ロサンゼルス・アトランタ総領事館主催ラウンド・テーブル講演(2017年8月29日)
韓国は日本軍慰安婦に関する歴史認識問題を外交カードとして利用し、グレンデール市で人口の約3割を占める政治的影響力の強いアルメニア系住民に取り入り、日本軍が二十万人の慰安婦を強制連行して性奴隷にした戦争犯罪は第一次世界大戦中にオスマン〕トルコ帝国で起きたとされるアルメニア人虐殺と同種の大量虐殺の犠牲であるかのように宣伝して、慰安婦像の設置に成功しました。また、ユネスコ「世界の記憶」「日本軍『慰安婦』の声」共同申請書において、「日本軍の慰安婦制度はホロコースト(ユダヤ人虐殺)に匹敵する戦争悲劇」と強調しています。
在米韓国人・在米韓国系ロビー団体もユダヤ人に対するナチス・ドイツを利用し、日本軍の慰安婦制度をホロコーストと同一視し、ユダヤ系住民・団体に取り入って、米国内で慰安婦像の設置を目指すなどの反日活動を展開しています。
慰安婦像・碑の設置をめぐって、全米各地で公聴会が開催され、激しい議論が展開されてきました。特にカリフォルニア州のグレンデール市周辺では、慰安婦像・碑の影響が子供にまで及び、歴史認識問題に起因するいじめに発展した事例が2014年5月9日、いじめられた子供の母親グループによって、「グレンデール慰安婦像問題と在米日本人の状況報告」と題して、日本の国会議員に配布されました。
このような動きを受けて、日本政府は2月22日付で米国連邦裁判所に意見書(資料参照)を提出し、「グレンデール市の慰安婦像は確立した外交方針への妨害であり、逸脱である」と主張。慰安婦像脇の碑文に「20万人の女性が強制的に連行され、性奴隷となることを強制した」などの歴史的事実に反する文言が明記されていることに抗議しました。
慰安婦碑文は2007年の米下院の慰安婦対日非難決議に基づき、「20万人の慰安婦が日本軍によって強制連行され、性奴隷にされた」と書かれていますが、日本政府の見解は、次の通り。①慰安婦数の確定は困難であり、「20万人」というのは具体的裏付けがない数字である②日本政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる「強制連行」は確認できなかった③慰安婦が「性奴隷」であるとの表現は事実に反し不適切である。
ちなみに、ソウル大学の李栄薫名誉教授は昨年8月、慰安所は事実上の公娼制として運営されていたこと、「強制連行」という主張は大部分が口頭記録で客観的資料としての信憑性が貧弱であること、慰安婦性奴隷説について再検討がなされる必要があること、朝鮮人慰安婦20万人説も根拠がなく、最大5000人程度と見るのが合理的であると指摘しています。
共同申請書が日本軍の慰安婦制度をホロコーストと同一視していることについて、駐日イスラエル大使を務めたエリー・コーヘン氏は、日本のジャーナリスト宛ての手紙の中で、次のように述べています。
「ホロコーストに匹敵するものはない。世界の中で、組織的に冷静に国家をどのように葬るか、そのようなことを計画した国家は他にありません。ナチス・ドイツはユダヤ人がどこにいようと全てのユダヤ人を探し出して殺害するシステムを作り上げました。ドイツという国家全体がこの虐殺に関わったのです。数少ない勇敢な人々が命がけでユダヤ人に救いの手を差し伸べ、彼らをかくまったのです。人類の歴史でホロコーストのような虐殺が起こったことはありません。」
また、カナダ・イスラエル友好協会は昨年10月30日、「ホロコーストからユダヤ人を救った英雄としてもっともよく知られている杉原千畝」に言及した上で、次のような意見書をユネスコに送っている。
「『慰安婦』はホロコーストであるという概念は現実的には根拠がない。それにもかかわらず登録申請団体は、性奴隷の議論に新境地を開いたと主張する。・・・この記述の論理に従うならば、ユネスコはここに記述されていない数カ国を非難しなければならないだろう。1959年、中国によるチベットの侵略では、約120万人のチベット人が犠牲になり、何万人もの女性が強姦され、チベットの仏教文化は破壊された。このチベットに対する残虐行為の方が、ホロコーストの概念にはるかに近い。・・・『慰安婦問題』は完ぺきな宣伝戦の道具であり、・・・中国と韓国が競争相手に対して敵意を生み出すための道具として使われている。その意味で、この状況はイスラエルに対するBDS(イスラエルに対するボイコット、投資の停止、制裁を進める)運動とよく似ている。その目的は、まやかしの『アパルトヘイト』の問題を作り出しイスラエルの信用を落とし孤立させることである。」
<補足>
アトランタ総領事館主催ラウンド・テーブル「歴史認識と教育問題」(追加原稿)
私は37年前に3年間アメリカに留学し、スタンフォード大学フーバー研究所と米国立公文書館を中心に、第二次世界大戦後の連合国軍による日本占領文書を240万頁研究することをライフワークとして取り組んできました。この研究は現在も継続中で、5年前から全米各地の大学所蔵の第一次史料の研究調査のために、年間1万キロ以上レンタカーで全米を駆け巡り、アメリカ大陸を何度も横断し、併せてすべての慰安婦像・碑の現地調査も行い、それによっていかに地域コミュニティに対立と亀裂がもたらされてきたかについても実態調査をし、最近2冊の著書を出版しました。
慰安婦像・碑の設置をめぐっては、アトランタと同様に各地で公聴会が開催され、激しい議論が展開されてきました。特にグレンデール市周辺では、慰安婦像・碑の影響が子供にまで及び、歴史認識問題に起因するいじめに発展した事例が2014年5月9日、いじめられた子供の母親グループによって、「グレンデール慰安婦像問題と在米日本人の状況報告」と題して、日本の国会議員に配布されました。
このような動きを受けて、日本政府は2月22日付で米国連邦裁判所に意見書を提出し、「グレンデール市の慰安婦像は確立した外交方針への妨害であり、逸脱である」と主張。慰安婦像脇の碑文に「20万人の女性が強制的に連行され、性奴隷となることを強制した」などの歴史的事実に反する文言が明記されていることに抗議しました。
ブルックヘブン市の慰安婦像の碑文には、「平和のための少女像」と書かれ、慰安婦は「日本帝国軍によって奴隷化を強制された」と説明。「数十万に及ぶ」慰安婦は「20世紀の人身売買で知られる最大のケースの一つ」と明記されています。
安倍総理は国会答弁において、20万人の慰安婦が日本軍によって強制連行され、性奴隷にされたというのは歴史的事実に反すると明確に答弁し、先の日本政府の意見書も同様の見解で書かれています。
6月29日の市議会公聴会で日本人住民8人と米国人2人が設置反対を訴え、小学生の子供2人を持つ日本人女性はグレンデール市と「同じようなことが起きることは想像に難くない。母親として慰安婦像は受け入れられない。子供を守りたい一心だ」と訴えたと報じられています。また別の日本人女性は「この像で地域社会が分断されることを望まない」と訴えました。
慰安婦像は「平和のための少女像」ではなく、子供へのいじめにつながり、地域社会における様々なコミュニティの平穏な共生を妨害し、無用な対立と亀裂をもたらしていることは、グレンデール市における裁判などの紛争の元凶となっていることを見れば明らかです。