日経の年金ツイートが酷い点について
日経が8月13日に報じた、下の記事に関する問題を取り上げます。
この記事の、見出しはともかく(それでも、なぜ、「厚生年金保険の標準報酬月額の上限引き上げ」という風に、事実を中立に伝えようとしないのか疑問が残るところですが....)、まあ、記事の内容については、全体をちゃんと読めば(それが一般の読者にとっては簡単なことではありませんが)、事実を伝えているだけのことであると理解できるのですが.......
この記事を、下のように日経が自らツイートした内容については、大いに問題があります。記事の冒頭の負担増に関する部分だけを、切り取ってツイートしたために、それだけを見て誤解し、ネガティブな反応をする人が溢れていました。
しかも、日経電子版のツイートには、ほとんどハッシュタグが付いていないのに、これだけは、ご丁寧に「#年金」というハッシュタグを付けています。これはもう、年金に対する不満を煽ろうと、意図的にやったものとしか思えません。
この様な、三流週刊誌のような情報発信を日経がしたことは、非常に残念です。
ツイッターは文字制限があるので、難しい面もありますが、下のようなツイートにするべきではないでしょうか。
厚生年金の保険料と給付の基となる標準報酬月額の上限が、法律で定められた基準に基づき、20年ぶりに、9月から62万円から65万円に引き上げられます。これによって、月収が63.5万円以上の会社員の保険料は、自己負担分で年間3.3万円増えますが、これに対して将来受け取る老齢年金は1900円程増えることになります。
まず、上限の引き上げは、法律で定められた基準に従って実施されるもので、「取れるところから取る」とか、「年金財政が苦しいからだろう」とかいう批判は的外れです。むしろ、20年も上限が変わっていないということは、その間賃金水準が変わっていないということを意味するもので、その事を問題視するべきではないでしょうか。
また、負担が増えれば給付も増えます。自己負担分で年間3.3万円の負担増ですが、それによって年金が1900円程増えるということは、単純計算だと17年ほどで元が取れることになります。65歳から受給開始したとして、82歳ということになるので、長生きに対する備えとしては、民間の金融商品や保険よりも頼りになるものなのです。なのに、ツイートに対する反応では、「厚生年金やめたい」とか、「自分で運用した方がいい」というような誤解が溢れています。フォロワーが28万人もいる方が、下のようなリツイートをしていますが、影響は小さくないのではないでしょうか。
日経には、SNSでの情報発信の仕方にも十分注意を払って欲しいものです。