持分法の経営的意味合い その1
企業が他の会社の株式を持つ理由は大きく二つに分けられます。一つは配当や値上がり益を期待する投資目的であり、もう一つは相手の会社の経営に関与してグループ全体としての収益を極大化しようとする事業目的です。ここでは、投資目的の会社を一般会社、事業目的の会社を関係会社と呼ぶこととします。関係会社には関連会社と子会社の2種類があります。会計では、子会社になると親会社と一体と考えますが、本稿でテーマとする関連会社は子会社ほどの経営の同一性はなく、親会社は関連会社の経営に関与するといった関係になります。
関連会社の定義には、いろいろなバリエーションがありますが、原則的には、持株比率をベースにして20%以上あれば関連会社となります(子会社の場合は原則的に50%超が判断基準になります)。関連会社になると、会計上は持分法が適用されます。
一般会社と関連会社で、連結財務諸表の表示がどのように変わるか見てみます(以下は、業績が悪化して減損会計が適用される場合を除いた、通常状態の場合における表示の説明になります)。
一般会社でも関連会社でも、取得している株式は連結貸借対照表では固定資産の投資有価証券に含まれます。ただ、違うのは株式の評価方法です。一般会社は、上場株式の場合はマーケットプライスで時価評価されます。つまり、期末株価が取得原価を超えている場合は評価益が計上されます。ただ、この評価益は連結損益計算書には反映されずに、連結貸借対照表の純資産に税効果分を除いて加算されます。逆に評価損があれば、税効果分を除いて純資産から減算されます。また、連結損益計算書には、一般会社からの配当金が営業外収益の受取配当金として計上されます。(つづく)
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