長期為替予約のリスク
外貨建ての終身保険が流行っているようですが、払い込む保険料を円貨で固定する商品が開発されたそうです。
換算レートが払込期間中一定なので、「フラット外貨終身」と名付けられています。
正直驚きました。なぜなら、これは為替リスクが非常に大きい商品だからです。
この商品の特徴である、毎月の払込保険料は以下の例のようになります(米ドルの場合)。
・払込期間 10年
・換算レート(10年固定) 1米ドル=100円
・払込保険料(円貨) 10,000円
・払込保険料(米ドル換算) 100米ドル
通常の平準払いの外貨建て保険だと、換算レートが毎月変動するので円貨での払込額が変動してしまい、払込の計画が立てづらいというお客様の声に応えて開発されたそうです。
しかし、これは長期為替予約というリスクの高い契約が内包されているのです。上の例のとおり、換算レートは現在のレート(1米ドル=109円)と比べて、有利に見えます。しかし、これから先10年の為替レートは予測は不可能で、リーマンショック時のように80円、あるいは更なる円高になる可能性もある訳です。
仮に、5年後に実勢レートが80円になり、その時点で解約をしなければならなくなったとすると、以下のようになります。
・解約返戻金は責任準備金の70%程度になる・・・これは他の外貨建て保険でもある、低解約返戻金プランのためです。
・10年間の為替予約を途中で解約することによって損失が発生・・・これがこの保険特有のリスク要因です
この2つの要因を合わせると、円貨で払い込んだ保険料の合計額の、3~4割程度しか戻ってこない可能性があります。
将来円安になるという確信のある方、あるいは払込期間中に絶対解約することは無いと断言できる方以外は、避けた方が良い商品だと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30122200T00C18A5EE9000/
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