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東海道新幹線の車内チャイム音(2002年以前)を作る

先日、東海道新幹線の車内チャイム音が新しくなりました。「AMBITIOUS JAPAN!」から「会いにいこう」に変更になっています。「AMBITIOUS JAPAN!」は、2003年の東海道新幹線品川駅開業から 20年近くにわたって使用されてきたことから、ほとんどの人が東海道新幹線車内チャイムといえば「AMBITIOUS JAPAN!」を思い出すと思います。

「会いにいこう」は、数カ月前から TVCM で流れていたので、ほどなくして覚えてしまい、私自身けっこう気に入っている歌です。歌詞もよいですが、メロディーもシンプルで愛着が持てます。作曲者は岩崎太整さんというかたです。サビの 4小節部分がチャイムになっているようですね。

さて、ワタクシとしては「AMBITIOUS JAPAN!」の前(2002年以前)の車内チャイムも、けっこう心に残っています。会社勤めだったころは、出張といえば東海道新幹線だったので、1980年代の後半あたりから仕事で新幹線にはよく乗っていました。そのときに聞きまくっていたチャイム音です。

記憶をたよりに DAW に打ち込んでみました。譜面的にはだいたいこのような感じだったかと思います。キーは不明なので Cメジャーで書いています。ベースの動きは、あまり覚えていないのでテキトーです。

JR東海車両の「ひかり」「こだま」限定です。「のぞみ」は別のチャイム音だったようです。

で、とりいそぎ Dexed で鳴らしてみました。Dexed は、YAMAHA DX-7 を模したソフトシンセで、6オペレータによる周波数変調合成(FM合成)で音色を作成します。チャイムのような金属を叩いたりはじいたりする音色は、FM音源の得意とする音色です。下のプレイボタンで鳴ります。(128kbps, モノラル)

ちょっと音が「きれいすぎる」ような感じがします。少し「濁り感」をだすため、Synth1 でも音を作ってみました。Synth1 は、CLAVIA NordLead2 を参考にして作られた国産のソフトシンセです。バーチャル・アナログによる減算合成方式で、昔からアナログシンセで音作りをしてきた人には、使いやすいシンセです。下のプレイボタンで鳴ります。(128kbps, モノラル)

で、Dexed と Synth1 をミックスして鳴らしてみました。ミックス比は 1:1 で、ミックス後にディレイとリバーブを少しかけています。(128kbps, モノラル)

音色的にはこんな感じでしたかね。

参考までに、各シンセのパラメータのスクショを貼っておきます。

Dexed のパラメータ画面。モジュレータ(OP2と6)を非整数倍音にし、金属的な音を作っています。
Synth1 のパラメータ画面。矩形波同士でリングモジュレーションをかけているのがミソです。

シンセサイザーで音を作るとき、ひとつの楽器音はたいていひとつのシンセサイザーで作ってしまうことが多いかと思います。ただ、もう一歩突っ込んだ音色を作りたい場合、ひとつの音源だけではなかなか難しいケースもあります。

一方で、ひとつのシンセサイザーでも、複数のオシレータが搭載されていたり、Tone Generator のレイヤーができたりして、高度な音が作れる場合もあります。別な方法としては、同じフレーズを複数のシンセで鳴らす方法があり、私はよくこの方法を使います。

例えば、ブラスセクションの音色を作る場合、Dexed と Syhth1 でそれぞれブラスセクションの音色を作り、それらを混ぜて作ります。Dexed は FM音源独特のややクセのある音が作れますが、それ単独ではアンサンブルの中に溶け込みにくい(変に目立ってしまう)ような感じがあります。一方、Synth1 の音は、アナログシンセの持つ柔らかみがあって使い勝手のよい音が作れると思います。

これらの、同系の 2つのシンセ音をブレンドすることで、芯のある、かつ包み込むような感じのあるブラスセクションの音色を作ることができます。ひと手間かかりますが、けっこういい感じで仕上がります。さらに、ミキシング時にパンを振ってやると、よりいっそう広がり感を出すことができます。ちょっと長くなってきたので、このブラスセクションの音作り例は、後日、音源も交えてあらためて紹介します。

今回、東海道新幹線の旧車内チャイム音を、同系の音色をブレンドして作ってみました。このように、異なるキャラクターのシンセサイザーで、同系の音色を混ぜて使うことで、それぞれの特徴が活かすことができ、意外とおもしろい効果が期待できます。

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