確定拠出年金

企業型DCにおける運用商品公表の改善すべき点

10日ほど前の日経の記事ですが、企業型の確定拠出年金(DC)の問題点について指摘がされています。

見出しの通り、手数料の高い投資信託が依然として企業型DCにおいて提供されているとのことです。

企業型DCを導入している企業や、そこで加入している従業員にとってより有利な投資信託を選択できるように、「運営管理機関(運管)」と呼ばれる各金融機関に対して、企業型DCに提供している運用商品の公表が義務付けられているようになったのですが、これがどうもあまり役に立っていないようです。

そこで、厚労省のホームページで運用商品の公表がどのように行われているかを見てみました。下の「運営管理機関登録業者一覧」で企業型DCの欄の運用方法の「●」をクリックすると各運管が提供する運用商品を見ることができます。

(運営管理機関登録業者一覧)https://www.mhlw.go.jp/content/000564089.pdf

しかし、新聞記事で指摘されている通り、このような公表の方法では全く役に立たないと言わざるを得ません。

運用商品を公表する理由

各運営管理機関に運用商品を公表するように義務付けられた理由は、厚労省のホームページで以下のように記されています。

事業主による運営管理機関の評価に際し、事業主が運営管理機関によって提供されているサービスの相対的な比較を可能とすること、運営管理機関による適切な運用の方法の選定を確保すること等のため、運営管理機関が自身の選定した運用の方法の一覧を公表することとしました

公表の目的は、企業型DCを導入している企業が、契約している運管のサービスを相対的に比較し、加入者にとってより良い運用商品の提供を受けることができるようにするためです。

ところが、現行のような公表の方法では、100近くある運管のホームページを一つ一つチェックしなければならず、とても相対的な比較をすることはできません。

厚労省が、この様な形だけの公表に止めていることは疑問に感じざるを得ませんし、また、お上に言われなくても、本来は運管自身が顧客にとってより利便性の高い情報提供を心掛けるべきなのに.....本当にどうなっているのでしょうか?

以下に、公表方法の改善すべき点を挙げてみたいと思います。

公表方法の改善すべき点

・公表する様式を統一し、すべての運管のデータを一つにまとめる
厚労省は公表にあたって、下のような公表のイメージを出していましたが、これを「イメージ」ではなく、全ての運管が使用する所定の様式とし、これをエクセルで作成したものを一つのファイルとして提供したらいいのではないでしょうか。

画像1

・運用商品を特定できるIDを追加する
同じ運用商品でも商品名の表記が異なっていることがあり(「・」の有無、文字の全角/半角、愛称の付記など)、比較する上で不便です。商品を特定できるIDを追加する必要があるでしょう。全ての投資信託に付与されている「投信協会コード」で良いのではないでしょうか。

・分類方法を統一する
上のイメージにある「分類」の仕方が運管毎に異なっています。例えば、外国株式の分類について、「外国株式」と「海外株式」というように分類名が異なったり、「外国株式」だけでなく、「先進国株式」と「新興国株式」と分けているケースもあり、まちまちです。分類方法とその名称は統一した方が良いでしょう。

・インデックス名を追加する
インデックス運用の投資信託については投資対象のインデックス名を、アクティブ運用については、もしベンチマークを設定しているのであればベンチマーク名を入れると、異なる投資信託の間の比較がし易くなるでしょう。


本来、上で述べたような改善点は、公表の趣旨を考えれば当たり前のもので、何故最初からできないのか疑問に感じます。何はともあれ、それほど難しいことではないはずなので、厚労省と運管は協力して早急に対応して欲しいところです。

次回は、公表されている全ての運管のデータを集計してみた結果をお見せしたいと思います。お楽しみに!(?)

#COMEMO #NIKKEI

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