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中小企業におけるIT利活用の現状と課題
中小企業において人手不足が深刻化する中、労働生産性向上に向けて中小企業のIT利活用が求められています。
「中小企業白書2018年版」に基づき中小企業における代表的なITツールの利活用状況をみると、「十分利活用されている」と回答した企業の割合は、「一般オフィスシステム(ワード、エクセル等)」と「電子メール」で5割強であり、「給与・経理業務のパッケージソフト」で約4割、「調達、生産、販売、会計などの基幹業務統合ソフト(ERP等)」や「電子文書(注文・請求書)での商取引や受発注情報管理(EDI等)」で約2割となっています。
このことから中小企業のITツール利活用は未だ不十分であることがわかります。
上記の代表的なITツールについて、「十分利活用されている」と回答した企業の割合を売上規模別にみると、どのツールも売上規模が小さくなるほど活用割合が低下しています。
つぎに、ITの導入・利用を進めようとする際の課題を回答割合の高い順に見ると、「コストが負担できない」と「導入の効果が分からない、評価できない」が約3割と高く、「従業員がITを使いこなせない」が約2割となっており、費用対効果と人材面が主要な課題となっていることがわかります。
社外におけるITに関する事柄の日頃の相談相手がいるかどうかについて回答割合の高い順にみると、「地元のITメーカ・販売会社」が約4割と最も高く、次いで「公認会計士・税理士」と「地元以外のITメーカ・販売会社」が25%前後となっています。
このように中小企業のIT利活用に向けた課題克服に向けては、相談相手を見つけ、その相談相手からIT導入の効果や評価について教わることが重要となるのです。
中小企業におけるIT利活用とはどのような取組みが行われているのでしょうか。
そこで「中小企業白書2018年版」においてIT活用により付加価値向上を実現する企業として紹介された有限会社まるみ麹本店(本社:岡山県総社市、従業員24名)の取組みについてみていきましょう。
有限会社まるみ麹本店は、味噌、甘酒等の麹を扱う醸造食品製造・販売事業者です。
同社では製造、営業それぞれでITを活用しています。
製造面では、これまでは経験と勘で調整していた麹の発酵工程における温度管理について、連続的に温度記録が取れる機械を導入し、各工程における温度データを蓄積して製造ノウハウを「見える化」しました。
また、製麹温度管理のために温度センサーと空調設備を連動させ、異常検知時にメール通知をする自動化を進めました。
こうした取組みによって、夜中の温度管理等の長時間労働の負担を軽減、さらに麹の品質安定にもつなげることができました。
営業面では、これまで通販等個人向け販売に力を入れてきたことを受け、顧客との関係を密にして顧客サービス向上を図るためにCTI(コンピュータと電話の機能を連携するシステム)を導入。
これにより画面に表示される購買履歴等を参考にしつつ、きめ細かな顧客対応が素早くできるようになり、また注文時に発生する事務作業の負担軽減のため、一元的に注文を管理する販売管理システムを導入。
これら一連の取組みによって同社ではインターネット通販の拡大や売上増加を実現しています。
このように製造面、販売面の両方にITを活用することで、業務の効率化だけでなく、品質の安定や売上増加といった効果も期待できるのです。