手一妻の詩(22)
爪を切りながら 思い出す
児玉先生(お仲人様)が
奥様と初めて出会ったときの話
奥様の手が働く人の手であったことが
とても心に残ったと
二十代の私は そのお話に感動した
そして それから
手の手入れをすることに
まったく頓着しなくなった
でも
爪が伸びているのは とっても嫌なので
ときどき 深爪をする
これは 祖母似だね
どんなお掃除もほとんど素手
アカギレが痛いのはいやだけれど
ガサガサ荒れても 気にならない
手入れをしない手のほうが 心おきなく働ける
荒れた手をみると
先生と奥様のことが思い出され
その手で 感謝の合唱をする