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無電柱化による防災効果とは

 台風15号、19号は日本列島に冠水や土砂崩れなど、様々な被害をもたらしました。中でも、長期にわたる大規模停電は住民の生活に影響を及ぼしました。この停電により、急速に注目を集めているのが「無電柱化」です。無電柱化とは、電線を地中に埋めて、電柱をなくすというものです。注目される理由は、停電の原因の一つが倒木などで電線が切断されたことが挙げられます。電線を地中に埋めてしまえば、倒木などによる断線を防げるので停電を回避することができます。

 また、台風で電柱が倒壊すると、停電復旧までに時間を要します。電柱をなくすことで、すみやかな災害復旧が可能になります。このほか、無電柱化は台風だけでなく、地震や竜巻などへの防災にも有効です。実際、東日本大震災では、地中に埋設させた線のほうが電柱と比べて著しく被害が少なくすんだ実績があります。

 以前から無電柱化の必要性は指摘されていました。ただ、課題が多く、それほど進んでいません。日本国内の道路は全長約120万キロメートル。このうち、無電柱化が実施された区間は約3万キロメートルにすぎません。遅々として進まない要因の一つはコストにあります。電柱を地中に埋める費用は、1キロメートル当たり4~5億円が必要だといわれています。自治体の多くは財政状況が厳しく、簡単に費用を捻出できない状態にあります。

 とはいえ、台風の被害から無電柱化を要望する声は高まりました。こうした状況下、国土交通省は自治体向けに無電柱化を促進するためのガイドラインを今年度中に作成するとも報じられています。今後の無電柱化の推進に期待ができそうです。

 台風により大規模停電が発生し、注目を集めるようになった「無電柱化」。電線を地中に埋めて、電柱をなくすことで、防災が図れると期待が高まります。ただ、埋没させるには多額の費用がかかり、なかなか進んでいません。

 その中、少しずつではありますが、千葉、埼玉、神奈川などの多くの自治体で電線の地中化を進めています。特に、東京都の小池知事は2016年の都知事選で「都道電柱ゼロ」を公約に掲げ、ライフワークとして取り組み、成果も見えはじめています。具体的には、整備対象となる都道の2328キロメートルのうち、935キロメートルが電線を地中に埋めることができました。これは対象全体の40%に相当します。さらに、この先は都道だけでなく、区市町村が管理する道路でも無電柱化を進められるよう、2019年度の予算では促進するための補助をはじめています。

 最大の課題はコスト削減です。地下にはガスや上下水道などが埋設されているので、これらを避けながら電線を埋設しなければなりません。手数がかかることもあり、通常の道路工事よりもはるかに工事費が高くなります。ただ、コストの問題は解決に向かって進んでいます。現在、費用は1キロメートル当たり4~5億円かかりますが、10年後には約3分の2程度になるよう、技術革新が進んでいます。

 外国の都市では無電柱化が進んでいるところが多くあります。ロンドンやパリではすでに100%になっており、アジアでもソウルやジャカルタでは4割程度の電線が地中に埋没されています。無電柱化は防災だけでなく、景観をよくする効果もあります。多くの自治体が望む無電柱化。コストの問題にどれだけ取り組めるかがカギとなります。

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