名芸学長選考問題から大学の未来を考える①(深掘りLIVE #10 文字起こし記事)
■名古屋芸術大学の学長選考をめぐる問題
深堀ライブ、10月27日金曜日の夜ですね。 深堀ライブの10回目になりますけれども、今日はこの問題、取り上げないわけにはいかないだろうと思いますので、話していこうと思いますが、名古屋芸術大学、名芸というふうに言うんですけれども、そこで、次の4月からの学長選考をめぐって、学内が揺れているということで、ちょっと私も関わりがあるので、これについては少し深掘りする必要があるだろうと。
■日本の私立大学における学長選考と理事会の問題
ただ単に名古屋芸術大学だけの問題じゃなくて、今の日本の私立大学において、その大学の理事会というもののあり方に関わる、さらに学長選考ということに関わる問題で、結構いろんな大学で似たような問題、ここまで問題化するかどうかは別として似たようなことって起きてるんですよね。
■学長選考における理事会と教学の現場の意見の相違
それほど大学において学長選考は重要だということと、それから理事会の意向と、いわゆる教学の現場の意向というのは必ずしも一致しない場合もあるということなんですが、ただその時に、理事会の意向って何なのかとか、あるいは現場の教学の意向って何なのかということも含めて問題になるし、そこの両者の関係をどう考えるのか、もちろんそれが一致するに越したことはないんだけど、そう単純じゃないんですよね。 理事会が間違っている場合もあるし、現場の方が変わらなきゃいけない場合もある。 その辺りはケースバイケースなんですが。
■名古屋芸術大学の学長選考の事例
そういったことも含めて、一つの事例として、この名古屋芸術大学の学長選考をめぐる問題を少し深掘りしていきたいと思います。
今日その1回目ですね。 この後、必要であれば何度かやっていこうかなと思っています。
名古屋芸術大学の現学長、今の学長は竹本先生というんですが、竹本義明さんというんですが、竹本先生と私は、実は旧知の仲で、私も名古屋音楽大学というところで学長をやったんですが、ちょうど私が学長になったのとほぼ同じタイミングで、名古屋芸大の学長になったのが竹本先生なんですよね。 だから本当に一緒に学長になったという感じなんですが。
実はそれ以前からお付き合いがありまして、竹本先生は教務部長とかやってたときに、私も教務関係の仕事を、部長補佐だったかな。 それぞれ別の大学ではあったんですが、私立大学の全国組織の研修会とかがあるんですね。 そこで結構一緒になることも多かったんですね。
そこでお互い芸術系の大学でしたので、その大学の将来をめぐって、「いろんな協力できるところはしようよ」とか言いながら、いろんな話をしてきた。 現場の苦労、そして理事会側の問題などもいろんな話をしてきた仲なんですよね。
私の方がずっと若輩者なんですが、たまたま同じタイミングで学長になったのも、これも何かの縁だろうというふうに思っているわけです。
私は6年で学長を辞めたんですけれども、竹本先生はその後も続けられて、結構長いこと学長をやられているんですが、さすがにご年齢も含めて次の学長を選ぶという話になったときに、この名古屋芸大では、2人の候補者を一応、規程上、2人の候補者を提案できるということのようなんですね。 理事会側からと、教学側からなのかな。 とにかく2人の候補者を出して、それで理事会で選考するという形のようなんですね。
ところが今回、次期の学長選考を選ぶにあたって、今の現学長である竹本先生は、心身に故障があるといって、学内立ち入り禁止で学長権限停止というふうな決定を理事会が一方的に下したうえで、次期学長を現学長のいないところで選出したというね。 これはもう完全に理事会側のルール違反だと思うんですが、そういう決定をしたと。
それに対して竹本先生側は、その学長権限の停止、学内立ち入り禁止ということ自体が人権侵害であるということで訴えを起こしたわけです。 理事長と本部長、じゃなくて理事会に対してですね、訴えを起こしたわけです。 これは人権問題だと。 なぜならば何らこう、そういった心身の故障があるという、医療的な診断も何もないまま権利停止をしたというね。 これはもう次期学長選考に絡んでの意図的な動きなんじゃないかという話にどうもなっているらしいんですよね。 それで訴えを起こしたわけです。 6月23日に職務執行停止命令は効力がないものだから、それを停止してくれという仮処分の申立て書を出したという話なんですね。 これが一つの流れ。
もう一つは竹本先生の方から、理事長と法人本部長っていうのかな。 その2人に対して名誉毀損で訴えるというのも8月下旬に地方裁判所に提出されたということなんですね。 そんなことで今もう完全に2つの裁判沙汰が起きているということなんです。
なんでここまでこじれてしまったのかというと、理由ははっきりしていて、次期、次の学長選考の手続きに問題があったというのはもう明白なんですよね。 なぜそんなことをやったのかという、よっぽどその人を学長にしたかったんだろうという気はするんですが、やっぱり手続きを無視してしまうと組織は成り立たないというのが一つだし。
■大学と非営利組織の特性と合意形成の重要性について
もう一つは大学とか非営利組織の特性としてやはり合意形成ってとても重要なんですよね。 この話はまた後でしますけれども、そこを無視してはやっぱり大学とか学校法人の発展はないんですよね。
■裁判官の指摘:学校法人運営の敵対的な状態と合意形成の必要性
結局2つの訴えが起こされて、最初に出された訴えに対して裁判官の方から、まずは理事長と学長双方で話し合いをすべきじゃないかと言った。 これはもう重要な指摘なんです。
つまり学校法人運営っていうのは敵対してはできないので、理事会が分裂している状態なんですね。 つまり学長は孤立させられて他の理事がどうしてるのか知りませんが、一対多であれそれは分裂であって、その状況ってやっぱりよろしくないんです。
■裁判官の指摘:話し合いの場を設けるべきこと
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