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宗門系私大の苦難と活路 ③(深掘りLIVE #38 文字起こし記事)

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深掘りLIVE #38 宗門系私大の苦難と活路 ③

学校法人運営において、宗門系の問題が起きることがあります。特に宗門系の場合には、内紛や派遣理事の任期などの問題が多く生じています。学校法人の組織倫理の低下や学生数の減少により、学園経営が危機に直面しています。その解決策として、理事長と学長が一体となり、改革を本気で行う必要があります。 理事会や学長との関係や問題点、宗教関係の触れ方などについて、宗門系私大の苦難と活路が議論されています。(AI summary)
目次
宗門系学校法人の苦難 00:00
宗門系学校法人の問題 06:10
派遣理事の不安定な状況 09:51
現場と学門の二重権力構造 18:12
改革の必要性と経営の責任 20:28
宗門系私大の苦難と活路 22:29

AI文字起こしのサマリーと目次|LISTEN

宗門系学校法人の苦難

深堀ライブの38個目、「宗門系私大の苦難と活路」のその3をやりたいと思います。これまでその1、その2と語ってきました。

その1では、特にその宗門系私学における学長選出のあり方、理事会との関係でのね。例えば、僧籍を持ってるか持っていないとかいう、宗門の意向が結構影響するということ。

それから宗門の人たちは、近年は私学の経営が傾いてきたんだけども、かつては学校が、まあお寺だけで収入が足りないわけじゃないんでしょうが、二足の草鞋として使ってきた部分があるんだけど、経営難に陥る中で、経営能力がないんだけれども関わっているという問題。

それから建学の精神、建学の理念については 具現化、具現化と言いながらなかなか具現化できず、結局、教条的な対応しかできないということ。この教条主義っていうのは、実はマネジメントとは決定的に対立するという、そんな話をしてきました。

それからその2では、金は出さないけど口は出す。それはなぜかということで、教団だけに非常に専有意識が強い。教団ね、教える団です。宗派は、英語で言うとセクトです。教団はカルトです。宗教の教団だけに、宗派主義、教団主義があるということです。

そこには正統、異端という発想もあるし、もう一つ言ったのがイノベーションですね。

イノベーションに対しては結構、敵対的、保守的な対応をとる場合が多いということです。変わらないことにやっぱり意味があるわけです。だからイノベーションに対してはだいたいアンチな立場をとる場合が多いわけです。

私なんかがよく言ったのは、口を出すんだったら寺を売る覚悟でやってくださいと。寺を売ってでも学園を存続させる覚悟はありますかとか、偉そうに言ったりしたわけですが、そういう覚悟のある宗門系の理事長には出会ったことがありません。私の住んでた世界が狭かっただけかもしれませんが。それはさておき。

今回のその3では、もう少し具体的な話をしたいと思います。

実際の学校法人運営の現場で、理事会と学長というものがあって、学長は理事会メンバーにもなるわけですが、学長は、教授会や職員と、あるいは学生と日々、相対しているわけです。対峙しているというか、一緒に仕事をしているわけです。その教職員、学生を含む大学、私立学校という共同体、コミュニティの現場のトップは、やっぱり学長なんですよね。

理事長で、そういう意識を持ってやっている方もいなくはないですけれども、やっぱり少ないと思います。むしろ現場、監督は学長に任せて、理事長は、金は出さないけれどもオーナーのような顔をしているという、そんな話なんですが、ただそこで、宗門系の場合には、実はいろいろ厄介な問題があったりするわけです。

そこで理事長なり、そこに来ている理事たち、僧籍を持ってる持っていないに関わらず、みなさんが学園の利益、その学校法人の利益を考えて、それを最優先に自分の頭で考えて判断してくれればいいんですが、そういう意味では自律的な判断をちゃんと下してくれればいいんですが、そうではない外部の他律的な意思決定の影響を受ける場合がある。これが宗門だということです。

わかりやすい話から言うと、例えば、理事長が宗門から派遣されてくる。これは正式に言うと、理事長が派遣されてくるんじゃなくて、理事として派遣されてきて、それを宗門関係者が多数を占めている理事会で、理事長として選出するわけです。だから基本的には、宗門からやっぱり事実上、理事長として派遣されてくるわけです。

この仕組みを持っている宗門系の私立大学は非常に不幸です。なぜ不幸かというと、大学、学校法人という意思決定が、自律的な意思決定がしにくいわけです。自律的な意思決定を下した時に必ず、その派遣元からの何か横槍が入る場合があるということです。

あるいは横槍が入らないまでも、その派遣されている理事長は、宗門組織に行って、そこで全部を説明しなきゃいけないわけです。元々そこから派遣されてきているわけですから、それがいかに世間的な常識、あるいは学校法人運営の本来のあるべき姿からかけ離れていたとしても、宗門側の論理からすれば、至極当然のことなわけです。

そこで、その宗門の側の同意を得られないと、結局、理事長はすごすごと帰ってくることになるわけです。あるいは、もう派遣理事としての期限を区切られて終わっていくみたいなことにもなったりするわけです。そして、次の別の理事が派遣されてくるとか、そういうことが平気で起こるわけです。

つまり、これが最大の問題です。宗門系私大の苦難、最大の苦難は、学校法人が自律的な意思決定ができない場合があるということです。

つまり外部に、その学校法人の理事会のポストをたくさん占める形で、外部から宗門関係者が、宗門という会議体、合議体、意思決定組織から送られてくるという仕組みがあるわけです。これは一種の二重権力構造です。しかも宗門の方が意思決定において学校法人の上をいったりする場合もあるということです。

だから前回、2回目のことで言った、口を出すけど金を出さないっていうのは、実はそういうことなんです。結局、そこで宗門の方の納得を得られないみたいなことを理事長が平気で言ってくるわけです。それに対して、私なんかは、それはうちの学園に何か関係あるんですかと。そうすると、いや、うちの学園の建学の理念はその教団の教えに則っているからと。それだけなんですね、根拠は。

じゃあこの学園をいったいどうするんですかっていう話になるわけです。


宗門系学校法人の問題

その時に大体、理事長はもう役に立たなくなる。そこで宗門と緊張関係に入ってやったとしても、結局、負けて終わってくるわけです。宗門の中でね。

つまり宗門の中でもちゃんと勝ち切れる理事長じゃなければならないんですが、そういう強者はあんまりいないわけです。この問題が一つあります。理事長が、学校法人の利益を最優先しないという問題です。

それに関連していろいろ出てくるんですが、今日は、2つ、3つ、挙げてみたいと思います。

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