#4 日々
もしかしたら、この「トビラの外のそのまた向こう」をリリースしたら僕は音楽をやめるかもしれない。
作る前は、そんな風に思ったこともあった。
今後、僕は歌が作れるんだろうか。
作ったとして、それは求められていることなんだろうか。
やはり、自分が作ったものを世に発表するのは怖い。
「あぁ、こんなもんか」
「別に大した曲じゃないな」
「下手くそ!」
こんなリアクションが帰ってくることを想像する。
もちろん、自分で聞いて「めっちゃ良いぜ!」と思いながら作っていることは確かなんだけど、それでもやっぱり不安な思いは払拭しにくい。
この「日々」は、本当に最近作った曲。
これと「ピスタチオ」が新しい。
それ以外の曲はどれも10年以上前に作った曲。
(自分で書いてておどろいた!東京で作った曲は10年以上、いや、干支ひと回り以上前の曲だ!)
本当は全部、昔の曲を入れようと思ってた。
あと少しだけなら未収録の曲もあるしね。
だけど、なんだろうな、stand.fmで弾き語り配信を始めて、そこで僕の中に変化があって、それが影響を及ぼした曲ができて、それって、これからも僕は音楽活動を続けていくってこと?
終着点だったものが、急に通過点に感じた。
まだまだ先があるかも。もっと楽しいことができるかも。もしかしたら、これからも歌が作れるかも。
そしたら、ずっと迷ってて決められなかったミニアルバムのタイトルが決まった。
「トビラの外のそのまた向こう」
「今」の先にまだ何かが待っている。
大袈裟に言えば「希望」。
ミニアルバムのタイトル候補として、「遺作」とか「エンドロール」とか「Clear」とか、終わらせることばっかり考えてた。
これが、この先を感じられるタイトルをつけられたのは、この「日々」が作れたからだろう。
シンプルにガットギターと歌だけ。
コーラスも、その他の楽器もなし。
僕の「日々」を綴った歌なので、本物の日常音をSEとして差し込んでる。
僕が家でスリッパで歩いてる音
食器を洗ってる音
トビラを開ける音(引戸だから扉とは言わない?)
飼い猫の鳴き声(もう高齢なので「遺声」になるかも)
歌詞の内容は特にテーマを決めずに、ただつらつらと感じている事を。
日記のような、エッセイのような、随筆のような。
僕が死んで身体や精神が無に帰っても、歌ぐらい残って欲しいなぁなんて思ってる。
でも、それと同時に、なんなら僕が死んだらみんな僕のことなんか忘れて欲しいとも思ってる。
そんな複雑な中年心。(←僕だけ?)
実はstand.fm内で、この曲をカバーしてくれる人がいたりして。それも、めちゃくちゃ嬉しい。
是非とも探して聞いてみて欲しい。
(反面、あまりにカバーが良すぎると、原曲聞いたときにしょぼく感じられたら嫌だなぁと思ったりもする)
曲としては僕があまり使わないコードを使ったりと、挑戦した部分もある。
実はガットギターを手に入れて初めて作った曲。
今思い出したけど、「Wonderland」のリリース解禁したタビーズでのライブで、できたてほやほや初披露したんじゃなかったっけ。
まだタイトルもついてない状態だったし、もしかしたら、歌詞やコードも今と違うかも。
(リリース日にCD収録曲じゃなく、作りたてで歌っちゃうところが商売っ気がなくて残念)
とにかく、この曲が転機だったなぁと今更感じてるってこと。