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あの「自遊人」岩佐さんの講演を聞いて

当社主催で自遊人の岩佐さんを招いて講演会を行いました。
私自身はまだ訪れたことがないのですが、新潟県、南魚沼市にある里山十帖は世界的から絶賛されている人気ホテルとなっております。
建築的には長野にある松本十帖の方が有名かもしれません。

https://www.satoyama-jujo.com/

弊社代表の日比野が里山十帖、松本十帖に実際に宿泊し、そこでの体験、取り組み、体感したものに非常に感動をし、どうに話ができないかとのことで、連絡をとらせていただき、こうして講演会としてお話を聞く場を設けていただいたようです。
いずれにせよ、何もなかった(何もないと思っていた)場所を上手くブランディングし、何かがある場所に変えたその手法を伺いたく私自身も参加させていただきました。

講演会のテーマは「地域が持つ魅力の活かし方」
講演会から数日経ち、改めて過去に岩佐さんが執筆した本「里山を創造する「デザイン思考」」を読んで学べた事が数多くあるのでこちらに自分へのメモという意味合いも含めて残したいと思います。

元々は東京日本橋で人気の温泉や食を紹介する「自遊人」を創刊し、編集者として活躍する一方で、雑誌では伝えきれない「本物の食」の部分を食品販売事業として行なっていたようです。
食文化を伝える役割を担う一方で、日本の食文化の根幹である米作りの現場を実際目で見て学びたいという想いから東京から現在の新潟県南魚沼市に移転したとのこと。

南魚沼市に住んでいく中で、温泉の良質、湯量、食文化、自然環境どれをとっても軽井沢、箱根、熱海と引けを取らない圧倒的な魅力があることに気づいたようです。そして東京から車で2時間で来れる距離。
これだけ多くの魅力が詰まっているように見える場所ですが、過去の実例を元に里山十帖のリノベーション計画の際には、新潟のどんな旅館の稼働率、客単価を当てはめても実現しないという銀行側の判断で、融資が非常に困難な状況だったようです。

もちろん過去の実例を参考にすれば、その周囲にあるのと同じような旅館を建設しても同様の結果となる可能性が高いでしょう。

そこで重要なのが明確なコンセプトを持った居場所と出来るか否か

日常になってはなかなか気づけない魅力ある要素が
どんな地域でもちょっと違う角度から眺めるといくらでも掘り起こせる。
どんな街にも宿にも物語は眠っている
歴史・文化・自然・本当の昔話

ただの泊まるだけ場所だけではない新たな価値の提供

それをやることで、必ずここに人は集まる

なんだか、とても建築設計に似ています。
我々が地域調査を行い、歴史を調べて、その場所の持つもつ魅力をご説明しても「いつも見ている風景だから・・そんな風に言われるまで気付かなかった」と言われることもしばしばあります。
けれどその原風景を上手く建築に取り込み内外を連続させることで、その場所ならではの付加価値を生み出せたりします。


岩佐さんは

見る・感じる・食べる・くつろぐ・寝る・嗅ぐ・眺める・座る・飲む
一つ一つの体感を五感で感じ取って欲しいとおっしゃっていました。
そこでの体験を通して
宿は地域とライフスタイルのショールームになり得る

里山十帖では細かくそのストーリー性をホームページでうたっています

それは本来のターゲット層と違うお客様が来られた際にコンセプトが理解しきれずにクレームとなる場合があるからのようです。

特に日本はおもてなし文化が根強くあるため
⚪︎⚪︎されて当たり前というものが非常に多くあります。
里山十帖の場合は、地産地消を大きなテーマにしているため、山菜が主になりがちで、その際は肉や魚がないのはいかがなものか、
それ以外にも、
整備設備についても他旅館の平均化した一般モデルを口にされる場合もあるようです。
そうなってくると明確なコンセプトというのが打ち出しにくくなり、
結局同じような施設の価格競争になっていってしまいます。
それはどの業界でも言えることかもしれませんが、
誰もにマッチする物というのは様々な評価指標の中でオール7点を目指すような物です。

けれども世の中そんなものでありふれたら面白くありませんね。
10点の項目もあれば5点の項目もある。
そういったものの方が選択しやすいし、それぞれの人にとっての
本来の意味での豊かさや快適性を得られるかと思います。

里山十帖については、ある程度は予約する際のウェブサイトなどで
そういったミスマッチが生まれないよう気をつけているようですが、
そうなってくるとハマる人にはハマるわけです。

そして

「米一粒がメディア」

とホームページに記載があるように

共感の輪が生まれ

拡散に繋がる。

オリジナルティを持った唯一無二の存在であるからこそ人が人を呼ぶ構造になっていく。

ビジネスとして理想を体現しているような話です。


少し建築に話を戻すと

「魂は細部に宿る」
という話も語られていました。

なんとなく心地よい なんとなく使いやすい

このなんとなくはつくり手が‘なんとなく‘つくったのでは実現しない

なんとなくを探るために本当に多くの時間をかけて検証し、計算し尽くして

伝わっていく。

建築に置き換えると、素材と素材の交わる部分、設備機器に見え方、位置、隠し方、素材の貼り方、割り付け、バランス、

間取り図では決して見えてこない、細かな調整と検討にこそ時間をかけているので、なんとなく心地よい居場所というのは実現していきます。

おそらく建築以外でも職人と言われる方々はこういった部分に命をかけているのだということでしょう。


講演会の後には参加された方々とお互いに挨拶させていただき、今後の厚木・海老名地区を盛り上げるための様々なお話をさせていただきました。

行政の方や、不動産の方、旅館を経営されている方や地元の大手企業など、上手く力を合わせていけば、この地域ならでは魅力を発信できるパワーを持った方々なので、今後が非常に楽しみになりました。

まずは私自身はマルシェ運営を活かして地域が盛り上がるきっかけをより強めていければと思います。
ありがとうございました。


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