人生の目的と紐付いた”ありたい自分”を見つめる「常若産業甲子園」
令和4年10月26日から3日間、宗像神社で開催された第9回宗像国際環境会議に参加した。
宗像国際環境会議での議論は多岐にわたったが、中でも、最も興味深かった岸本吉生氏(ものづくり生命機構常任理事)の「常若産業甲子園」について述べたいと思う。
●「常若産業甲子園」の育成プログラム
まず全国の子供たちが「常若」を自分事と捉えて自分の志や夢を語り、地域で出会った大人たちの思い、知恵、経験を受け継ぐ45分のドキュメンタリー映画が放映された。
常若産業甲子園は、世代を超えて「常若」を受け継ぐ武者修行で、まず400字で以下の4項目について文章を作成してもらう。
人生の目的
人生の目的と紐付いた「ありたい自分」
卒業式当日にそうありたい自分
そうありたい自分になるために励むこと
「人生の目的」はどうやったら見つかりますか?という質問をする若者がいるが、「人生の目的」と「人生の目標」は違う。
何のために生きるのかというのが「人生の目的」であり、そのために何を目指すのかというのが「人生の目標」である。
人生の目的と紐付いた「ありたい自分」を見つめさせることによって、夢や理想の源泉である自らのいのちの叫び、内発的な「願い」=「内部理想」に気づかせることによって、「常若」を自分事として捉えることができるようになる。
内発的な「願い」に立脚した「人生の目的」に向かって、卒業式当日にそうありたい自分の目標を立て、その目標に向かって今何を成すべきかを考えさせるのである。
このように「人生の目的」と「人生の目標」、次に「なりたい自分とありたい自分」について考えさせ、そうありたいけれどもそうなれるとは限らない状況を見つめさせ、生きる喜びを感じる「仕事」と金儲けのためにやる「稼ぎ」との違いについて考えさせる。
生きる喜びを感じるのはどんな時かについて考えさせ、それは誰かに役立ち他者に貢献する人生であることに気づかせる。
「常若」の希望の星がある人生は、困っている人のために働き、森と川と里と海を「常若」にする社会課題を自分事として解決する。
世の中の役に立つ喜びを味わうことをライフワークにするような生き方を「常若産業甲子園」は目指している。
自らが置かれた場所で与えられた命を大切にして仕事のミッションを全うするためには、自立と独立、奉仕・社会貢献、起業家精神、家庭と仕事の両立、安全・安定、チャレンジや、マーケティング力、メディア運用力、プロジェクト遂行力、お金を集め使う力、などの専門能力が求められる。
FIDS(FeelFind,Imagine,Do,Share)によって、仲間を巻き込み、夢をかなえる。自分にも他人にも希望があり、他人の希望を聞いて助けることが大切である。
私は道徳教育にどう活かすかという視点から、この「育成プログラム」に注目し、環境問題と道徳教育との接点について考えた。
麗澤大学で開催された地球システム倫理学会で、服部英二先生が”sustainability"を「常若の世」と訳されたことが、「常若」の視点で環境問題を考える契機となった。
●縦糸と横糸の折り合いの付け方一「通底する価値」
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