土のはなし
どうもこんにちは、陶芸家の高橋燎です。
今日のテーマは「土」です。
陶芸に欠かせない陶土についてお話ししようと思います。
土が好き
土は子どもの頃からとても身近でした。
学童保育の施設のまわりはまだよくわからない荒れ地が多くて、よくそこで同級生と泥団子をつくっていました。大津市はアスファルトの舗装が進み、今はほとんどそのような場所はありません。7歳くらいの頃、泥団子を水の入った容器に入れて冷蔵庫で冷やしたらどうなるんだろうと思い、親にやってもいいか聞くと「ええで」と。もちろん泥団子は容器の中でとけてしまい、すごくがっかりしました。そのことを親に報告すると、笑われるでもなく「そうか」と言われて終わったことを思い出します。
あれから25年経ち、大人になった僕はいまだに土をいじくりまわしています。冷蔵庫じゃなくて、薪窯で焼いたらどうなるんだろうというのが33歳になった僕です。
いつも使っている土
僕は古陶土、半磁器土、赤土4号荒目、原土の4種類を使い分けています。
それぞれの特徴をちょっとご紹介しますね。
1.古陶土
古陶土は初めて薪窯で焼いたときから使っている土です。耐火度が高いのが特徴です。耐火度が高い土というのは土の粒度が低くザラザラしています。焼き締まりが良くないと水漏れしたり欠けやすくなってしまうので食器としての扱いはコツがいる土です。薪窯で焼くと緋色が出たり灰がガラス化して美しい景色が出ます。へたりにくい土なので、幅の広い鉢や大きい形のものを作るのに向いています。窯詰めは温度の高い最前部に置いて高温の景色が出るように焼くようにしています。トルコブルー釉をかけた部分はザラザラの表面に引っ張られて荒っぽいテクスチャ―になり、釉薬がかかっていない部分は緋色が出て、青と赤のコントラストになるように焼くことができる土です。
2.半磁器土
半磁器土は磁器土と陶土が半々にブレンドされた土。幅があるとへたるので縦ものを作るようにしています。磁器土は高いし扱いも難しそうという理由で敬遠してきましたが、半磁器土ならいつもの感覚で成形ができます。手触りはとてもなめらかな土なので、焼き上がりもさらりとしています。なめらかな土は密度があるので食洗機にも強いのがいいところ。トルコブルーの色の出方もさらりとして明るい印象になります。
ちなみに耐火度は普通くらいです。焼きすぎると崩れることがあるので高温になるところには窯詰めしません。
3.赤土4号荒目
赤土は鉄分を多く含んだ土です。3号、4号・・・と号数が増えると鉄分の含有量が多くなります。鉄分が多いとそれだけ土の耐火度が下がるので、トレインキルンに耐えるギリギリのものがこの4号の土でした。トルコブルーも鉄分と反応してとても暗い青色が出ます。無釉のところは真っ黒になり金属のような光沢が出ます。
4.原土から作った土
原土とは未精製の掘ってきたそのままの土のことです。これまで紹介してきた半磁器土や赤土は、原土から不純物を取り除いてブレンドした土でとても扱いやすく作られています。しかし原土は、まず乾燥させてから細かく砕いて木の根っことか大きすぎる小石をとりのぞくことから始まります。精製していると、土ってこうなってたんだという発見があって面白い。ろくろでひくと指紋が無くなるくらい、とてもザラザラしている土です。また粘り気が無い土もあって成形がとても難しい場合があります。成形の途中で穴が開いたり崩れたり…難易度の高い分おもしろい土。
原土を粘土にする
原土の精製方法は、水につけて上澄みをとっていく水簸(すいひ)というやり方と、砕いた土に水を混ぜてそのまま粘土にするハタキというやり方があります。僕は原土のワイルドさをトレインキルンで試したいのでハタキの方法で粘土にしています。
原土の良さをどのように引き出すかが今後の課題です。
良い土、悪い土
世界中の地層の数だけ土があります。
そんな膨大な種類がある土のほんの一部をご紹介しました。
僕はそれぞれの特徴をどう生かすかを大事にしています。
小さいころに印象に残っていた、ポケモンのセリフです。
そんなことを考えながら、土をいじっています。
読んでいただいてありがとうございました。
ほなまた!
2024.3.21 高橋燎
山口アーツ&クラフツ2024
4月20日(土) 10:00〜17:00
4月21日(日) 10:00〜16:00
場所:維新百年記念公園 【Dブロック/芝生の丘】
初めての山口です。お待ちしております。
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