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映画『すくってごらん』に、すくわれた。【116/200】

「好きでやっていること」で、燃え尽きてしまうことがある。

・あれもこれもやりたい
・やるからにはちゃんとやりたい
・好きでやってることだから「しんどい」とは言えない

そんな回路にハマれば、人の心なんてすぐにキャパオーバーしてしまう。

疲れを感じた頃には、もう遅い。
「好き」が「嫌い」になる前に、休息が必要。

ただ、相変わらずそれが難しい。


今週も週末稼働が確定した金曜日の夜、さすがにちょっとヤバいなと感じたので、土曜日はとにかく「やらなきゃいけないこと」から心を解放して、「やりたいこと」だけをやろうと思った。


■映画『すくってごらん』に、すくわれた。


土曜日。朝早く起きて、映画『すくってごらん』を観に行った。

『幕が上がる』も、『幕が上がる、その前に。』も、数々のライブビューイングも観てきたいつもの映画館。

久しぶりにスクリーン越しに見る百田夏菜子さん(もはや「さん」付けしないといけない気がする)は、女優として、パフォーマーとして、何段も上のステージにいた。

僕は芝居については明るくないので、うまく語れることはないけれど、佇まいや所作の一つ一つが「表現している」と感じた。これまでとレベルが違うことはよくわかる。女優としてのステージが、明らかに上がっているのだ。

ストーリーの中で、百田夏菜子さん演じる生駒吉乃がピアノを弾くシーンがある。

昨年大晦日の「ももいろ歌合戦」の大トリで尾上松也さんと一緒に演奏した『すくってごらん』の主題歌「この世界をうまく泳ぐなら」

生放送でのピアノ伴奏とコーラスをこんな大舞台で初披露する、というのは、とんでもない重圧だったと思う。それも、ピアノ初挑戦で、だ。それでも、観ていたこちらが呆気にとられるほどのサプライズをきちんとやりきってしまう。百田夏菜子というパフォーマーのすごみが、よくわかる。

ピアノ経験がない女優が、幼い頃からピアノを愛し、ピアノにコンプレックスを抱えている役を演じる。それがどれだけ難しいことか。

後になって知ったことだが、百田夏菜子さんと僕は、おそらく同時期にピアノ経験なしで練習を始めている。あるいは、彼女の方が遅く始めているかもしれない。一年半ほど、僕なりに真剣にピアノを練習してきて、ライブでも弾き語りを始めて、たくさん失敗をしている中で、同じくらいの期間の練習であれだけのパフォーマンスを見せられると、本当に参りましたとしか言いようがない。

ももクロのファンクラブ限定のインタビューの中で、彼女は「“ピアノとはどういう楽器か”から教えてもらった」と語っていた。ピアノを通じて音楽をきちんと学ぶことで、ずっと苦手意識を感じてきた歌や音楽に、正面から向き合った、ということ。
10年間、彼女のボーカルは継続的に成長し続け、今では「歌がうまい」とまで評されるようになった。
歌に自信がなく「ソロコンサートには全く興味がない」と言っていたアイドルが、こんな作品を発表すると誰が想像しただろうか。

最近、彼女はこんなインタビューも受けている。

「自分で自分の機嫌を取る方法を知っておく」

いや、本当に、とてもためになる言葉。


疲れ切った土曜日の朝、推しの出演する映画を観て、そのバックストーリーを味わって、仕事に対する考え方を学ばせてもらって、僕は心と頭をリセットすることができた。


■君とまた会える日々を


映画の帰り道、僕は一駅分、散歩をした。

以前住んでいた家の近くの川沿いを歩きながら、まだ咲き始めの桜並木をゆっくり楽しんだ。

僕は決して“この世界をうまく泳げている”とは思わないけれど、この世界を一生懸命泳いでいるとは思う。

休息が必要なほど「好きでやりたいこと」と「人から期待され、お願いされること」がたまっている。

とてもありがたいことだと思う。

ビジネスもNPOも音楽も趣味も家のことも、やりたいことで溢れている。

そのどれも、嫌いにならないように、ひとつひとつ、今の自分でできることを積み上げていきたいと思う。

映画を観て、まず一番初めにやりたいと思ったのは、歌うことだった。

まもなく、桜が満開になり、舞い散ってゆく。

別れの季節を過ぎ、出会いの季節を迎える。

会いたいけれど、会えない今。

そんなことを思いながら、森山直太朗さんの「さくら(独唱)」を歌わせていただいた。

この曲の歌い出しが、ものすごく好きだ。

僕らはきっと待ってる 君とまた会える日々を


何も考えず、マイクに向かってこの詞を歌って、心が少し、軽くなった気がする。



好きなことを、好きでいられるように。

自分で自分の機嫌をうまく取りながら、また来週からも、がんばろう。

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ヤマカワタカヒロ
noteを読んでくださりありがとうございます。 歌を聴いてくださる皆様のおかげで、ヤマカワタカヒロは歌い続けることができています。 いつも本当にありがとうございます。