パフォーマンスの場を広げ、大きな飛躍のチャンスをつかんできた。
TEAM SHACHIのファンであるタフ民はもちろん、ブラダンという新しいエンタテインメントに惹かれてMOSを応援するファンも増えた。
栄光と挫折の紆余曲折を経て、はじまりの地・名古屋城から再び日本武道館に向けて出発したTEAM SHACHI。
そして、"ブラダン”で世界を驚かせ、大きな飛躍に向けて視界良好なMOS。
両者のパートナーシップが新たなステージに入ることは時間の問題であり、どのタイミングで、どのような形で発表されるのかが注目されていた。
2023年2月25日。
TEAM SHACHIのLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演。
タイトルは「TEAM SHACHI SHACHI CARNIVAL~仮面を外してワックワク!?はちゃめちゃ祭典~」。
「仮面を外す」は、そのタイミングが来たことを予感させた。
LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)は、TEAM SHACHIと“ブラス民”にとって特別な会場だ。
TEAM SHACHI改名後の大きな勝負をかけた2020年・春ライブツアーのメイン公演の会場であり、このライブでは、“ブラダン”パフォーマーを募集するオーディション「それゆけ渋公!RocketQueenでブラダンしよう!~目指せ渋谷公会堂!~」という企画も動いていた。
大きな期待を集め、早々にチケットのソールドアウトを達成していたこの公演は、未曾有のコロナ禍の発生により、実現されることはなかった。
この3年前のリベンジとしての意味も持つ公演は、大切なパートナーシップの進化にふさわしい会場であると思えた。
結果として、それは外れた。
「本能のままに、心の仮面を外して曝け出す」というコンセプトライブであり、ブラス民の出演もなかった。
ライブの内容はTEAM SHACHIのクオリティとして十分なものであったし、TEAM SHACHIとして久しぶりにCS放送の番組として放映もされた。
邪推かもしれないが、個人的には、当初のコンセプトから、何らかの事象が発生したことを受けて、ライブ内容の変更があったのではないかと思う。
そして、それをTEAM SHACHIとMOSの両陣営が丁寧に対応した賜物として、2/25のライブがつつがなく提供されたのではないかと。
2023年7月21日。
シャチサマ2023の前日。
MOSからB.SAX担当のMAUの卒業が発表された。
体調面の配慮によるものだった。
メンバーの卒業発表と、ブラス民とMOSの関係性の公表。
どちらもMOSにとって極めて重要な判断であるはずだが、これらはTEAM SHACHIの重要な公演と、これ以上なく適切に編み込んで発表された。
これは、TEAM SHACHIとMOSの絆、深い信頼関係なくしては、ありえないことではないかと思う。
僕の邪推が正しければ、2022年の後半から丁寧にコミュニケーションを重ねて、時間をかけて決定と発表に至ったプロセスだったのではないか。
シャチサマ公演はあくまでTEAM SHACHIのライブであり、オープニングムービー以上の詳しい説明はなかった。
おそらくこれからもないのではないかと思うし、今すぐその必要性もないと思う。
終演後のTEAM SHACHIとMOSの笑顔が、とても素敵だ。
それで十分だと思う。
TEAM SHACHIも MOSも、もともとは6人グループだった。
大切な仲間と違う道を歩くことになり、どちらも今は4人グループとして活動している。
出逢いと別れを経験しながら、奇跡のような眩しいライブを共に創ってきたTEAM SHACHIとMOS。
それぞれの未来に向かって、2つのグループは新しいパートナーシップを築いていくのだろう。
それが、楽しみで仕方がない。
再び2023年7月22日。
シャチサマ2023のラストナンバー「勲章」は、TEAM SHACHIの4人だけの歌唱だった。
4人は、熱く、力強く、ひたむきに歌った。
はじまりの場所に帰ってきた4人が、自分たちに向けて言い聞かせるように、ファンのみんなに語りかけるように。
そしておそらくそこには、バックヤードにいるMOSへの感謝とエールの想いも、込められていたのではないだろうか。
一生物の勲章は、栄光の先にあるものじゃない。
今、全力で生きているこの瞬間の積み重ねの中に、きっとあるのだ。