見出し画像

歯科医たかはしかずとのストーリー 2020/01/02

薬局と歯科医院を見て育つ

静岡県静岡市(現在の静岡市葵区)で生まれ、三人兄弟の長男です。実家は静岡市葵区新富町で薬局を営んでおります。薬局は母方の祖父が創業者で、母が二代目、現在弟が三代目をしております。
幼少期の頃、家族で住んでいた自宅兼薬局の目の前に、母方の祖父と母の弟(叔父)が、家と歯科医院を兼ねた二世帯住宅を建てました。歯科医院は叔父が経営していました。このような環境で育ったので、薬局と歯科医院の仕事は割と身近にありました。小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「歯医者」、中学校の時は「薬剤師」でした。
身近な人たちの影響力は大きいですね。

学校の勉強では、美術が好きで成績はいつも5、運動が苦手で体育はいつも2でした。
今でも覚えている小学校の時のエピソードがあります。
小学校1年生の時に朝、絵を描く時間がありました。その時のお題は「手のひら」を描く。周りの友達はすぐに描き終わっていたのに、僕は全然描き終わらない。後から自分だけ「指紋」を描いていたんだ、と気づきました。そしてのその作品は、先生が間違えて4年生の作品として飾っていました。1年生の作品が4年生の作品と並んでいても違和感がなかったんでしょうか。母がそれを見て、「4年生の作品って飾ってあったよ」と、とても喜んでいたのを今でも覚えています。
お母さんが喜んでくれたことがきっかけで絵を描くことが好きになったんでしょう。

手先が器用だから歯医者になったらどうだ?

高校3年生になって、これからの進路を考える時期になりました。高校では、昼休みに友達とサッカーをすることしか考えていなかったので、進路については何も考えていませんでした。そんな時に、祖父とこれからの進路について話をする機会がありました。祖父からすると、自分自身や娘は薬剤師、息子は歯科医師なので、僕が接客業として薬剤師になるか、職人的な感じで歯科医師になるか、のどちらかだったのでしょう。「一人(かずと)は手先が器用だから歯医者になったらどうだ?」と勧められました。そのまま素直に歯学部を目指すことになりました。

1年間の浪人生活を経て、福島県郡山市の奥羽大学(ルビ:おうう)歯学部に入学しました。実家を離れ人生初の一人暮らしをすることになりました。大学の初日の授業に二度寝して寝坊したのは、今となってはいい思い出です。幼稚園の頃から、小中高、予備校時代、大学時代も、嫌なことはありましたが、思い返すととてもいい友人に囲まれていたな、と思います。

噛み合わせの学問にのめり込む

大学では歯医者になるために勉強しました。そして国家試験に合格し、研修医になって、いざ臨床の場に立つと、気になることがありました。それは虫歯の治療で詰め物や被せ物をした後に、患者さんに聞く「カチカチ噛んで下さい。どうですか?」という表現。これは患者さん側の主観で決めたもので、感覚的なものなので、患者さんに任せた適当な感じでいいのか、と疑問に思ったのです。
この疑問を解消するために、噛み合わせの学問を追求しました。時間があれば大学の図書館で噛み合わせに関する本や論文をひたすら読んでいました。興味を持って勉強をしたのは、これが人生で初めてかもしれません。
強制的にやらされることは、興味を持って取り組むことには、勝てませんね。

著者に会いに行ったことがきっかけになる

噛み合わせを勉強をしていく中で、細山先生が執筆された「インプラントの咬合(こうごう(噛み合わせのこと)」という本に出会いました。この
本に書いてある内容に興味を持った私は、その先生のメールアドレスを調べ、直接連絡をとりました。そうしたら、先生本人から返信をいただき、せっかくだから直接会ってお話しませんか、と言っていただけました。当時住んでいた福島から、その時にお世話になっていた先生方と一緒に、車で細山先生がいらっしゃる新潟まで会いに行くことになりました。雪の降る中とても新潟でとても貴重なお時間をいただけました。

その後大学院を卒業し、大学病院で1年間勤務した後に、32歳から埼玉県朝霞市にあるクリニックで勤務を開始しました。細山先生にご紹介いただいたクリニックでした。そこでは、患者さんの歯の治療はもちろん、クリニック内の人間関係やチームワークにも気を配る必要がありました。今思えば当然なんですが、当時の僕は、自分だけが良ければそれでいい、という超自己中心的な考え方をしていたので、次第にクリニック内の人間関係で苦しむことになりました。
さらに、他の人と比べてどうかという比較をする考え方が強くて、勝ち負けにこだわっていました。人間関係や周りとの調和よりも、いかに自分が優れているかという基準で行動していたので、周りの方には本当にご迷惑をかけました。それでも一緒に働いてくれた先生、スタッフのみなさんには感謝しかありません。
今思えば、本当にありがたい仲間だったな、と思います。

鼻呼吸ができれば歯並びも良くなる!

そんな埼玉での勤務医時代のとある日、とても興味深いセミナー情報が舞い込んできました。「筋機能矯正」セミナーというタイトルでした。チラシに書いてある内容を読み進めてみると、「口で呼吸することが、歯ならびが悪くなる原因である」と書いてありました。
参加したセミナーの講師の先生はオーストラリアの方。セミナーでは「口の周りの筋肉を鍛えて鼻で呼吸をすることで、良い歯ならびにつながる」という治療システムを学びました。

そしてこのセミナーの数ヵ月後、奇跡的なことに、世界中から「歯並びは機能的に治した方がいい」と考えている先生たちの国際会議IFUNAが、岩手県平泉町で開催されるというお知らせが届きました。ありがたいことに4日間もお時間をいただき、参加しました。僕はセミナーを受けた後も半信半疑で、その治療システムを取り込んではいませんでした。しかし、国際会議に参加していろんな症例をみたことで、筋機能矯正はすごい可能性があるな、と感じました。
この時私は、埼玉県朝霞市のクリニックで勤務するのと同時に、月に1度アルバイトで同級生が院長をしている宮城県名取市のクリニックへ行って歯並びの治療もしていました。そこで同級生の院長に、僕が「最近学んだ筋機能矯正の治療システムをこのクリニックで導入したい」と言ったら「赤字にならなければいいよ」と言ってくれたのです。実際にその治療システムをはじめてみると、小学校低学年の子どもたちの歯ならびが本当によくなっていきました。

挑戦の場をもらえたことは、僕の経験や自信になりました。本当にありがたいことです。

歯ならびだけに特化してやってみたら?

朝霞市にあるクリニックでは朝から晩まで虫歯の治療をしていました。「虫歯はそもそも生活習慣などの原因を見直せば減る、という情報を伝えれば、虫歯になるリスクは減らせるはずなのに」と思っていましたが、治療をすることが忙しくて、そういった情報を患者さんに伝える時間はありませんでした。
もし自分が静岡に帰って自分のクリニックを開業したとしても、このパターンが一生続くのではないか、と葛藤していていました。そんな時、朝霞市のクリニックで一緒に働いていた先輩の先生が「歯並びの治療ができるなら、歯並びだけに特化してやってみたらどう?」と提案して下さいました。この先生の言葉がきっかけで歯並びの治療専門でやってみよう!と決断できました。

嫌な現実から逃げるために選んだ選択肢でしたが、後悔しても何もならないので、前進するために、だったらどうするか?を日々考え続けることは大切だと痛感しています。

ふじみ歯ならびクリニックのこだわり

私のクリニック、ふじみ歯ならびクリニックでは、歯並びの治療をしていますが、お子さんのあごの成長を助けることで、その結果歯ならびが良くなる、という方法で治療を行なっています。
実は歯ならびを改善するために最初から歯に固定式の金具を使う必要はありません。取り外し式のマウスピースを使って口の周りの筋肉をトレーニングして、鼻呼吸が習慣になるように毎日練習します。そうすると、あごが成長するので、歯が入る隙間が増えて、歯並びが良くなります。
ふじみ歯ならびクリニックは、お子さんの将来の健康に貢献できるクリニックを目指しています。さらに、お母さんが持っているお子さんの歯のお悩みを失くすお手伝いができればと思っています。

今後のビジョン

お母さんの笑顔があふれる世界を作る。これが私の使命であり、ビジョンです。世の中のお母さんの悩みが解消されれば、お母さん自身や家族にも笑顔が増えていくと思います。

現代のお母さんは、教育・人間関係・仕事・経済的なことも含めて、多くの悩みを抱えていますが、お母さんの周りに相談できる人がいなくて孤立してしまうと困った時に頼ることができません。僕ができることは、お子さんの歯並びの治療だけですが、僕とつながりがあって信頼できる人たちで一丸となって、お母さんのお悩みを解消したり、お母さんの楽しい時間を増やすことができればいいな、と思っています。
そのためには僕自身のつながりの中に、お互いの持っている優しさを共有し合える、信頼で繋がった仲間が必要です。今そういったつながりを作る活動もしていますが、これからもっともっと信頼できるつながりを広げる挑戦をしていきます。

次世代を担う学生や若者へのメッセージ

仕事に限らず、この世界は人と人との関わり合いで成り立っているので、つながりはとても大事だと思っています。ネットを通して人とつながるだけではなく、実際に会ってコミュニケーションをして、つながることも大事にしてほしいと思います。

そして、人と繋がりができたら、自分のことだけでなく、困った時にお互いに協力し合える関係を築いて欲しいです。そのつながりがきっと人生を豊かにしてくれることでしょう。まずは身近な家族や友人とのつながりを大切にできているか振り返ってみましょう。

髙橋 一人(たかはし かずと)プロフィール

ふじみ歯ならびクリニック 院長 
〒422-8019 静岡県静岡市駿河区東静岡2-5-1 イーダッシュ東静岡1F

2014年7月歯並び治療専門のふじみ歯ならびクリニックを開業。マウスピースを使い口の周りの筋肉を鍛え、口呼吸から鼻呼吸に切り替えることであごの成長を促し、歯並びを改善する治療法を行なっている。一方、人それぞれが自分の強みを生かしてお互いを支え合うことで、お互いのやりたいことが達成できる、なめらかな世界を作ることを理想に、日々活動している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?