うつわ屋店主と陶芸家の交換日記
どうもこんにちは、陶芸家の高橋燎です。futouさんでの個展「iteration」まであと1週間となりました。実は最近futou店主河辺さんと交換日記をしていました。よかったら読んでね。
登場人物
2024年12月7日(土)
河辺さんこんにちは。今日から交換日記よろしくお願いします!
今日は近所の山の人からでっかい丸太をもらってきました。とても寒いのでこの日記はストーブの前で書いています。
今回の個展はイテレーションということで、改善をともなう反復をテーマにやってきました。 自分の窯を建てて2〜3回焼きをしていくうちに、最初は変数(variable)がテーマかなと思っていたのですが、焼きの要素である変数がどんどん増えていって変数の固定なんてものはまだまだ先で、焼きを繰り返して探っていくのが一番やと気付きました。 制作の1ヶ月のサイクルとして…まずろくろで成形して素焼きをして、薪の準備をします。施釉をして窯に詰めて、焼いて、窯出しをする。そしてまた次の焼きに向けて成形に戻る。 1ヶ月のサイクルの中で答え合わせにあたるのが焼きです。焼きの結果から分かったことをもとに次の焼きの方針を決めます。この繰り返しの1年でした。
河辺さんに質問なのですが、この1年は多くのイベントをされていたと思います。今年、河辺さんがうつわ屋店主としてイテレーションしたことがあれば教えてください。
12月10日(月)
高橋さん こちらこそ宜しくお願いします! 12月に入って大阪もずいぶん寒くなりました。去年の個展の期間も冷え込みましたが、お客さまに信楽の和紅茶をふるまって温まって頂いたのは良いアイデアでしたね。ぜひ今年もやりたいです!
高橋さんから個展のテーマを”イテレーション”にしたいと聞いたとき、昔IT系の仕事もしていた自分には馴染みのある単語だったので懐かしい気持ちになりました。 システム開発の一連の工程を”短期間で繰り返す”こと(=イテレーション)で顧客の要望や市場のフィードバックを素早く取り入れてサービスの改善に繋げやすくする、というようなイメージでしたが、その概念を薪窯の窯焚きという長大な営みに適用させようとする高橋さんのある種のクレイジーさには改めて度肝を抜かれました笑 そして実際に一年で11回もの窯焚きをやってのけてしまうのですから感服です。成果の発表が本当に楽しみですね。
ご質問の”うつわ屋店主としてのイテレーション”についてですが、今年は外部のイベントにも何度か出展しまして、その結果”変数としての客層”を強く実感することになりました。 各外部イベントごとに来場者の方の年齢層や趣味嗜好などの属性が変動するので、まだ見ぬ来場者に思いを馳せながらどんなものを持っていけば喜んでもらえるかを考えるのは難しくも楽しいものでした。 無難に留まるのはイヤなので、外部イベントの雰囲気とfutou独自の色をどう調和させつついかに来場者の方の刺激になれるか。これを考えるのが結構面白くて来年以降も繰り返していきたいと思っています。
12月12日(水)
河辺さんお返事ありがとうございます。信楽は初雪がちらついています。移住してから3年が経とうとしていますが信楽の寒さにはまだ慣れません。昨年は和紅茶を喜んでもらえてよかったです。信楽は寒暖差が激しくてお茶がとても美味しく育つ地形なんですよ。飲んでいただいたのはかたぎ農園というお茶農家さんの「朝宮紅茶 紫香楽」という茶葉で、我が家でも毎年新茶の時期を楽しみに飲んでいます。お茶のふるまい、今年もぜひよろしくお願いします。みんな温まってね。
”うつわ屋店主としてのイテレーション”をありがとうございました。うつわ屋の店主と陶芸家、仕事内容は異なりますが通じるものがあって嬉しいです。
今日は11回目の焼きの窯出しをしてきました。個展までの最後の焼きでしたがよく焼けていたので少しホッとしています。これからすぐに底仕上げや目止めに取り掛かります。間に合うように頑張ります。
話は変わりますが、今日はお酒の話をしますね。今年の夏に祖父が亡くなったのですが、祖父が好きだった麦焼酎を買ってきて飲んだんですよね。滋賀といえば日本酒のイメージがあると思いますがうちの家系は焼酎を飲むことが多くて、僕も寒くなると焼酎を飲みたくなります。それもあってか酒器は焼酎を想定して作ることが多いです。お湯割りが好きなので冷めにくい厚みとか香りが立つような形状など、理想のカップを作るのが好きです。お客さんに焼酎好きはあまりいないのですが、そんなところに気づいてもらえるととても嬉しい。河辺さんはお酒にこだわりはありますか?
12月14日(土)
高橋さんこんにちは。大阪はなんと今日雹が降りました。晴れていても風が冷たく、ようやく冬本番という感じです。個展まであと少しですが体調崩さないようお互い気をつけましょう。
今年最後の窯焚きお疲れ様でした!納得いく焼きだったようで良かったです。今年もたぬきはたくさん並べられそうですね?高橋さんの”抽象的なたぬき”好きなので楽しみです。あと”山”もぜひ多くの方に見てもらいたいですね。
お酒、特に焼酎ですか。高橋さんのフリーカップ類は人気ですが、確かにこれまで焼酎用で買い求められた方はあまりいないかもしれません。
厚みや形状などのこだわりはたぶん珈琲好きの方にも嬉しいポイントなんじゃないでしょうか。そんなお客さまが多い気がします。
かういう私も最近は焼酎をほとんど飲まなくなってしまいました。
お湯割りは体があたたまって良いのですが、酔いが回るのも早いので…。
こだわりというほどではないですが、最近はジンが好きでよく飲んでいます!クラフトジンは色んな種類があって楽しいですよ。ジン絡みの趣味的な活動も始めたり。
そういえば高橋さんって陶芸以外で息抜きになるような趣味はお持ちなんですか?
12月15日(日)
河辺さんお返事ありがとうございます。僕は下町に住んだことがないのですが個展ではいつも地元の人や里帰りの人が足を運んでくださるのでfutouさんには下町の情緒を感じます。今年も在廊するのが楽しみです。
河辺さんといえばジンですよね。ジンにまつわる活動をされているのを知ったとき河辺さんらしいなと思いました。futouさんはうつわインディペンデントストアとして活動されていますがクラフトジンもインディペンデントな世界だと思います。ジンは未知の世界でとても興味があります。僕もいろいろ飲んでみたいっす。
息抜きになるような趣味ですか。今年は「ERDENRING」という死にゲーをやっていました。難易度が高くて簡単にゲームオーバーになるので装備やビルドを変えたり上手い人のプレイ動画を参考にしてどうすれば倒せるか考えながらプレイしています。このプロセスは陶芸にめちゃくちゃ似てるんですよね。死にゲーはイテレーション。何度も繰り返して改善していくプロセスが僕は好きみたいです。
さて、いよいよ個展が迫ってきましたが器の準備は順調に進んでいます。自分で言うのも何ですが、用意できる器の量、質ともに全力を出し切れている気がします。これを読んでくれている方もどうぞ楽しみにしていてください!
おわりに
うつわ屋店主と陶芸家の交換日記、いかがだったでしょうか。僕は34歳になりますが交換日記をするのは生まれて初めてでした。楽しかったです。河辺さんお付き合いいただきありがとうございました。これからもずっとやりましょう。嘘です。
高橋燎 陶展 「iteration〈反復〉」
2024年12月21日(土)-31日(火)
土日11:30 - 19:00
平日13:00 - 19:00(最終日17:00まで)
24日(火)は臨時休業
会場:futou / うつわ 図書 雑貨 Instagram
542-0021 大阪府大阪市 阿倍野区 阪南町4丁目11-5 Gemut阪南1F map地下鉄御堂筋線 西田辺駅 徒歩10分
車でお越しの方は近隣のコインパーキングをご利用ください
https://maps.app.goo.gl/ZmPVK333ZFVAT4N49
在廊日:21日(土)・22日(日)
28日(土)・29日(日)・30日(月)・31日(火)