SDGsからSWGs(Sustainable Well-being Goals)へ一閣議決定された「日本発ウェルビーイング」(バランスと調和)

 11月8日8時から自民党本部で政務調査会の「日本Well-being計画推進特命委員会」が開催され、内閣府政策統括官付参事官より「満足度・生活の質に関する調査報告書2023」(本日付note別紙拙稿参照)及びWell-beingに関する令和6年度予算概算要求などについて詳細な報告があった。
 その後、ウェルビーイング学会副会長の東京大学公共政策大学院教授・慶應義塾大学政策・メディア研究科教授の鈴木寛元文部副大臣から、「日本のウェルビーイング実感に関する現況」(2023年7-9月期)について報告が行われた。

●日本のウェルビーイング実感に関する現況

 同報告によれば、ウェルビーイング実感が高い人達の割合(10段階で自分の生活を自己評価した際、「今の生活が7点以上」かつ「5年後の生活が8点以上」と回答した割合)は,2008年から2009年にかけて失業率の低下によって下落し、その後雇用が守られたことによって回復したが、コロナの長期化によって一時再び下落したが、2023年7-9月期の速報値は回復傾向にあり、1人当たり実質GDPより高い水準を保っている。
 ウェルビーイング実感調査は世界150ヶ国以上で毎年行われており、日本では2006年より国連のWorld Happiness Reportを出しているGallup社が15歳以上を調査対象として、電話調査によって実施している。詳細については、
Global Wellbeing Initiative参照。
 6月16日に公表された日本政府の令和5年の骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2023「加速する新しい資本主義一未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現一」)の36頁に、「成長と分配の好循環」の実現状況を各種指標から検証する、と明記され、成長の指標として、Well-being(生活満足度)と1人当たり実質GDPの2本柱、分配の指標として、1人当たり賃金・俸給と中間所得層の構成割合などが明記された。

●Well-beingに関連する指標

 来春には武蔵野大学にウェルビーイング学部が新設され、東洋大学も学科としてウェルビーイング研究に力を入れるという。私も11月16日に麗澤大学で、「SDGsとWell-being」をテーマに講義するが、国連では今や”post SDGs"として、新たにSWGs(Sustainable Well-being Goals)が掲げられ、GDPを超える指標として、Well-beingに注目が集まっている。
 来年9月に開催予定の”Summit of the future"をリードするワーキンググループの人選が現在行われているが、我が国で閣議決定された「日本発のウェルビーイング」として「バランスとハーモニー(調和)」を重視する幸福度指標を世界に向かって発信する日本のリーダーシップが強く求められている。
 ちなみに、「骨太の方針」に成長の指標として明記されたWell-beingに関連する指標は、以下の通りである。

⑴ 内閣府のWell-beingダッシュボード
 ●年1回の公表
 ●OECDのBetter Life Indexをベースに、日本の実態に合うように改定
⑵ 各省庁が基本計画等で設定している、Well-being関連のKPI(重要業績評
  価指標)
 ●内閣府提供の資料
 ●上記ダッシュボードに入っていない指標も、幅広く盛り込まれている
⑶ 経済財政諮問会議で「成長と分配の好循環」を検証
 ●ウェルビーイング(生活満足度)も、半年に一度公表・検証予定
 ●ただし、具体的な内容はまだ未定(今後内閣府が主導で策定)


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