クビーの「グローバル性革命」論⑶
児童の福祉と社会の未来のために国家とメディアが子供たちと青少年を性 的に没頭にすることを除去しなければならない。 公共の福祉を志向する政府と 責任のある親なら、結婚と家族のために、次の世代を準備させる義務がある。こ れには以下の 12 の妥当な理由がある。
⑴ 性規範の緩和は、文化的腐敗につながる
人間には自由意志があるので善悪ための羅針盤、即ち、指針が必要である。性 に関して、人々は生物学的欲求と新しい命の誕生として開かれている愛の呼び かけの間で緊張を経験する。 道徳的規制緩和は、文化が崩壊するという兆候で ある。 それは個人に損傷を与え、社会的混乱を引き起こす。 家族の崩壊、達 成感の低下、広範囲な心理的障害、性病の拡散、数百万人の胎児を中絶するこ とは、社会が衰退しているという信号である。 避妊と中絶を通して性行為と出 産を分離させた結果、人口統計学的な災害が発生した。このことは、福祉国家の 未来を惨めにするものであり、簡単に揺れ動いてしまい貧しくするまでにした 人々の怒りを鎮めることはできない。
⑵ 性規範の緩和は子供たちに最善の環境にある家庭を破壊する
家族は喜んで子供を産むたいという一人の男性と一人の女性の一夫一婦制 に基づいている。 彼らが家族に対する期待を持 ち、その期待を満たすことができるようにするには、子供たちに家族の利点を 教えなくてはならない。 家族は「社会の自然かつ基本的な構成単位」(世界人権 宣言)として、人類学的断絶の地点で男女間の関係と世代間の関係を統合してく れる。 科学的な研究は、すべての人が既に知っている次の事実を確認した。 子供 たちは葛藤の少ない結婚生活をしている生物学的な親と共に安定した家庭の中 で最もよく育つ。 家族だけが自信をもち独立した市民を輩出することができる。 強い絆がなく結束力もない破壊された家庭で育った人は、簡単に人格が揺れ動 き易く、他人に操作され易く、民主主義に対して害悪的な存在になり易いことが ある。
⑶ 性愛化は子供たちの子供時代を奪っていく
「無垢な子供」という言葉を思い浮かべるとき、私たちは、他の何よりも性 的な考えやイメージや性的な活動から自由になった状態を考えることになる。 この「無垢」とは子供時代を一言で定義することができる単語であり、 1960 年代後半、性革命が始まるまでは、大人によって積極的に保護されてきた ものである。
子供たちは創造的な遊びと探求と学習を行うことができ、彼ら の羞恥心に対する感覚が尊重され、性的な攻撃や虐待を恐れる必要がない安全 なスペースを必要とする。 また、彼らには人間の生命創造に対する好奇心に責 任感があり繊細に子供の年齢に合った方法で対応してくれる大人が必要であ る。 ニール・ポストマンは大人と子供との間の限界を取り除く子供の時代を 奪ってしまう 3 つの要因を指摘する。
⑴文盲 ⑵教育の不在 ⑶羞恥心に対する感覚の喪失
残念ながら、この 3 つの要因すべてが私たちの社会で急速に増加してい る。 1982 年には、インターネットの大成功以前にもポストマンは電子メディア を児童期と成人期の限界をなくし「自由な入学を可能にする技術」であると非難 した。ポストマンは羞恥心という感覚の必要性を主張していた過去の世代の証 人として G.K.チェスタータン、ノバート・エリアス、ジークムント・フロイト を挙げ、彼らの洞察力を次のように要約した。
文明は、衝動、特に、侵略に対する衝動と即時的な満足に対する衝動を制御せずには存在 できない。私たちは、野望に捕われ暴力と乱雑さ、本能と利己主義があふれる危険に継続的 に置かれている。羞恥心は野蛮な行為を阻止する心理メカニズムである……それ故に羞恥 心の感覚を植え付けることは子供たちの公式的・非公式的教育で豊かで繊細な部分を構 成してきたのである。
⑷ 子供と青少年の性愛化は親の権威を弱体化させる
親は愛で子供と結ばれ、子供に対して責任があることを当然として考え る。したがって、彼らの子供を道徳的に養育する義務があるが、このような親 の権利は譲渡することができない人権として確立されたものである。しかし、今、 国連や欧州連合では、各国の憲法に「児童の権利」を明示する戦いが広がってい る。この戦いの目的は、親の権威を解体させ、子どもを性愛化させるものである。 ジークムント・フロイトは、子供時代の早期の性行為が子供の養育の妨げ になると信じていた。「私たちは、誘惑的な外部からの影響が子供の潜在期を 早期に崩壊させたり消滅させてしまうことを経験を通して見てきた……このよ うな早期の性行為は児童の教育の可能性を損傷させる。子供をよく育てた めには、子供たちが子供の頃を享受できるようにしなければならない。性愛 化された子供は、親から離れることとなり、親子の関係だけでなく、成功的な家族 の生活も脅威となる。
⑸ 子供と青少年の性愛化はホルモンの発達に違反する
子供のホルモン発達は、出生直後から思春期まで続く長い潜在期を特徴と している。 男性ホルモンであるテストステロンと女性ホルモンであるエストロ ゲンは、出生後の最初の 1〜2 ヶ月の間だけ増加して、それ以降には思春期まで に一定のレベルに落ちる。 思春期になるまでは、ホルモンレベルが再び急激に 増加することはなく、それ以降、数年が経過するまで比較的に一定の成人のレベ ルに達しない。従って、身体の発達の見地から見ると、若者たちは、性的 に少しずつ成熟するだけである。 そして心理的な成熟に至るまでには、それよ り長いプロセスが必要である。
⑹ 習慣的な自慰行為は自己陶酔的な性欲を固着させる
子供たちが習慣的な自慰行為をさせるようにすることは、自己愛的性の満 足感を持たせる事で、これは他人への愛の表現として成熟した性行為をするこ とができる能力を損なわせる。 自慰行為をする人は、自己中心的に固着されて 疎外され、これは、自己犠牲的な愛に対する必要な成熟を妨げる。 自慰行為は早くから習慣となり、習慣はすぐに中毒になることがある。 習慣的な 自慰行為の裏には、自慰行為により弱体化されていく愛と関係の不在のような 心理的な問題があり、これにより、自尊心も低くなる。 自慰行為は、多くの場合、ポルノを見たいという性的な幻想を持つようにする ために、そのような類のポルノを見ると、さらに自慰行為をしたい欲望が強くな る。今日、何百万人の男性がこのような悪循環に陥っている。
⑺ 性主流化に起因する性同一性の不確実性は人格障害につながる
人は、自分は誰であるのかを肯定的に認識することで健康になることができ、 これをアイデンティティとする。 アイデンティティは「私は誰なのか?」に対 する答えであり、アイデンティティを知ることは、それ自体では良いことである。 もしある人が、自分が誰なのかわからないとしたら、彼は弱い人であり、アイデ ンティティに対する内的な葛藤は病的なものとなって神経症、統合失調症、また は、境界性人格障害としてあらわれることがある。
ところが、このようなアイ デンティティの形成を助けている宗教、国家、家族、故郷、文化的伝統、職業と の同一視などの様々な関係が、今日、益々弱くなっている。 しかし、人間の歴 史を通して知ることができる一つの確かな事実は、人間は、男、或いは女で生ま れ、男、或いは女としてのアイデンティティを発見することになるというもので ある。このアイデンティティーを人から奪おうとする欲望は、人間の存在の基礎 を否定する現代の狂気である。
ハーバード大学の最近の研究によると、11 歳以下の子どもの不確実な性同一 性は、性的・身体的・精神的な虐待及び障害において外傷後ストレス障害を起こ す可能性を高める。従って、「多様性の教育」と「ジェンダーの固定観念」 の解体を通じた性同一性破壊は無防備状態にある児童に対する無責任な実験で ある。
⑻ 思春期にカミングアウトを煽るのは異性愛への自然な成長発達を妨げる
公教育の性教育は思春期の子供にカミングアウトを勧める。 大多数の子供たちがこの時期を克服し、安定した異性愛者としてのアイデンティティを確 立するにもかかわらず、同性愛的な性的指向を宣言させること自体が流動的な 思春期の青少年にとっては魅力的なことであると感じることができる。
2007 年の16 歳から 22 歳の間の青少年の性的指向変化に対する米国の大 規模な調査によると、同性愛または両性愛的な性向が 1 年以内に異性に変わる 確率は、その逆の場合よりも少なくとも 25 倍より高かった。 殆どの 10 代の若 者から同性愛的な感覚が消えてしまったのである。 16 歳の子供たちのうち 98%は、同性愛、或いは両性愛からの異性愛への変化を経験した。 同性愛的性 向を示した 17 歳の少年のうち、約 70%が 22 歳になったとき、異性愛的性向だ けを示したのである。自分が公に同性愛者であることを明らかにしたゲイリー・ラマペディの研究 によると、カミングアウトを早くした人ほど自殺を試みる危険性が大きくなる。 カミングアウトが遅れほど自殺の危険は減る。従って、早くからカミン グアウトを促すことは、若者の自然な心理発達とアイデンティティ形成に深 刻な危険を招く。
⑼ 同性愛行為の危険性を非表示にすると、若者たちが危険にさらされる
科学的研究結果は、同性愛行為による身体的・精神的リスクが増加したことを 示している。 すでに言及したように、ここには、うつ病、不安障害、アルコー ル、薬物及び薬物乱用、自殺のリスク、HIV 及びその他の性感染症の割合がより 高いこと等が含まれる。
同性愛の社会的要因の専門家であるクリストル・ボン ホルト博士は鋭い洞察力を持ってこのように述べる。「同性愛団体は、しばしば、 これらの問題を社会が同性愛を拒否したために発生したと主張する。しかし、そ の主張に対する確固たる証拠はない」
同性愛行為の危険性を若者たちに説明するのは、良識のある政治家と医療関 係者であれば、当然しなければならない義務である。 喫煙の危険性を説明する ことが喫煙者に対する差別でないように、同性愛的な感情をもつ人たちに同性愛 行為の危険性を知らせることも同性愛者に対する差別であるはずはない。
⑽ 崩壊する家族の構造を正常であるというのは、子供たちが痛みを伴う心理的影響を克服するために邪魔になる
実際、欠損家庭は、結束力の不在、不倫、姦淫、権威主義、子供に対する無 責任を助長させる。 子供たちは父親と母親の一体感に依存しており、そのよ うな親同士の結合をばらばらになることは、子供たちに深い精神的苦痛を抱 かせるのである。多くの場合、急激な物質的・社会的結果ところと同伴する心理的苦痛を子供 たちが克服するためには、まず、それを 現実的に認識しなければならない。
こ れが認識できなければ、無意識状態の治癒されていない傷が致命的に残って、神 経症と行動障害を誘発する。 大人たちがこのような社会的衰退の兆候を正常的 なものであると捉えるようにするために、子供たちは、この悪循環から逃れる ことができない。 ロベルト・コッホ研究所のベラの研究によると、7-17 歳の小児 及び青少年の 21,9%が心理的異常を示しており、14-17 歳の約 40%が行動障害 を患っているという。 このような現象を巻き起こした最も深刻な要素は、友好 的でない家族と低い社会・経済的地位である。
(11) 家族の破壊は、子育ての国家統制につながる
家族の中で学ばなかったことは、おそらく成人期にも学ぶことができないで あろう。ここには、基本的な信頼、献身、礼儀作法、学習意欲、生産性、信頼な どが含まれる。 これらの人間性の形成が家族内でよく確立されないほど公的資金 で運営されている青少年サービス、青少年ホーム、精神科医、収監施設、社会福 祉士、セラピスト、医師、警察が多くのことを担わなくてはならない。
学校中退 者、感情的不安者、施設保護児童、ギャング団員、アナーキスト、テロリスト、 非行青少年、麻薬中毒者及び暴力的な凶悪犯が父の表象が存在する完全な家庭 から出る場合はほとんどない。 政府が支援を提供している社会問題がより多く なる昨今の状況は、親の子供の養育権に対する国家の干渉が増加することを 正当化させるという悪循環を繰り返すようにする。
⑫ 人口統計学的危機は性を妊娠と分離させた結果である
ドイツの出生率は、ヨーロッパで最も低い水準である。 特に 2009 年は、カッ プル当たり 1.36 名で、ドイツの歴史の中で最も低い出生率を記録している。 こ れにより、労働人口は減り、平均寿命が長くなり、高齢者の人口が急激に増加し ているが、このような現象は、社会福祉制度を確実に崩壊させるものである。こ のような状況を考慮すると、なぜ政府が子供や若者を避妊専門家による、 中絶と同性愛への道を開く教育をしているのか理解できない。
●性主流化から家族主流化への道
2011 年夏、若者たちが激怒し道路を占領した時、デ-ヴィッド・キャメロン英首相 は次のように語った。 私たちに壊れた社会を回復させる希望があるとしたら、私たちがすぐ始めなければならないのは家族と子供の養育です……だから私はすべての国内政策に家族検証を適用してみるこ と望んでいます。 もし、ある政策が、家族に害を被ったり、家族間の献身を弱めたり、人々 が共存する価値を踏みつけたり、家族が一緒にならないようにするならば、私たちはその政 策を実行すべきではない。 これは性主流化から家族主流化に行く道を開いた。
子供の幼い時期に経験する相互献身に基づいていない乱雑な性行為がもた らす否定的な結果は、科学的研究によって証明することができる。 これは自ら そのような行動に陥り、意識がぼやけていなければ、誰もが明らかに分かること である。 子供の幼い時期に経験する相互献身に基づいていない乱雑な性行 為が子供たちを健康に、有能に、責任感のあるようにし、喜んで出産するようにし、 幸福にするという議論と科学的研究が一体どこにあるのか? 若者は、避妊のリスク、性病の拡散、中絶による長期的なリスク、壊れた人間 関係による心理的傷害及び同性愛の危険性について事実を知る必要がある。
異 性カップルは紹介せずに、なぜ同性カップルを授業時間に紹介するのか? 結婚 したカップルであれば、異性間でも、同性間であっても、関係なく満足のいく家 庭生活が可能であるという希望を既に傷ついた家庭の子供たちにも与えよう とすることなのか? 性革命家たちは、子どもの性的欲求という好意的な主張と、 「多様性教育」で提供される多元主義という恥ずかしい矛盾に閉じ込められて しまった。 性革命主義者は愛について語るが、彼らを愛を破壊する無限の性欲を満たす ように誘惑し、より多くの害を及ぼしている。
●性革命主義者の矛盾
・自由を約束するが、性的中毒に陥らせる。
・責任について語るが、他人を性的対象として卑下させる行動をするように する。
・性別、性的指向、性同一性を自由に選択できる自由は積極的に支持するが、 同性愛から異性愛に変えることができる可能性は否定する。
・人々を HIV 感染から保護すると語るが、感染に関する情報を隠して、複数の パートナーとの肛門性交は奨励する。
・コンドームで「安全な性交」をすることができると宣伝するが、性病の爆 発的増加は防ぐことができず、HIV に新たに感染している男性同性愛者の数 も減らすことができない。
・虐待から子供を保護したいと主張するが、子供の羞恥心を破壊させ、性 的な攻撃に対して無防備状態に放っておく。
・性的快楽の経験を通して子供の自尊心を強化させるというが、子供の純粋 性と子供時代を破壊してしまう。
•子供の権利を増進させるというが、親との家族的な結合を壊すことによって 子供たちを無防備に駆り立てる。 誰が利益を得るのか? 子供と青少年を性的に没頭させることから発生するすべての性的な結 果は肯定的目標を達成する過程で起こる単純な副作用がなく、当然で必然的な 帰結である。 性愛化の肯定的な側面とは満足と喜びの偽りの約束だけである。 このような事実を見ると、最初からこのような否定的な効果が性愛化 の真の目標であったと結論付けることができるかも知れない。 そうであれば、 子供と青少年を性愛化させ、それらに多様性の教育をさせることで利益を得る 人は誰なのか? まず、いくつかの主要人物が思い浮かびあがる。
・グローバル性革命戦略の目的を達成するために簡単に操縦できる根なし人間を量産 しようとする勢力である。
・世界の富の分配を公平にする代わりに、世界の人口増加に対する抑制のみに関 心が多い勢力である。
・西欧諸国が「人口統計学的冷却期」に陥ることを願う勢力である。
・宗教、特にキリスト教の除去に興味がある勢力である。
・異性的な性規範に苦しんでおり、この解体を通して認められたいと希望する勢 力である。 この章で述べている全ての事柄は、沈黙というマントによって現実が隠れた ために生じたことである。 これは、まるでワニが子供の寝室に入って行くが 誰もそれを見ようとしないのと同じである。 見て見ぬふりをすることが最も簡 単な方法である。 しかし国家は、もはやこのような愉快でない結果に対応する ことができなくなると、人々は廃墟になった家族による苦しみを無視すること ができないだろう。 したがって、現在、親になった人やこれから親になることを 望むすべての人は、以下に列挙された一連の不都合な質問に対して再考してみ なければならない。
●「不都合な質問」に対して再考せよ
・あなたの幼稚園児の子供が自慰行為や性行為の遊びに参加することを奨励 したいですか?
・あなたの小学生の子供が避妊法とあらゆる種類の性行為に熟達することを 望みますか? 子供の羞恥心に対する感覚が破壊されることを望みますか? ・あなたの子供は、すべての性的指向は平等だと思いますか?
・あなたの子供が学校で同性愛者になるように励まされることに対し、それに 伴うリスクを知らないことを望みますか?
・親として、あなたの子供は親の権限を剥奪する権利を持つことを望みます か?
・子供が倫理的な規準や信念なしに育っていくことを望みますか?
子供と青少年の性愛化と性同一性の混乱を通じた性規範の緩和は、社会の基 本単位である家族を解体させ、子供や青少年に傷を与え、出産をもっと減少さ せる原因となる。 このようなことはごく少数の利益を追求するだけで公共の利 益には全く役に立たない。
*急死した弘前学院大学の楊尚眞教授から私に贈られてきた訳文で、日本語としてこなれていない表現が随所にみられるが、原文通り掲載する。