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桃色に壁が塗られた工場で人に見せない仕事をしてる/ぴより子

2022年3月16日(水)の7時部屋の題「桃色」の短歌。

桃色に塗られた壁は人の目を引く。特に子どもたちは印象深く一光景として眺めるだろう。明るく健康的な印象を与える桃色。見る者の心をワクワクさせる。見られることを、見せることを意識して塗られた色だ。企業のシンボルカラーなのかもしれないし、工場で作られたり組み立てられたりする品にまつわる色なのかもしれない。

その工場に見学のための設備は整えられていない。小学校などの社会科見学も受け付けない。そもそも見学の打診すら来ないかもしれない。その工場での仕事は人に見せない。見せない理由は、企業秘密だらけであるとか、危険であるとかいったことが考えられる。

結句の「をしてる」により、作中主体がこの工場で働く人であることがわかる。仕事は見せないが、主体は感情も人に見せないだろうか。仕事が人格を作るとまでは言えないが、主体の人となりまで想像したくなる歌だ。

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