今は投信乗り換えのチャンス!
コロナショックで大きく下げている株式市場ですが、リーマンショック後に投資信託による資産運用を始めた方は、こんなに大きく株価が下落することは初めてだと思います。
例えば、8年ほど前から先進国株式の投資信託に毎月1万円積み立て投資していた場合、下のグラフのようになります。今年の1月には、評価額が138万円、含み益が43万円に達しましたが、2月と3月の急落で、含み益はほぼゼロになってしまいました。
これまでも、チャイナ・ショックや米中の貿易戦争で株価が大きく下がることがありましたが、これほどの下げはリーマン・ショック以来です。コツコツと積み立てて、せっかく含み益が拡大してきたところで、それが元の木阿弥となったことは、大きなショックだと思います。
でも、ここで投資を止めてはいけません。コロナウィルスの感染拡大によって経済活動が一時的に停滞し、それに対して株式市場の参加者が過剰に反応しているのが現状です。目先の利益を求めて右往左往する金の亡者の様を横目に、私たちは、未来を信じて、淡々と投資を継続していきましょう。
そして、もう一つ今回の暴落を機に検討すべきことがあります。それは、「インデックスファンドの乗り換え」です。
下は、「菟道りんたろう」さんが発信されたブログです。
(以下ブログからの抜粋) かつて積立購入していたけれども、現在では信託報酬が割高になってしまった保有ファンドを売却し、よりコストの低いファンドに乗り換えるのです。含み益がなくなった段階でこれを行えば、余計な課税コストを回避できる上に今後のトータルコストも低減できます。
そうでした!私も、以前noteで、投資対象が同じインデックスなのに、信託報酬が異なるものがあり、それが投資のパフォーマンスに影響を与えることを説明しました。
そして、「菟道りんたろう」さんが仰るとおり、含み益がなくなった今は、投資対象が同じで、信託報酬の低いファンドに乗り換える、絶好の機会です。それは、乗り換えのために売却しても、含み益が無ければ源泉徴収(20.315%)による投資効率の低下が避けられるからです。ただし、NISA口座で保有している場合は、乗り換えによって今年のNISA枠を使ってしまう事になるので、その点は別途検討が必要です。
(3月25日21:00追記:含み益が飛んだだけでなく、含み損を抱える状態になった場合は、乗り換えによって簿価が下がると将来の売却益に対する税金が増えるので、信託報酬を下げるメリットと天秤にかけて判断する必要があります。)
以前のnoteにも掲載しましたが、「先進国株式指数(MSCIコクサイ指数)」を投資対象とするファンドの信託報酬とパフォーマンスの関係を確認してみましょう。信託報酬が低ければ、その分は確実にパフォーマンスの差となることは明らかですね。
乗り換えるということは、信託報酬の高いファンドを売却して、信託報酬の低いファンドを買い付けることになりますが、売却と買付の注文を同日に行う必要があります。同日の注文でないと、売却と買付の間の市場変動によって損益が生じてしまう可能性があります。今は特に、日々の市場変動が大きいので1日でもズレると、信託報酬を下げることによるメリットを超える損失を被るリスクがあるので(逆に、市場変動が利益をもたらす場合もありますが)、気をつけて下さい。
売却と買付の注文を出す際に、買付の注文は、現在保有しているファンドの前営業日の評価額と同じになるようにして、買付代金を口座に準備しておきます。
もし、買い付けに必要な現金が無い場合は、少々手間がかかります。下の図表はマネックス証券のホームページに掲載されているもので、「投資信託の売却代金が、どのように買付可能額へ反映されるのか」を説明したものです。これによると、乗り換えは以下のような手順になります。
(1)古い投信の売却注文を入れる。
(2)同日に、乗り換え先となる投信の買付注文を入れる。ただし、買付注文額は売却する投信の前営業日における評価額の95%となる。
(3)同日に買付できなかった分は、翌日に買付注文を入れる。1日ズレることによる市場変動リスクはあるが、全体の5%程度の分なので影響は軽微である。
SBI証券、楽天証券のホームページも調べたのですが、該当する箇所が見当たらず、コールセンターで確認しようと試みましたが、全くつながらない(笑)ので今回はあきらめました。もし分かったら、後日更新します。
いずれにせよ、投資対象が同じインデックスファンドの乗り換えは、もっと簡単にスイッチングできるよう、証券各社は対応して欲しいところですね。
このような乗り換えは、TOPIX、日経平均、S&P500など、他のインデックスファンドでも同じ効果があります。この暴落をいい機会として、見直しをしてみたらいかがでしょうか。
最後に、ご参考として、先進国株式指数(MSCIコクサイ指数)を投資対象とするファンドを、信託報酬が高いもの(0.4%以上)と低いもの(0.4%未満)に分けたリストを掲載させて頂きます。これらは、ラップ口座や確定拠出年金専用ファンドも含めたものですが、信託報酬が高い方の純資産額を合計すると、3451億円となります。結構な金額ですよね.....