シングルは8cm
僕が頭に浮かべるのは、あの縦長フォルムのケース。
「シングル」という言葉を聞くだけでグッと、こめかみ辺りの温度が2℃くらい上がるような気がする。
いつの間にかマキシシングルが登場していたし、しこたまマキシシングルも買ったけれど、やっぱりシングルは8cmが良い。
あの8cmのディスクをハメるプラ部分の更に下にある、謎のプラ部分のパーツは何の為だったのだろう。
アレを折って、ジャケの厚紙を折り畳んでいたりする人もいるようだけれど、本当の正解はどれだったのだろう。
僕は、あの下半分のプラ部分を不注意で割ってしまったりして(シングルの重ね過ぎでも割れた)、シングルパッケージの下半分がペラペラになって絶望したクチだ。
初めて自分で買ったCDは忘れたけれど、初めて自分に買ってもらったCDは確かシングルCD(モチのロンで8cm)で、DREAMS COME TRUEの「サンキュ.」と桑田佳祐「祭りのあと」だった気がする(もしかしたらH Jungle with T「WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント」も一緒だった気もする)。
ところで僕は、ドリカムの「サンキュ.」の話題になったり、その曲を思い浮かべたりすると、何故か必ず、小学生の5年生か6年生だった頃、同級生の女の子が「あの曲、いい曲だよね」と笑ったそのシーンだけがパッと思い出されるのだ。
僕はあの時、そのまま下駄箱そばのウォータークーラーで水を飲んだ。
そうだ、いい曲なのだ。
僕はあの頃からずっと、「サンキュ.」は男女の友情か、そこから伸びそうなふたりの関係の歌だと思っていたけれど、ハタチを過ぎてしばらくしてから、「サンキュ.」の話をした女性から、「あの曲は女同士の友情の歌だ」と指摘を受けた。
気になり過ぎて、その後、女性と話す機会などに、その話を思い出す度、質問するのだけれど、「サンキュ.」を知っている彼女たちは皆口を揃えて「あの曲は女同士の友情の歌だ」と言う。(因みに男性に聞いた事はない。残念ながら男性でドリ好きだと言う人に出会った事がないからだ)
でもいいのだ。僕は僕の解釈をしてあの楽曲を愛すのだ。
「ちょっとカッコ悪いけど 髪切るならつきあうよ」は確かに引っかかるといえば引っかかるが…いや、僕ならつきあう。
閑話休題。
8cmシングルは、CD屋でお目当てのシングルを探す時に、背表紙(タイトル部)の文字がめちゃくちゃ小さくて探しづらかった。
8cm CD用のアダプタを付けないと、デッキで聴けなかったり、カーステレオで聴けなかったりしたのが不便だった。
なんなら、カーステレオはアダプタを付けると、中でアダプタがCDから外れて飲み込まれたままになってしまうのが怖くて、カセットテープにダビングしていた。
アルバムCDと全然サイズが違うから、同じ本棚に収納しようとするとちょっと面倒だった。
重ねて収納しておくと、ジャッケットの厚紙にプラスチック部分の形で跡が浮き出てきてしまって本当に嫌だった。
だけど、
手のひらに収めた時のサイズ感がやっぱり好きだった。
少し厚手の紙のジャケットをめくり、8cmのディスクを見つけると胸が躍った。
裏ジャッケットに印字されている、四角で囲われた発売日の日付を見るのが好きだった。
背表紙(タイトル部)の所(タイトルやアーティスト名の前)に印刷された、各レコード会社によって違うマークを見比べるのが好きだった。
「シングル」という言葉を聞いて、僕が頭に浮かべるのは、やっぱりあの縦長フォルムのケースなのだ。
今回、この記事を書きながら、こめかみ辺りの温度が2℃くらい上がった気がした。
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