【元学長の体験的大学論】一学部一学科制のススメ (小規模大学編 1 日本の音大)
若くして二つの大学で学長を経験した政治学者として、日本の大学についてもたくさん思うところがある。
そこで、【元学長の体験的大学論】として連載を始めることにした。あえて論証よりも独断的な主張に偏向した記事として書いていく。
第一弾は、日本で社会人学生が増えない理由についてであった。
第二弾は、一学部一学科制のススメである。
じつは①と③は、第一弾「日本で社会人学生が増えない理由」と関連している。そして②は、今回とりあげる第二弾「一学部一学科制」というテーマと関連している。
「ZEN大学」は間違いなくこれからの大学の進むべき方向を示している。
このニュースに関連して、下の記事を書いたので興味のある方はぜひ。
さて、本題である。なぜ、「一学部一学科制のススメ」なのか。
ということで、まずは「一学部一学科制のススメ〜小規模大学編」。
ここで、小規模大学として主に想定しているのは、まずは音大。それから芸大。そして、女子大。それと文系の地方小規模大学である。
まずは、私の体験にもとづく「一学部一学科」制のススメ。
音楽大学の話からはじめて、芸術系大学の話の入り口まで展開したい。
音楽学部に学科が4つもあった
私が21年間勤めた地方の音楽大学。赴任当時の入学定員は200名であった。その後180名に変更。いまは120名の入学定員である。
200名といえば、大規模大学(ユニバーシティ)では、「一つの学科」の大きさにすぎない。だが、ここに4つの学科があった。音楽学部に4つも学科があったのである。
私が勤めた音大は比較的早い時期に1学科制(コース制)への移行を完了した。
じつはこの1学科制のアイデアは、私が考えたものであった。だが、この考え方が教授会と理事会に受け入れられるまでには1年以上かかった。
学生数の減少傾向からいって、経営上の問題として4学科から減らすことは必然であった。学科数を減らすこと自体に誰からも異論はなかった。だが、1学科制という考え方はなかなか受け入れられなかった。
最大の障害となったのは、なんとか2学科にまとめられないかという呪縛であった。なぜ、そうまでして2学科にこだわったのか。
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