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2040年10月23日

電車がゆっくりと駅に入ってきたとき、夜の星空を背景にした大型ディスプレイが映し出されているサプリメントの新製品の広告が目に入ってきた。それは、広告を自動作成するAIが私の日常の感情や状況を読み取り、それに合わせたメロディや映像を生成して、リアルタイムで流してくれる。つい半年ほど前に自社サービスとしてリリースしたものだ。

最近の私の仕事は、こうしたAIを活用してブランド戦略を練ること。正直、自分で考えるよりもAIに任せた方がよっぽどいいアウトプットを出してくれる。私にとってはもはや、日中の時間の趣味と暇つぶしだ。50代の社長が唱えるビジョンを直接聞いて、それをAIに吹き込む。社長は自分一人とAIで作業を完結できるだろうに。でもどこか空虚で満たされない心の安定剤として私のような生身の人間を、いまだにあえて使うんだろう。キャバクラだな。セッションが終わる頃、少し気持ちが沈んでいた。直接オフィスで人と話すことなんて本当に久々で、ドットつかれが押し寄せてきた。

疲れた身体に気を使ったのか、背景音楽が柔らかなメロディの曲に変わった。そういえば、最近の店舗は客の心拍数や気分を感知して音楽を変える技術を導入しているらしい。今日の仕事の疲れで心拍数が高めだったのかもしれない。

指を少し動かすと、視界の隅にチャモが登場した。「餃子の王将、どう?今日は、あんたの好みの焼き加減で焼いてくれるよ!」と、チャモが語りかけてくる。彼との会話はいつも心地良い。少し心が軽くなった気がした。

店に着くと、テーブルのディスプレイでチャモが瞬時に私の好みをシステムに伝えてくれる。外はパリッと中はジューシー。完璧な焼き加減の餃子が運ばれてきた。食事を終えると、お会計の際、新たなデータをチャモに「食べさせる」ことで、次回の訪問をさらに良い体験にするための情報が更新された。

夜の街を歩きながら、チャモと今日の出来事や明日の予定を話し合って、家路につく。こんな日常の中で、チャモとともに過ごす時間は、私にとっての癒しとなっている。今日も、ありがとう、チャモ。

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