親学推進議員連盟設立趣意書と親守詩エッセイ「『うっとしい』をこえての『絆』」

 昨日は令和5年度3回目の岡山学芸館高校教員研修で親学について講演させていただいた。同高校はサッカー日本一などスポーツでも目覚ましい躍進を遂げているが、大学進学でも、京都大学2名、大阪大学3名、お茶の水女子大学2名など、国公立大学に166名、早大5名、慶応大1名、上智大14名など、計586名の合格実績をあげている文武両道の名門校である。
 親学及び親学推進議員連盟誕生の歴史的経緯についても解説したが、同議連の設立趣意書には、次のように明記されている。

<平成18年に教育基本法が改正され、家庭教育の独立規定(第10条)が盛り込まれ、次のように明記された。「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」
 かつて国や行政は家庭に介入してはいけないとされてきた。しかし、子供の「育ち」が著しく損なわれている今日、子供の健全な成長と発達を保証するという観点に立脚して、この教育基本法第10条が求めている施策の実現が国及び地方公共団体の急務と言える。
 親学は昭和62年の臨教審の最終答申「親となるための学習」と「親としての学習」(平成10年の「次代を担う青少年について考える有識者会議」)の提言に基づき、子供と親の「発達を保障」し、親子が「共に育つ」ことを目指すものである。
 子供の発達段階に応じた関わり方についての科学的根拠に基づく知見や情報、日本の伝統的な子育ての知恵を伝えるとともに、親が子を想う子守唄と子が親を想う親詩などを通して親心と孝心、親子の絆を深め、家庭、地域、学校、企業、行政が一体となって、社会総がかりで家庭教育を支援していく必要がある。
 他に責任を転嫁しないで、自分が変わる(「主体変容」)ことによって、大災害などの国家的危機を乗り越えてきた、日本人の精神的伝統を親学として蘇らせ、危機に瀕する日本の教育を再生していきたい。
 このような時代の要請に応えるため、党派を超えた親学推進議員連盟を結成する。>

 同議員連盟の主な役員は、以下の通りである。

●会長 安倍晋三
●顧問 森喜朗・鳩山由紀夫・山口那津男・保利耕輔・渡部恒三・平沼越
    夫・渡辺喜美・大島理森
●会長代行 高木義明
●幹事長 鈴木寛
●幹事長代理 笠浩史
●事務局長 下村博文

 共産党と社民党を除く超党派の議員連盟で、とりわけ公明党は熱心な推進役で池坊保子議員が「世話人」に加わり、私も公明新聞に親学について連載させていただいた。私が提唱した「親守詩」には、子が詠んだ上の句に親が下の句を詠んで和する和歌形式や俳句形式、エッセイなどが含まれており、香川県高松市立紫雲中学校1年生(女)は、次のようなエッセイを寄せた。

<「『うっとしい』をこえての『絆』

 「女の子って、めんどくさい。」
 そう思ったのは、中学校に入ってすぐだった。トイレに行くのにも、教室移動のときも、登下校もずっといっしょに居ないといけない。たまには一人で居たいときもあるのに。
 ある日私は、そんな思いをママにぶつけてみた。するとママは、お皿洗いをしていた手をとめて、
「ここに『絆』って字をかいてごらん。」
と、ホワイトボードを指さし、言った。そして私が『絆』の字をかくとママはその横に『し』とつけたした。
「『絆し(ほだし)』っていうのは、『うっとうしい』って意味なの。みんな『絆し(ほだし)』をのりこえて『絆』をつくるんだよ。」
と言った。心がスッキリしたような気がする。ママありがとう。
 だから私は、そんな関係を友達とつくりたい。ママと私のように。>

 親学講演では必ずこのエッセイと曽野綾子氏の産経新聞「正論」に掲載された「与うる時、人は『絆』の中に立つ」と題した一文を紹介してきたが、「絆し」を「ほだし」と読めたのは学習院幼稚園の保護者会だけであった。
 

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