国民年金第1号被保険者、本当の姿
DCプランナー試験問題に疑問が
先週の日曜日に、DCプランナー2級の試験を受けてきました。
試験の第一問目は、下のような国民年金の被保険者に関する問題で、選択肢2)の第1号被保険者に関する記述は誤りです。恐らく出題者の意図としては、「日本国籍を有する者のみが該当する」という部分が誤っているということなのでしょう。
第1号被保険者の定義は、国民保険法の条文では以下のようになっています。
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しないもの。
条文中に「日本国籍を有する者」という記述はなく、2)は誤りということになります。
それでは、問題文が以下のような文章だったらどうでしょう。
第1号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の自営業者、農林漁業者、学生、無職の者などで、日本国籍の有無は問われない。
一見、正しいように見えますが、私は誤りだと思います。
条文の「第2号被保険者(厚生年金に加入している人=被用者)及び第3号被保険者(第2号被保険者に扶養される配偶者)のいずれにも該当しない」というところを、「自営業者、農林漁業者、学生、無職の者など」で置き換えている部分が正しくないからです。
一般的に、第1号被保険者というと「自営業者」を思い浮かべる方も多いと思いますが、実態は違います。下のデータを見て下さい(厚労省 平成 29 年国民年金被保険者実態調査)。
「常用雇用」(8.9%)と「パート・アルバイト・臨時」(31.4%)を足すと40.3%です。つまり、第1号被保険者のなかで、雇用されている方の割合が1番高いのです。
そうすると、先の問題文で、第1号被保険者を「自営業者、農林漁業者、学生、無職の者など」と表すことが正しくないと理解していただけるでしょうか。
資格試験の作問者でさえも勘違いしていると思われる、国民年金第1号被保険者の本当の姿を理解して下さい。
適用拡大の対象者の多くは、第1号被保険者
わたしが何故、第1号被保険者についてこのようなことを強調するかと言うと、これが年金制度改革の柱である「厚生年金の適用拡大」を進める上で、重要な判断材料になるからです。
ちょっと前にも書きましたが、厚生年金により多くの短時間労働者が加入できるようにして、給付と保障の充実を図る適用拡大について、メディアの報道では、「パート専業主婦の手取りが減る」とか「中小企業の負担が増える」ということを強調しているケースが多く、適用拡大の意義が十分に伝わっていないと感じています。
しかし実際は、非正規として働き、厚生年金に入れない第1号被保険者の方に対して、負担を増やすことなくセーフティネットの充実を図るという意義があるのです。
詳しくは、下の投稿をご覧ください。
国民年金第1号被保険者の本当の姿を理解して、年金制度改革の柱である適用拡大を進めていきましょう!
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